第43話 取り引き 2

「あのー、ルナさん?」


「ん?なにかしら?」


「僕の意見は?」


「え?売りたいんじゃないの?」


「そうだけど」


「なら、問題ないじゃない」


僕の意見は無視らしいですね。まあ、売ることにはもんだいないけど、なんかこの疎外感が嫌なのに。


そんなことで拗ねていても仕方ないので、おとなしく最初から売るつもりだったリンスを出した。


取り出すとその男は驚いていた。


「あの、失礼ですがこれはどこで?」


「?僕が作ったものですが?これを知ってるのですか?」


「知っているというわけではないのですが、先日この容器の設計図を持ってきてこれを作れば売れると言ってきた人がいまして、うちはものを作るのが商売じゃないと言って追い払ったのです」


「そんなことが」


「はいですので、その手のものかと」


「いえいえ、そんなわけないじゃないですか」


「それでこれはどういったものですか?」


「えーと、それは——」


「それは今販売されてるリンスよりもかなり品質が向上したものですわ!」


と僕が説明しようとしたら、ルナが答えてしまった。


「ほう、それが本当なら、かなりのものですね」


「でしょー」


と、ルナが得意げである。僕が作ったものなのに。


「それでこれが本物である証拠は何かありますか?」


「そんなもの、シン君が偽物を作るわけがないじゃない!」


「ルナ、そんなことじゃ説得力がないからな?」


「うぅ、だって……」


「そこまで信用してくれるのは嬉しいけど、少しは疑った方がいいぞ?」


「そんなことできないよ」


「と、茶番はそれくらいにしてくださいね」


この男茶番って言っちゃったよ。まあ、否定はしませんが。まあ、茶番って言ったせいでルナがうるさくなっているけど、今は無視して話を進めていった。


「えーと、証拠でしたよね?」


「はいそうですよ」


「それなら、これと同じものをいくつかあげますね。それを使ってみてから考えてください」


「ほう、それだけ自信があるんですか?」


「いえ、そういうわけではないのですけど」


「まあ、それならこちらで使ってみますね。本物であるということがわかり次第、商談といきましょうか」


「わかりました。あ、でもどういった基準で決められるのですか?」


「それは、私の妻が使ってみて、気に入ったら本物ってことで」


「わかりました」


そう言って、その日は帰ることになった。


ただ、帰る時までルナがうるさかったから、連れて帰るのがたいへんだった。なんとかなだめて、帰ることができた。



それから数日後、商談はまとまり、売ってくれることが決まった。


それといつの間にか、リリーの機嫌が直って僕とも今まで通り話してくれるようになったからよかった。ただ、今まで以上にスキンシップも激しくなったから、いろいろとやばいけど。


それとリリーとルナが少しだけ親しくなった気がするんだけど?


まじで何があった?

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