第46話 やっぱり……
あっさりとあの男に勝ってしまった。最初からそうするつもりではあったけど、まあいいか。
それよりも、あの2人にはよく言い聞かせておかないとな。またこんなことになりたくないし。
それとアイリは朝からなんか僕達の邪魔をしないとかで僕達よりも早く家を出て行っていた。
そんなことで教室に向かいながら、僕はルナとリリーと話していた。
「ルナ、リリーに話がある」
「シン君どうかしたの?」
「シン様、そんな怖い顔をしてどうかしましたか?」
「おまえたち、僕のことを考えてくれることはうれしい」
「そんなシン君、恥ずかしいよ」
そんなことを言いながらルナは顔を赤らめていた。正直よくわからない。
「でもな、もう今日みたいなことはやめてくれよ」
「ん?今日って何かあったっけ?」
「あっただろ!おまえたちのせいで僕は決闘するはめになったじゃないか!」
「だってあれは、あの男がシン君を悪く言うから」
「そうです。あの男が悪いのです」
「それでもだよ!それくらい我慢してくれよ!」
「そんなの無理だよ。大切な人が傷つけられて黙っていられる人なんていないよ」
ルナが顔を赤くしながらもそんなことを言ってきた。
「うっ、そうかもしれないけど」
結局僕は、そのまま2人に押し切られてしまった。別に悪いことじゃないけど、これからたいへんになるなと、気を引き締めた。
そして、教室に着くと全員がこちらに注目した。そりゃあ、朝から腕を組んで登校してくれば、そうもなるもんだ。
僕は2人に抱きつかれたまま、自分の定位置になりつつある、窓際の一番後ろの席に向かい、席に着いた。
席は個別に分かれているのではなく、長机と長椅子があるだけの仕様になっている。そしてだいたいの場合は2人で座るのが基本なのだ。
まあ、無理をすれば3人座れないこともない。
まあ、そんなわけで、狭い席に3人が座り、いろいろとやばい状況になっている。まず、両サイドにいる2人の体が当たってきて(というか当てているんだろうけど)集中してできない。
しかもこれだけで終わらず、この光景を見た男子全員から、嫉妬したような目を向けられ、中には、決闘を申し込んでくるやつまで、出てくる始末。
女子の方はルナとリリーを質問責めにしていた。だから、2人がいないときにはあまり行動をしないようにしようと考えた。
こうして僕の平穏は崩されたのだ。
まあ、こう考えると、ルナとリリーが悪いという結果になる。はあ、やっぱりこの2人をなんとかしないといけないのか。
これが教室での今日1日に起きたことだ。
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