夜の花
「起きて。」
優しく俺を包み込むような声がした。
「…はるっ!」
彼をできるだけ強く、どこにも行ってしまわないように抱きしめた。
目頭が熱くなる。目から止め処なく水があふれてくる。
「…泣いてるの?」
彼は低く心地が良い声で、少し笑いながら言った。そして、少し考えてから、
「僕はずっと日向のそばにいるよ。…ずっと。」
と言った。
「前はいなくなっちゃうかもって言ったけど、絶対にいるから。」
俺はただただ泣くことしかできなかった。
嬉しくて、申し訳なくて、ただひたすら泣いた。子供のように。
彼はずっと僕を抱きしめてくれていた。
「ねぇ、そのほっぺた、あの人にやられたの?」
「うん…」
「うん、なんて初めて聞いた。」
彼は弾んだ声でそういった。
俺のほっぺたを消毒液で綺麗に拭き取り、大きい絆創膏を貼ってくれた。介護してくれる彼はとても可愛かった。弟…いや、彼氏のようだった。実際に彼氏だった。この美しい青年が俺の彼氏なんだ。
彼は、女については聞かないでいてくれた。会話の内容で察してくれていたのだろう。
本当に、最高の彼氏だ。
✦ ✦ ✦
夜になり、彼が俺の後に風呂に入っていた。
携帯をいじっていると、後ろから、お願いがある、と彼の声がした。
「…してほしいんだ。」
「…何を?」
「…察してよ。」
「……あ!…だ、ダメだろ!未成年だろ?」
「どうしてもしてほしいの!お願い!同意の上ならいいんでしょ?」
「いやぁ…ダメ…だろ…。俺捕まっちゃうよ…。」
そう言った途端、彼は強引に俺を押し倒した。
「やってくれないなら…僕からいくよ。」
「さすがにそれは…ちょっと…なんか…。」
俺は彼を抱っこし…細かく言うと、お姫様抱っこをして寝室に彼を連れ込んだ。
いつも自分が一人で寝ているダブルベットに彼がいるのは新鮮であり、その気を活性化させた。彼の唇を指でなぞり、舐めまわした。柔らかく、口紅を塗ったようなその唇はどこか甘く感じた。深く口づけをかわし、彼の口内に舌を侵入させる。彼の荒くなった息遣いが聞こえ、さらにいじめたくなる。舌を彼のそれと絡み合わせながら、彼の股の間にある丸っこくも愛らしい、部分に触れる。一層彼の息が乱れる。彼の舌から、俺のものを離す。透明の、多少滑りを持った液体が、二人の舌に橋をかける。
「こんなので息乱れてたら、こっちどうすんの?」
「続けてぇ……!」
少し怒ったような口ぶりでそう言った。
純粋な故の妖艶さがたまらない。彼の陰部をさらに強く弄る。
「あぁ…っ、すご…い…。」
彼の着用している服を、下着一枚にする。彼の普段出ているところよりもさらに白い肌が露わになる。天使のようなその白さは、一瞬俺を止まらせる。
しかし、欲は抑えられなかった。
彼の桜色のソレを撫で回す。少しずつ硬くなっていき、次は舐めまわす。それを繰り返しているうちに、彼はさっきまでも熱かった身体を、またさらに熱くさせた。そこから、舌を這わせ、下着の上から彼を舐める。下着が滑りけを帯び始めたところで、彼の下着をも脱がせる。俺の体全体、特に中心が熱を帯びていることがわかった。彼のモノを口に含み、頭を上下に動かせる。彼の身体がピクピクと痙攣をすると同時に、口の中にドロっとした、苦い液体が広がる。
「あっ!ごめん…!」
「口の中に出したからお仕置き。」
引き出しから、ローションを取り出し、彼の下の口に垂らす。あぁっ、という快感に溺れた彼の声が聞こえた。ただただ、可愛い。人差し指を彼の中に入れる。生暖かく、少し湿り気を帯びたそこはとても心地よかった。彼の声と息が激しくなる。第二関節あたりが入りきった着いたところで、指でそこを押す。途切れ途切れの彼の喘ぎ声とともに、彼の陰茎から、白いどろっとした液体が勢いよく発射される。もういけるだろう、といい彼の下の口に…入れる。痛い、という彼の声が愛らしく、さらに入れる。
「ちょっとここ、緩くして。ほら。」
彼の中心を弄る。少しずつ慣れてきたのか、彼の硬直していた身体がほぐれ、どんどん俺の一部が彼の身体の中に入っていく。気持ちの良いところを行き来する。もう限界だ。そう思い、何も言わずに彼の身体の中に精射する。
「あったかい…。」
彼は、俺が何を言わずともそれを咥えた。決して上手くはないが、彼がその行為をしてくれているということだけで、興奮した。さっき出したということもあり、敏感になっていたため、すぐに彼の口の中で出した。彼は一瞬顔を歪め、飲み込んだ。
「飲まなくても良かったのに。」
「飲みたかったから。」
俺らは抱き合い、熱いキスを数回交わし、眠りについた。
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