第25話「嵐の前の静けさ」


 基地で暮らすようになってすでに一週間が経過している。その間に色々なことがあった…。もちろんクポ達侵略者の方じゃない。聖香と静流と麗さんが原因の事件ばかりだ。


 俺はすでに真っ白に燃え尽きそうなほど疲弊していた。まだクポ達と戦ってもいないのに………。もちろん俺達の代わりに地上で生活している偽者は同じく偽者のコンクエスタムの怪人達と戦っている。クポに二人が真面目に戦っているように見せかけるためだ。


 ただそうやって時間を潰しているだけじゃない。まず俺達がしっかり戦えるように身の回りの人達の保護を行っている。コケティッシュシスターズの二人じゃないけど親しい人を人質に取られて言うことを聞かさせられる可能性もある。だからまずはそういう人質になりそうな人の保護を優先するのはやむを得ない。


 世界中の人が同じ危険に晒されているのは確かだけど全員を一度に救えない以上はどうしても優先順位が出来てしまうのは仕方ない。それに保護と言っても俺達みたいにこの秘密基地に匿っているわけでもない。秘密基地に匿うことも出来るけどそれは同時に情報漏洩などのリスクも高まる。


 本人達に気付かれないようにそれとなく影ながら助ける形で守っているから中々に骨が折れるようだ。それでも重要な関係者達はほとんど保護が完了したようなのでそろそろ次のステップに進む頃だろう。


 その会議のため俺はデスフラッシュ大佐に変身して会議室へと向かう。そこにいるのはいつもの怪人達とコケティッシュシスターズの二人だ。


デスフラッシュ「それでは会議を始める。」


ブルー「………何か悪の秘密結社が普通の会議をしてるのって変な感じね。」


デスフラッシュ「おい。俺達は悪の秘密結社じゃないって言ったはずだが?」


 ブルーの言葉に俺は反応する。二人には話したはずなのに未だに俺達を悪の秘密結社と呼ぶなんて一度刷り込まれた人の認識はそう簡単に変えることは出来ないのだなと思い知らされた。


ブルー「ごめんなさい。そうだったわね。」


デスフラッシュ「わかってくれたらいい。」


 別にブルーを責めようという気はない。ただ俺達が悪人じゃないとわかってくれたらそれでいい。


ピンク「ですがブルーの気持ちもわかります。普通怪人達は上役というか司令官というかそういう方から指示されて動くものだと思っていました。普通の会社のように皆で集まって会議をするとは思いもよりませんでした。」


デスフラッシュ「他の秘密結社がどうかは知らない。これが俺達のやり方だ。」


 確かに漫画やアニメや特撮ものではそういう描写になっているかもしれない。怪人達に発言権のようなものはほとんどなくワンマン司令官が指示を出してそれに従うだけというようなものも割りと多い気がする。


 だけどうちは基本的に普通の会社だ。秘密結社という形ではあるけど構成員のほとんどは普通に会社員をしているしコンクエスタム自体も普通の会社と変わらない業務を行っている。最高責任者として俺がいるけどだからって下の立場の者が俺の命令に全て従うというものじゃない。


 基本的にはお互いを尊重しており意見を交わす間は上下はない。もちろん指揮系統が混乱しないように作戦中は上官の命令に服従ではあるけどその作戦を決める段階では誰もが対等の立場で意見を出せる。


ピンク「やはり…、私達は誤解していたようですね…。今まですみませんでした。」


 ピンクが頭を下げる。確かに散々邪魔をされて色々と思うことはあったけど操られていたのなら仕方がない。本人の意思でもないのに本人の意思のように誘導されて戦わさせられていたのだから二人だって被害者だ。


デスフラッシュ「気にすることはない。お前達も操られていた被害者だ。誤解が解けたのならこれからはより良い関係を築けばいい。」


ピンク「………そう…ですね。」


 ピンクは少し驚いた顔をしてからやわらかく微笑みそう答えた。………う~ん。静流もこういう顔をしてたら可愛いのになぁ…。ちょっと病んでる時は怖い………。でもあの巨乳は…。いやいや、落ち着け俺。巨乳に騙されるな。


キラーレディ「ごほんっ!それでは始めてよろしいでしょうか?」


 キラーレディがわざとらしく大きな咳払いをして俺に確認をとってくる。机で皆の足元は見えてないけど俺の隣に座るキラーレディのヒールが俺の足の甲を思いっきり踏んでる。………痛い。


デスフラッシュ「ああ…。頼むよ。」


キラーレディ「それではまずは重要関係者の保護の進捗状況から………。」


 俺の言葉を受けて会議が始まったのだった。キラーレディは俺の足を踏んだままだが………。



  =======



 これまでの予定の進捗状況の確認や状況の変化に合わせた今後の予定の修正を行って主要な議題は滞りなく進んだ。


スクイッドエスタム「それで…、そろそろ次の段階に進みたいと思いますがいかがでしょうか?」


 スクイッドエスタムは待ちきれないようだ。人一倍正義感の強いスクイッドエスタムは一刻も早く侵略者達の危険を取り除きたいのだろう。


 もちろん俺も反対する理由はない。無闇に突っ込むだけなら止めるところだけど次のステップに進むためにこれまで準備してきたわけだしそろそろ動いてもいいだろう。


デスフラッシュ「よろしい。それではこれより作戦の第二段階へと進むことにする。」


怪人達「「「「「はっ!」」」」」


キラーレディ「それでは第二段階を発動いたします。」


 怪人達もキラーレディもすぐに次の行動に移ってくれるだろう。


ブルー「すごくよく出来た組織ね。」


ピンク「役割分担も連携も万全です…。私達が思っていた以上にすごい組織だったと思い知らされます。」


 ブルーとピンクは少し萎縮してそんなことを言い出した。


デスフラッシュ「急にどうした?」


ブルー「だって…。私達ってまるで必要なくて…。」


ピンク「コンクエスタムの方々はテキパキと行動されているのに私達はただ保護されているだけで何の役にも立たず…。」


 なるほど…。確かにコケティッシュシスターズはクポの魔法科学を授けられていたとは言えただの子供のおままごとと大差ない行き当たりばったりだった。


 それに比べてコンクエスタムは社会経験豊富な者から各業務の専門家まで様々な者が集いきちんとした体制と会議による緻密な計画のもとに動いている。


 二人が自分達と比べて至らなさを恥じる気持ちもわからなくはない。だけど…。


デスフラッシュ「コンクエスタムだって最初からこれほどしっかりしていたわけじゃない。俺達は五年以上も試行錯誤しながら活動を続けてきた。その結果今があるにすぎない。」


ブルー「………え?」


 ブルーが間の抜けた顔で俺を見つめる。


デスフラッシュ「最初から何でも完璧なものなんてないんだ。俺達だって今まで数多くの失敗をしてきた。次は同じ失敗を繰り返さないようにと改善してきたから今の体制がある。」


ピンク「そうですね…。」


デスフラッシュ「コンクエスタムは大勢の様々な者達がいる。だからお互いに意見を出し合ったりこれまでの経験から学んだことを教えあったりしてここまでこれたんだ。お前達はまだ若い。社会経験もない。そういう経験のある者達が集まって五年以上もかけて作り上げたコンクエスタムと自分達を比べて卑屈になる必要はない。お前達はこれから学んでいけばいい。」


ブルー「まさかデスフラッシュ大佐に慰められる日がくるなんてね…。」


ピンク「ありがとうございます…。確かにあなたの言われる通りです…。」


 二人は憑き物が落ちたようにすっきりした顔で俺に礼を述べたのだった。



  =======



 会議が終わった俺は急いで改太に戻って自室に篭る。大体いつも通りなら会議が終わるとあの二人が部屋を訪ねてくるからだ。


聖香「九条く~ん?いる~?」


改太「はいは~い。」


 予想通り俺の部屋を訪ねてきたようだ。本来防音は完璧なので聖香の声が中まで聞こえるようなことはない。現代で言えば所謂インターホンのようなもので音声を拾っているから聞こえているだけでインターホンをオフにしていれば当然聞こえない。


 プシュッ!ウィィーン!


 と機械的な音がして金属製の扉が俺の押したボタンに反応し横にスライドして開く。


聖香「あがってもいいかな?」


 聖香は少し赤い顔で上目遣いになって俺を下から覗き込みながらモジモジとそんなことを言う。はっきり言おう。可愛い。何だかんだで聖香が一番普通の娘っぽい。しかも可愛い。性格も活発で明るくて皆に気遣い出来る良い娘だ。


改太「どっ、どうぞ。」


 可愛らしい聖香の仕草にドキドキしてきた俺はどぎまぎしながら聖香を招き入れる。


静流「九条君。私もいるのですけど私もあがってもよろしいですか?」


 カクンと可愛く小首を傾げて静流も問いかけてくる。確かに仕草は可愛い。顔も笑顔に見える。だけど何か不機嫌なオーラが漂っているような気がして少し怖い…。


改太「はいっ!どうぞ!」


 俺は背筋を伸ばして緊張しながら答える。


静流「どうもありがとうございます。」


 まだ少し怖い顔のまま静流は聖香に続き俺の横を通り抜けて部屋へと入っていった。


改太「あ~ぁ…。祁答院さんはそういう怖いところがなかったら可愛いのに…。」


静流「…え?」


改太「あっ!いや!何でもないよ!」


 俺はうっかり本音を漏らしてしまった。やべぇ!また怖い顔で怒られるか?!


 ………と思った俺の予想とは違う反応が返ってきた。


静流「可愛い…?私が?………でも怖いですか。もっと九条君の好みの女の子になるにはどうすれば良いですか?」


 狭い玄関通路で俺の横を通り過ぎようとしたまま立ち止まった静流は真っ赤になりながらも俺に縋りつくように迫ってきた。


改太「あ…、いや…、その…。一先ず落ち着こうか?」


 やばい。静流が赤い顔をしながらウルウル瞳ですがり付いてくる。っていうか巨乳が俺の胸板に当たってる!ってこれもう完全に抱き合ってる距離だよな!やばい!頭が真っ白になる!


静流「九条君………。」


改太「あ~…。俺って怖いのは苦手だから…。お淑やかなのがよかったり、すぐに怒ったりしないほうがいいかなぁなんて?それに嫉妬深いのもちょっと怖いかなぁ…。とか?あははは………。とりあえず近いから離れようか?」


 俺の好みを言うまで離しそうになかった静流に思ったことを言ってから何とかこの状態から逃れようと提案してみる。だけど静流は俺の言葉を口の中で反芻するだけで一向に離れてくれない。俺の理性がもたない!柔らかくて大きなましゅまろがむにょんむにょんと………。あ…、やべぇ…。鼻血が出そう…。


聖香「ちょっと二人とも!玄関で何してるのよ!いつまでも来ないと思って見に来てみれば!」


 いつまで経っても部屋に入って来ない俺達の様子を見に来た聖香によって引っぺがされるまで静流は俺の胸板にくっついていたのだった。



  =======



 いつものように会議での話を俺に聞かせてくれる。もちろんさっきまで一緒に会議してたんだから内容は全部知ってるけど俺はそれを黙って聞き続けた。


聖香「…だからこれからは今までのようにただここで匿われて安全というわけにはいかなくなったの。」


静流「でも安心してくださいね。九条君はこのままここで身の安全が保障されていますから。」


 聖香と静流は俺を安心させるように微笑もうとしている。だけどその顔には隠し切れない悲壮な覚悟が見え隠れしていた。


改太「大丈夫だよ。二人はきっと無事に帰ってこられるから。」


 そう…。どんなことがあっても二人は俺が守るよ。コンクエスタムの怪人達とはすでに話をしてある。皆命を賭けることになっても俺に付いてきてくれると言ってくれた。自らの意思で命を賭けて共に戦ってくれる仲間だ。


 だけどこの二人は違う。この二人はクポに利用されて巻き込まれてしまっただけだ。本当なら普通の年頃の女の子だったはずなのにクポのせいでその身を危険に晒して戦う道に引き摺りこまれてしまった被害者だ。


 だから絶対に俺が二人を守る。例え敵がどれほどの技術力を持った侵略者であったとしても二人は絶対に無事にもとの生活に戻してあげる。


聖香「………九条君。そう言ってくれるのはうれしんだけど…。」


静流「………何か隠してますよね?」


改太「…え?何のことかな?」


 二人はジト目で俺を見ている。………何でこんな時だけ妙に鋭いんだよ。


聖香「そういう顔をしてる時の九条君は何か覚悟を決めてる時だからね。」


静流「私達にはわかりますよ?」


 そう言われて俺はぺたぺたと自分の顔を触ってみる。特に何も変わりないと思うけど…。っていうか顔?俺は今も〝めだたーぬ〟を掛けているはずだ。それなのに俺の顔が認識出来ているのか?


 〝めだたーぬ〟は〝あなた………一体誰?〟よりは顔の認識阻害効果は低いけどそれでも一応そういう効果もある。だからクラスメートでも俺の顔を思い出せるような奴はいないだろう。それなのにこの二人はそんな状態の俺の表情の違いまでわかるのか?


聖香「やっぱり…。何か隠してるのね?」


静流「そうやって動揺して顔を確かめているのは自白したも同然ですよ?」


改太「うっ………。」


 ほんとどうしてこの二人はこういう時だけ鋭いんだろう…。


改太「とにかくっ!二人が無事に帰ってこれるのは俺が保障するよ。だからそんなに気負わないでいつも通りにしていればいいよ。」


 俺はもう二人を誤魔化そうとしても墓穴を掘るだけだろうと思い開き直ってそこには触れずに言いたいことだけ言うことにした。


聖香「………うん。ありがとう九条君。」


静流「絶対…。絶対帰ってきますね。」


 先ほどまでの張り詰めた顔とは違い柔らかいいつもの笑顔で二人は応えてくれたのだった。




  ~~~~~コケティッシュシスターズ~~~~~




 作戦が第二段階へと移行するとコンクエスタムの会議で決まり改太にもその話を告げた二人は聖香の部屋で話し合っていた。


聖香「やっぱり九条君にはすぐに見抜かれちゃったね。」


静流「そうですね。九条君には余計な心配をかけないようにって事前に取り決めていたのに無意味でした。」


 聖香はベッドに腰掛け静流はソファに座りながら先ほどの改太の部屋の出来事について話している。自分達の覚悟を改太に知られずにおこうと思ったのに一目ですぐに見抜かれてしまった。


聖香「学院で親しい友達とか私達のファンクラブとか言ってる子達は私達の顔色も表情も全然わかってないのに九条君は一目見ただけですぐに気付いてくれるもんね。」


 聖香は思い出す。改太は学院で聖香の顔色を見ただけで体調が悪いことをすぐに見抜いて気遣ってくれたことが何度もあった。普段から活発で多少のことなら無理と我慢をしてしまう聖香は疲れていても体調が悪くても中々誰も気付かない。


 聖香はそれで良いと思っている。周囲に余計な心配をかけるくらいなら自分が辛いのを我慢して辛くない顔をしていれば全て丸く収まると思っていた。


 それなのに改太はそんな聖香のことを全て見抜いてしまう。聖香の体調を気遣ってくれるのは改太か静流くらいしかいない。皆に頼られるばかりの聖香を気遣ってくれて頼らせてくれるのは改太だけだった。


 人に頼られるばかりで誰かを頼ることも甘えることも出来ずに無理をしてきた聖香にとって甘えて頼りに出来る改太を好きになるのにそう時間はかからなかった。


静流「九条君は本当の私達を見てくれていますから…。」


 静流は思い出す。静流は幼少の頃からお嬢様教育を受けてきた。今の学院に入学するまで女子校で過ごしてきた静流にとって共学は憧れと同時に恐怖でもあった。


 整った容姿である静流は男子生徒から注目を集めていた。自分に接してくる男子には二種類しかいなかった。その容姿と家柄を目当てに寄ってくる欲望に塗れた者達かそのお嬢様育ちゆえの世間とのずれを好奇の目で見てくるものだ。


 だが改太は違った。改太は静流が祁答院家の令嬢と聞いても何の変化も示さなかった。そして静流がお嬢様がゆえの失敗をしてもただそっとそのフォローをしてくれていた。今まで自分に接してきた男達とはまるで違う改太に興味を持つのは自然なことだった。


 改太は目立たずただそっと救いの手を差し伸べてくれる。それは自分だけにではない。誰も気にしないが学院のクラスメートで改太の世話になったことがない者はいないだろう。改太は誰にでも分け隔てなくありのままに接してくれる。


 静流の家柄目当てでも体目当てでもなく、世間ずれしていない静流を好奇の目で見ることもない。静流が改太に恋心を抱くのは自然な流れだった。


聖香「でもあの時の…。私達が無事に帰ってこれるって言ってくれた顔…。」


静流「ええ…。あの時と同じ表情でした。」


 学院の入学式の帰りに初めて聖香と静流は知り合った。その容姿ゆえにナンパされていたがほとんど男性と接したことのない静流はそれを断れないでいた。そこへ聖香が助けに入ったことで二人は親しくなり一緒に帰ることになった。


 その帰りに学院の近くを流れる川の橋を通りかかった時に二人はある出来事を目撃した。川にダンボールに入れられた子猫が流されていたのだ。


 気付いている者も何人かはいたがまだ寒い春先に冷たい川に入ってまで子猫を助けようとする者は一人もいなかった。聖香が助けようと思った時に一人の学院生が躊躇することなく川へと入っていった。


 この寒い中自分が濡れることも厭わず子猫のために川へと入っていくその少年に二人は魅入られたかのように見つめ続けていた。まるで何事もなかったかのように平然と子猫を助けてその場を去っていく少年は誰にも注目されていなかった。


 翌日もその件が話題になることはなかった。あれだけ学院生が見ていたにも関わらずその少年のことは誰も口にしない。ただ聖香と静流だけが彼のことを覚えていた。


 その彼を学院内で見かけた時に聖香と静流はすぐに声をかけたのだった。その少年が九条改太だ。二人はその一件だけで改太のことを好きになったわけではない。それはあくまで改太に注目することになった切っ掛けにすぎなかった。


 それから二人は改太に興味を持ち観察し話しかけ続けた。そうして改太と触れ合っているうちに段々と二人揃って改太を好きになっていった。


 改太は学院でまるでいないかのようにほとんど目立たない。だけど二人だけは知っている。改太はまるで気負うでもなく普段と変わりないように過ごしていながら大変なことをすることがある。


 子猫のために川へと入って行った時もそうだった。窓から転げ落ちそうになったクラスメートを掴んで救った時もあった。学院際でクラスの出し物が間に合わないと皆で諦めていた時も一人で頑張って間に合わせてしまった。


 そんな時改太は決まってそれが何でもないことのように平然とした顔で大それたことをしてしまうのだ。さっきの改太もそんな顔であんなことを言った。


 それはきっと自分達のために大それたことをする前兆なのだと二人にはすぐにわかったのだった。


聖香「もちろん私達だって何があったって絶対に九条君のもとへ帰ってくるわ。」


静流「そうですね。まだ私達の気持ちも伝えていませんものね。」


聖香「だから九条君にも無茶させないように…。」


静流「私達もしっかりしなくては…。」


 二人はこれからのことに覚悟を決めて顔を見合わせて頷きあったのだった。


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