プロローグ 2

神様にスキルポイントを調整してもらって、なんとか選び終わった。

「これでスキルは確定するが、いいか?確定したら、変更はできなくなるからな」

「はい、構いません。それで確定してください」

「わかった。じゃあ、これで確定じゃな」

そう言って、何かの作業をしたら、僕の体に何かが入って来るのがわかった。

「よし、これで終わりじゃ。あ、そういえば、スキルレベルは上げなくてよかったのか?」

「そういうことはもっと早く確認してくださいよ!まあ、スキルレベルは上げる気はありませんけど、というかこれから上げようと思ってましたし」

「ん?ここで上げようとしてるのか?」

「はい、そうですが?なにか不都合でもあるんですか?」

「いや、そうではなくてだな、ここでは、スキルレベルは上がらないぞ」

「へ?上がらないんですか?!」

「ああ。まあ、正確には何もないし、肉体もないし、魔法も使えないからなんじゃがな」

「なら、神様に鑑定をしてみてもですか?」

「ああ、上がらないと思うぞ」

そう言われたので、鑑定をしてみた。

「鑑定」

───スキルの発動に失敗しました。

「ほらな、言った通りだろ?」

「なっ、どうしてくれるんだ!これでは計画が台無しじゃないか!」

「知らないよ?!そもそも、何も確認しなかったお主が悪い」

「そうかもしれないけど、少しくらいは忠告してくれてもよかったんじゃないか?」

「いやー、わしも忘れていたからな」

「だから神様、しっかりしてくださいよ!?」

「悪かったって、許してくれ」

「だから、軽いよ!?」

でもこれからどうしようか?当初の予定では、ここでスキルレベルをマックスにするはずだったのに。他に方法はないのか?

それから、しばらくの間考えていた。どうしたら、スキルレベルが上がるのかについて。

「ほら、無理とわかったなら、わしと話をしよ──」

「うるさい。だまっててくれない?」

「ひっ、そんなこと言わず」

考えごとに集中したかったので、ほとんど話が耳にはいってこなかった。

「……」

「無視じゃと?!」

「……」

「あのー、何か話してくれないか?」

「……」

「あ、ハイ。すいませんでした」

ずっと考えていても答えは出てこないので、とりあえずヘルプで鑑定について調べてみた。


・鑑定

いろいろのものや人の詳細がわかる。対象を視認していないと発動しない。

隠蔽を見破ることができる。レベルの高いほうが優先される。レベルが同じ場合、使用回数の多い方が優先される。使用回数が同じ場合発動に失敗する。ワードを言わなくても発動する。


調べてみて、一つの可能性をたてた。

「あっ、それなら確認してみないと。神…さま?」

神様はいじけていた。

「ふーんじゃ、さっきまで無視していたのに、今更なんじゃ。用ができたかって聞くのは都合がよすぎるんじゃないのか?」

「えーっと、もしかして話しをしたかったんですか?」

「そうじゃ、それがわしの楽しみなんじゃ。それなのに…」

「すいません。僕って夢中になると回りが見えなくなるんですね。以後気をつけますから、機嫌なおしてくださいよ」

「じゃあ、わしとたくさん話してくれるか?」

「はい、もちろんですよ」

「そうか、そうじゃな。それで、なにを聞こうとしてたんじゃ?」

「はい。今まで取り寄せたものなら使えますよね?」

「ああ使えるが。?」

「それなら、タブレットPCを出してください」

「いいが、何に使うんじゃ?」

「それは見ていればわかると思いますよ」

そう言うと僕は、タブレットPCを覗き込んだ。思った通り自分の姿が映っていた。自分の姿を見てみると、少し透けているが、前と同じ容姿をしていた。そこで、ある事実に気付いた。

「す、透けてるぅぅぅ!?」

「そりゃそうじゃ、仮にも死んでいるんだからな。それにさっき、肉体はないっていったはずじゃが?」

「そういえば、そうでした」

気をとりなおして、タブレットPCを覗き込んだ状態で鑑定をしてみた。


名前:佐藤真(故人)


「え、それだけ?!」

「で、できるじゃと?!」


僕は、驚いていた。だって、鑑定といえば、ステータスを見るためのものじゃないの?いろんな異世界ものでは、ほぼ常識だよ?それなのに、なぜできない。まあ、レベルが上がればステータスも鑑定できるようになるでょう。というわけでさっそく当初の予定通りレベル上げだ。

そういえは、隠蔽を見破ることができるとか書いてあったな。ということは、同時にレベル上げができるってこと!?他に同時に上がるのはないかとスキル一覧を見たら、看破というのと、偽造というのがあった。


・隠蔽

ステータスを他人に見られなくする。幻覚魔法の隠蔽とは異なる。

対象を視認していないと発動しない。

隠蔽を見破ることができる。レベルの高いほうが優先される。レベルが同じ場合、使用回数の多い方が優先される。使用回数が同じ場合発動に失敗する。ワードを言わなくても発動する。


・看破

隠されているものを見破ることができる。

対象を視認していないと発動しない。

偽造を見破ることができる。レベルの高いほうが優先される。レベルが同じ場合、使用回数の多い方が優先される。使用回数が同じ場合発動に失敗する。ワードを言わなくても発動する。


・偽造

ステータスを書き換えることができる。

対象を視認していないと発動しない。

看破を妨害することができる。レベルの高いほうが優先される。レベルが同じ場合、使用回数の多い方が優先される。使用回数が同じ場合発動に失敗する。ワードを言わなくても発動する。


とりあえずこの4つのレベルを上がることにした。この4つなら、そこまで難しくないから。

というか、さっきから神様がおとなしいんだが?

と思い、神様の方を見ると神様も何か考えているようだった。そして、僕は思った。何気兼ねなく、レベル上げができると。

そしてレベル上げを始めて、しばらくすると神様がこんなことを言ってきた。

「しばらく、ここにいなくなるがいいか?」

「んー、いいんじゃない?」

「もう少し迷ってもいいんじゃないか?!もしくは、寂しいからってとめてよ!」

「んー、まあ」

「まあってなんじゃ、まあって。ふーんだ。もう助けてやらないからな」

そんなことを言い残してここからいなくなった。だが僕は、そのほとんどを聞いていなかった。頭の中ではずーっと鑑定看破鑑定看破鑑定看破───。と唱え続けていた。




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