少年編

第9話 初めての外出に向けて

1年が過ぎ、僕は5歳になった。


5歳になると、街の外に出れるようになるのだ。遠くまで行っちゃダメだけど。


今までは庭くらいしか、体を動かせるところがなかったけど、これからは街の外が使えるようになる。だから、周りに気にせずステータスを上げることができる。


はっきり言って今までは、親や妹に自分の力がばれないように気を付けなければならなかったけど、街の外でなら気にする必要はそこまでない。


今までは自重をしていたが、これからしなくて済むとなるとどこまで上げられるか楽しみである。


まあ、うちも結構広いから、そこまで自重してたわけじゃないけど。


こう見えても親は勇者で辺境の領主をしてたりするから家はそこそこ豪華なのだ。庭も広いし。


でも家人は数人しかいない。なんでも僕の親はあまりなんでも任せるのは嫌なんだとか。


ママは子育てとか、家事は自分でしたかったから雇わなかったらしい。でも王族とかこの国民はそれ申し訳ないということで何度も雇うように言ったらしい。でもお互いに譲らなかったから今の形が妥協点らしいのだ。


まあそれでも家人が来たのは最近になってからだけど。


それと、妹は保護を受けることが決まった。と言っても親が勇者だからそこまで関係はないみたいだけど。


「───。お兄ちゃん」


「ん?なに?」


「ちゃんと話聞いてるの?」


「おう、聞いてるぞ」


「ほんと?じゃあ、どんな話してたか、言ってみて?」


「えーっと、モンスターは色が濃くなるほど強くなる、だったか?」


「ええそうよ。ただ薄いからって弱いわけじゃないから、気をつけるのよ」


「ぐっ、なんで聞いてるのよ!」


「聞いてちゃ悪いかよ」


「悪いわよ。全然聞いてる風じゃなかったのに」


「まあ、僕はお前と違って優秀だからな」


「まあまあ、2人ともケンカはしない」


「「はーい」」


「まったく、調子だけいいんだから。それとモンスターはまだ倒さないでね」


「ん?なんで?」


「モンスターを倒すとレベルが上がっちゃうからよ」


「レベルが上がるならいいんじゃない?」


「まあ、そうなんだけど。まだあなたたちステータスが低いから、それでレベルを上げるとステータスの上昇率も低くなったちゃうからよ」


「なるほど。だから、ステータスは今のうちに上げておいた方がいいってことか」


「そういうこと。だから、モンスターは倒さないでね」


「「はーい」」


そういうわけで今は5歳から外出、というか街の外に出られるようになるから、そのための知識を教えてもらっているところだ。


この辺りは、そこまで強いモンスターがいないらしい。居ても妹のアイリが倒せるレベルらしい。だからなおさら気を付けないといけないのだ。


そこまで警戒する必要はないのだが、万が一ってことがあるからな。そのための知識をつけておいて、危険なモンスターには近付くな、ということらしい。


まあ、気付かれた時点で終わりだと思うけど。


それに妹で倒せるなら僕の場合は余裕だから、さっきの話も聞き流していたりする。答えられたのはひとえにユキのおかげだったりするのだけどね。


ん?ユキって誰かって?


ああ、ユキはヘルプ先生の名前だったりする。


今更なのは、前に零した一言が原因だったりするんだが。「ヘルプ先生っていうのもなんか変だよな」っていう言葉にやたらと食いついてきて大変だったから、名前を決めることになったんだよな。由来はその時、雪が降っていたからなんだけど、ユキはこの名前が結構気に入っている様なのだ。


まあ、そんな経緯で名前が決まった。


それでさっきもユキに聞いていてもらったのだ。


という感じで明日から、街の外に行っていいことになっているんだ。


これからは、そこまで気にしなくてもいいと思うと少しは楽だ。

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