第30話 ずっと一緒
それから僕たちは教室に向かった。
「あのー、ルナさん?」
「何?シン君」
「あのですね、ここはAクラスですよ?Sクラスはあっちですけど?」
「なんで!私一緒は嫌なの?」
「いえ、そう言うわけでは」
「なら、いいじゃない」
そう言って教室に引っ張られて行ってしまった。
教室に入るとまあ視線を集めますよ。みんなすごくびっくりしてるみたいで、口を開けたまま固まっている人がほとんどだった。
ルナはそんなことも気にせずに入っていた。
「それでシン君の席はどこ?」
「窓際の1番後ろの席です」
「あそこか」
そう言ってスタスタと僕を引っ張って行く。
そして席に着くとさもこのクラスの人ですよーみたいな振る舞いで座った。しかもこちらに体を押し付けてだ。
その後教室が揺れた。
「「「「「「えぇぇぇ!!」」」」」」
クラスにいた全員が目の前の光景が信じられないと言った感じだ。安心しろ。僕も意味がわからないから。
そしたら、そこら中でこちらを見てはひそひそと話し始める人が増えた。憶測を言う人、信じられないと叫ぶ人、泣き出す人、さまざまだ。
その中でも相変わらず僕に絡んでくるやつがいた。
「おい、貴様がなんでルティーナ様と一緒にいるんだ!それになんでそんなに親しそうなんだ!」
とりあえず無視。これに構っている余裕はない。
「おい、聞いているのか!」
そう言うとルナが口を開いた。
「ねえ君、誰に向かってそんな口を聞いているのかしら?」
「え?誰ってそこの魔族もどきの人にですよ」
「ふーん、そうなんだ。君さあ、死にたいみたいだね」
「えぇ!ルティーナ様なんでそんなことになるんですか?!」
「なんでって私の彼氏にそんな口きくってことは私に喧嘩を売るってことでしょ?」
「「「「「「えぇぇぇ!!」」」」」」
そして更にさっきよりも大きな声が響いた。
「いえ、そんなつもりは」
「だって、シン君にそんな偉そうな口きいておいて今更何を言ってるのかしら?」
そして身を翻して、土下座をしてきた。
「本当に申し訳ありませんでした!」
「謝るのは私じゃないでしょ?」
そう言うと、男爵野郎はこちらを向いてきた。
「今まで本当に申し訳ありませんでした!」
「別に気にしてないので」
「クソッ!なんで俺様がこんなことを」
そう小声で言っていたがルナの耳にはちゃんと届いていた。
「あら、本当に死にたいみたいね」
「ひっ、申し訳ありませんでした」
そう言って男爵野郎は逃げていった。
「あの、ルナさん」
「ん?何かしら?」
「そんなに目立つことはしないでください」
「だってあいつが——」
「だってじゃありません!」
「うっ、ごめんなさい」
「「「「「「えぇぇぇ!!」」」」」」
なんか今日のクラスメイトは驚いてばかりだな。そうやってのんきなことを考えていた。
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