第15話 面白い作品・面白くない作品 ①

面白い作品とは、どんな作品でしょうか・・・?


・ランキング上位の作品。

・レビューが多い作品。

・★が多い作品。

・閲覧数の多い作品。


確かに、これらに当てはまる作品は面白い作品かもしれません。

ですが、これらに当てはまる作品には傾向があるように私は感じました。


・キャラ設定を盛っている。

・主人公が受け入れられやすい世界観(英雄扱い、モテモテハーレム)。

・前書きが短く、始まりから事件(主人公へのアクシデント)が起きる

・ハーレム、異世界、美少女、妹、転生、トリップ・・・などなど。

・題名が長い。


あくまでの私の見立てですが、大きくはずれてはいないと思います。

そして、これらの傾向はライトノベルならではです。

ですから、これらの傾向に沿っている作品が面白い作品と言えるのは一理あるかもしれませんが、だからと言って、これらの傾向に沿っていないからと言って、面白くない作品というわけではありません。

空いた時間を活用し、様々な作品を見て回っているのですが、ランキング圏外、レビューがない、★が少ない、閲覧数が少ない作品であっても、面白い作品はありましたし、上記のようなライトノベルの傾向に沿っていない、どちらかと言えば純文学寄りの面白い作品にも出会いました。

(作品の検索の仕方は、ランキングを見るだけでなく、タグ検索をしたり、新着欄に表示されている興味をひかれた作品を見るなど、その日によって、方法はランダムです。)

ですから、ランキング上位の作品、レビューが多い作品、★が多い作品、閲覧数の多い作品が面白い作品で、これらに当てあまらなかった作品がランキング圏外で、面白くないと一概には言えないと思います。


例えば、ですが。

『十二国記』(講談社)という作品をご存知ですか?

今から約24年前のライトノベルです。

不定期に刊行されるので、13巻(確かそうだったはず)と連載している年数と比べれば巻数は少ないですが、アニメ化もされ、750万部以上も売れたヒット作です。

(これより先、多少のネタバレを含みます。)

この作品、主人公は女子高生。

ある日、「異世界の住人であり、その世界の王に選ばれた」と言われ、無理やり、異世界に連れ去られてしまいます。

主人公は、自分を異世界に連れて来た者とはぐれ、異世界では王であるはずなのに、その異世界が12の国に分かれており、自分が王となる国ではない国に落とされてしまったがために、侵入者として処刑されかけます。

命かながら逃げた主人公は、知らない国で、たった一人で、自分を異世界から連れて来た者が渡した剣と、その剣を扱うために無理やり体に憑依させられた妖魔を利用し、生き延びます。

途中で、人攫いに連れ去られたり、妖魔に襲われたりし、人間の内面、生きることの苦しさを学び、主人公は精神的に成長していきます。


さて、ここまで見てみると、この十二国記ですが、「異世界、女子高生、王」とライトノベルの王道で、このカクヨムのランキング上位の作品と設定はそんなに違わないような気がします。

ですが、私は十二国記がカクヨムでランキング上位にいくことは難しいと思います。

理由は、5つ。


・主人公が異世界に行くまでに、主人公の過去や友人関係に触れたりと、丸々1章を費やしている。

・それぞれの国の説明、建国神話、妖魔の設定が多く、説明だけのページが何ページも続く。

・主人公は一人で異世界に落ちてしまったため、会話文がほぼない。

・人攫いや、妖魔との戦闘など、主人公が困難に遭うことが多いので、笑えるような明るい描写が少ない。

・心理描写は多く、主人公の心理がよく分かるが、負の感情が多く、女子高生のような楽しげな感情がない。


このように同じライトノベルで、設定も似ており、年齢層も10代~と対象も同じなのですが、内容がカクヨムのランキング上位に入っている作品とは正反対なのです。

カドカワと講談社、出版社が違うから、ライトノベルの系列が違うとも言えますが、ライトノベルであることには変わりありませんし、十二国記は大ヒットした作品ですから、面白い作品には変わりありません。

ですが、私は上記の理由より、十二国記はカクヨムのランキグでは上位に入るのは難しいと思っています。

「十二国記がウェブ小説として刊行された作品ではないから、ウェブ小説向きの書き方ではない。だから、カクヨムのランキングでは上位に入れない」と言ってしまえばそうですが、カクヨムの中にも十二国記のようなあるかもしれません。

なのに、「ランキング上位に入らない。レビューが少ない。★も少ない。閲覧数も少ない。だから、面白くない作品だ」と決め付けてしまうのは、早計のような気が私はします。


『面白い作品・面白くない作品 ②』へ続きます。

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