学園編
再会編
第16話 王都
1週間の時間をかけ、ようやく王都についた。
王都を見た感想は、でかいとしか表現できなかった。それだけ大きさにインパクトがあったのだ。
門をくぐり、王都の中に入ると自分の街よりもかなり賑わっていた。
しかもいろんな店が出ていた。ただ、売っているものが欲しいかと聞かれるといらないと答えるだろう。
そんな品揃えだ。
妹は僕のはしゃぎぶりにご満悦のようだった。
お前が威張るところじゃないけどな。そう言ってやりたかったけど、機嫌を損ねるのはめんどうなのでそのままにしておくことに。
それから、しばらく進むと自分の家よりも大きな家の前に馬車は止まった。
「到着しました」
「え?ここが目的地ですか?」
「はい、そうですが?」
なんか、当たり前だろ?って口調で言われたんですけど。そんなこと知らないし。なんで別荘の方が大きいんだよ!普通は逆だろ!
「まったく、お兄様は。これ位普通ですよ。それに王都の方が広いですから、これが普通です。王城なんてこれの何十倍もあるのですから」
「はあ、そんなものか」
「そんなものです」
妹の口調は、人前ではかなり丁寧になる。でも家族内だとそれも崩れるけど。それとリリーはさっきから、ぽけーとしてる。それほど驚いているんだと思う。
「それでは荷物を降ろすので先に行っていてください」
「あ、私も手伝います」
荷物の話でようやく現実に戻ってきたリリーなのであった。
このリリーって言うのはリリーナがそう呼べと言って周りがそれに同調したためこうなっている。ほんとは馴れ馴れしいからリリーナのままの方がいいんだけど。そんなことで今の呼び名になっているのだ。
それで僕とアイリは家の方に歩いて行った。正直目の前の光景を信じたくないのだけど。
確かにお金はあるから、人を雇っているのは当たり前だけど今までそこまで人数はいなかったし、信用する人の方が多かったからいいけど、いきなり知らない人たちが頭を下げた状態で迎えるのはどうかと思う。それに信用もしてないし。しかも4人全員女とか、なんだよその拷問は!ハーレムとか思ったやつ、女は怖いからな気をつけろよ。恋愛感情がないだけましだけどな。
「長旅お疲れ様です。シン様、アイリ様。さっそく部屋の方に案内させていただきます」
「そんな畏まった口調はいいから、やめてって前も言ったはずだけど?」
「申し訳ありません。ですが一応上下関係がありますのでそこは譲れませんと言ったはずですが?」
「はあ、そんな人だったわね、ロゼは。だけど部屋に行く前に自己紹介しないといけないから、とりあえずリビングに案内して」
「畏まりました」
「荷物もそんなにないから自分たちで運べるからな」
「それはできません」
「え?なんで?」
「なんでとは?逆だになぜ、雇い主様のご家族の方にそんなことをさせなければならないのですか?」
「それくらいなら、自分たちで普通に運べるからですけど?それにそう言う風に育ちましたから」
「それでもです。それにそれでは私たちの存在意義がなくなってしまいます」
「はあ、そう言うものですか」
「わかっていただければいいのです。それではリビングの方に案内しますね」
「あのー、この荷物はどこに置いておきましょうか?」
「ええ、それなら、玄関の隅に置いておいてください」
「わかりました」
「あ、私も終わったら行くので待っていてくださいね」
そう、最後に図々しく言うリリーであった。
うーん、まだ甘いところもあるな、と改めて思った。
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