第42話 取り引き 1

「あ、そうだ。シン君」


「ん?どうしたの?」


「明日さっそく行ってみる?」


「え?大丈夫なの?」


「行っても平気だし、それにこういうことになら時間を割くだろうし、なによりこれは売れるからね」


「そうなの?」


「うん、絶対食いついてくるよ」


どころからそんな自信が湧いてくるかはわからなかったけど、僕はルナと約束をした。


そして、その日はご飯を食べ、風呂に入り、寝た。風呂ではさっそくいろいろと使っていた。


なんで知ってるかって?それはそのすべてにルナがくっ付いてきたからだよ。


いろいろ使っていたけど、なにが違うのかよくわからなかったのは言うまでもないな。僕が美容とかには詳しくないし。それにルナはもともとキレイだったし。


まあ、ルナがいろんなことにくっ付いてきたから周りの視線がいたかったけど。


なぜ僕がここまで責められるんだ?おかしいだろって改めて思ったし。


そして今、僕とルナは同じベットで寝ている。僕に拒否権などはなかった。


こういうことも責められるんだよな。


そんなことを思いながら僕はようやく眠った。



翌日、僕とルナは一緒に学校に行った。その時アイリもついてきたけど、結局リリーは部屋に閉じこもったままだった。


学校に行く間もアイリは僕のことを睨んでいた。納得いかないんならはっきり言ってほしいものだ。


そんなことで周りの視線を感じながら1日を過ごした。


放課後、僕はアイリに先に帰っているように言ってルナと一緒にルナの行きつけの店まで行った。


ルナの行きつけの店はなんかすごく手のかかってるような感じだった。外観を見る限りでは。


それでルナの先導で店に入って行った。


「いらっしゃいませ、ルティーナ様。本日はどのようなご用件でしょうか?」


「今日は、あなたに売ってもらいたいものがあるのよ」


そう言ってルナが話していたのは、豪華な衣装に身を包んだ男だった。細身で嫌な感じはしなかったけど、僕を見定めるような目はやめてもらいたい。


「ほう、そちらの方が依頼人ですか?」


「ええ、そうです」


「それで、どういったものですか?」


「いろいろな美容用品よ」


「それは大丈夫なのですか?」


「ええ、もう私が使ってみて実証済みだから」


「そうですか。疑ったことを聞いてしまい申し訳ありません」


「別にいいわよ。今はそちらのものでいろんな偽ものが出回っているんだから」


「それでは、実物を出していただけますか?」


「ええ、構わないわ」


と、僕が口を出す暇もなく、トントン拍子に進んでいった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る