第17話「新たなる敵」


 三条家で朝食を食べているけど麗さんはまだちょっと怒っていた。


改太「麗さん。まだ怒ってるの?」


麗「怒ってなんていません。」


 つーんとそっぽを向いてしまう。どう見ても拗ねてる。はぁ…。仕方ない。奥の手を使うか。


改太「はい。麗さんは良い子だね。かいぐりかいぐり。おつむてんてん。」


 俺は麗さんの隣に立って頭を撫でる。


麗「そっ、そんなもので誤魔化されませんよ!誤魔化され………。ごま…か………。はぅ…。」


 頭を撫でてると段々麗さんが大人しくなってきた。最後にはうっとりした表情で俺に身を任せてる。ふっふっふっ。俺だってやられっぱなしではないのですよ麗君。


 俺が麗さんのウルウルにやられるように麗さんは俺のおつむてんてんにやられるのだ。どんな怒りもこれをすれば五秒で消え去るという魔法のおまじないだ。


 ただしこれにも欠点はある。これをすると麗さんの全身の力が抜けて緊張が失われる。今のようにふにゃっとなってしまうのでいつもの敏腕秘書としての能力が失われるのだ。それに完全に油断し切ってしまうから目を離すことも出来ない。


 昔外出先でこれをしてふにゃふにゃになってる麗さんから一分間目を離した隙にナンパされて連れて行かれそうになっていた。普段の麗さんならピシャリと容赦なく断るのにそのまま連れ去られそうになっていたのだからどれほど腑抜けているかよくわかると思う。


 放っておけばそのうちふにゃふにゃになったのは元に戻るけど多用していい技じゃない。あくまで奥の手だ。麗さんはのぼせたようにぽ~っとした顔をしてる。怒りは収まったけど腑抜けすぎてしまった。これから出勤なのに大丈夫かな?


改太「麗さん大丈夫?会社に行ける?」


麗「はぃ。大丈夫れす。改太様をお送りいたしまふ………。」


 だめだこりゃ…。麗さんが元に戻るまで暫くかかったのだった。



  =======



 なんとか元に戻った麗さんの車に乗せてもらって学院まで送ってもらった。


麗「それじゃ改太君いってらっしゃい。」


 麗さんは人前用のしゃべり方で俺を送り出す。


改太「うん。いってきます。送ってくれてありがとう麗さん。」


麗「ふふっ。いいのよ。何なら毎日送り迎えしたいくらいだから。」


 麗さんは微笑みながらそう言う。けどそれは勘弁だ。今ですら登校中の学院生達が麗さんを見てる。そりゃもう滅茶苦茶見てる。某高級スーパーカーに乗った超美人でやり手の秘書っぽい綺麗なお姉さんが校門の前にいたら誰でも見るだろう。


改太「うっ、うん。気持ちだけ貰っておくよ…。」


 俺はやんわり断りを入れておく。麗さんは超解釈で飛躍して言葉を受け取ることが多々ある。もうちょっとはっきり断った方が無難だけどそれはそれで麗さんの機嫌が悪くなったり拗ねたり泣きそうになったり色々と問題が起こるから加減が難しい。


麗「そう?私は大丈夫よ?………あら?ふふんっ。」


 話してる途中で麗さんの視線が俺の後ろに向かったかと思うと勝ち誇ったような笑みを浮かべた。俺も後ろを振り返るとあの二人がこちらを見てる。それも鬼のような形相だ………。こえぇ…。


改太「うん。今日だけでいいから。それじゃ俺はもう行くね。ありがとう。」


 何かこのままではまずそうな雰囲気だったから俺は早々に切り上げて脱出を試みる。


麗「それは残念ね。それじゃまた後でね。」


 麗さんは『後で』の部分を強調しながら二人に視線を固定したまま勝ち誇った笑みを浮かべる。ともかく麗さんは車に乗って仕事に向かい俺は学院に向かってなんとかこの場は切り抜けた………。わけはなかった。


聖香「おはよう九条君。あれはどういうことかしら?」


静流「おはようございます九条君。じっくりお聞かせ願いましょうか?」


改太「おはよう二人とも………。まずは落ち着こうか?」


 聖香と静流に捕まった。言葉はいつも通りだけどその纏った気配は鬼も真っ青になって逃げ出すほどの怒りのオーラに包まれていた………。俺は今日生きて帰れないかもしれない…。



  =======



 朝は時間がないからと言って二人から何とか逃げた。でもそんなものは所詮ただの時間稼ぎでしかない。結局昼休みにいつものベンチに連行されて色々と聞かれる羽目になった。


聖香「まったく…。どうしてあの女の人と一緒に登校してきたのかしら?…はい。あ~ん。」


改太「あ~ん…。むぐむぐ…。…えっと、今日はたまたま朝会ったから送ってくれるって………。」


 今日は聖香のお弁当の日だから聖香にあ~んされながら今朝の言い訳をしている。


静流「本当でしょうか?…それに九条君、今日はいつもとボディソープもシャンプーも違うものを使ってますよね?制服を洗った洗剤もいつもと違うものです。」


改太「えっ!そっ、そう?いやぁ…、俺そういうのあまり気にしないからわからないなぁ…。はははっ…。」


 静流は犬か何かか?俺のシャンプーやボディソープの匂いとか覚えてんの?!シャツや制服の匂いも?!何かちょっと怖いんだけど!


 とにかく俺は笑って誤魔化すしか方法がなかった。まさかいつもと匂いが違うなんて突っ込まれるとは思ってなかったから言い訳なんて考えてなかった。


聖香「むぅ…。わかったわ。それじゃ明日から私達が迎えに行くから一緒に登校しましょう?」


静流「それは良いですね。是非そうしましょう。」


 それは嫌だ!今でも毎朝二人に声を掛けられるだけで目立ちまくってるのに二人と一緒に登校なんてしてきたら俺は二人のファンクラブ会員に本当に刺されかねない。それに俺の平穏な学院生活が台無しになってしまう。これはなんとしても断固拒否だ。


改太「それは駄目だ。二人と一緒だと俺が目立ちすぎちゃうよ。二人に協力はしたいけど俺は平穏な学院生活も送りたいんだ。だから俺の平穏な学院生活が失われるようなことになるんだったら二人には協力出来ないし一緒にもいられないな。」


 俺はきっぱりと言い放つ。これでそれじゃもういいなんて言われたら黒幕を探るのに少し困るけどそれよりも俺の学院生活の方が大事だ。


聖香「えっ?まっ、待って。撤回するから。だからそんなこと言わないで。」


 聖香が俺の肩を掴んで懇願するような顔で下から覗き込んでくる。


静流「そっ、そうですよ。九条君の協力がなくなれば私達は負けてしまいます。私達が負ければ地球の平和も失われるのですから九条君の学院生活も大変なことになってしまいますよ。ですから一緒にいられないなんて言わないでください。」


 静流は空いている俺の手を握りながら必死に説得してくる。何かちょっと可哀想になってくるな。


改太「大丈夫だよ。二人が俺の生活を滅茶苦茶にしないなら協力するよ。ただ俺だって生活全てを犠牲にして協力したり一緒に戦ったりは出来ないからその分別だけはちゃんとつけてくれたらいいよ。」


聖香「ほっ、本当?もう一緒にいられないとか言っちゃやだよ?」


 うっ!聖香もウルウル攻撃かっ!やばいぞ…。滅茶苦茶可愛い。俺こういうの好きなのかな………。


改太「だっ、大丈夫。二人が約束を守ってくれるなら俺も守るよ。」


静流「よかった………。もう九条君がいない生活なんて考えられません。これからも私達のことを守ってくださいね。」


 えっ?何か言葉の意味間違えてないか?俺が守るって言ったのは二人が俺の私生活を滅茶苦茶にしないという約束を守ったら俺も二人に協力する約束を守るって言っただけで二人を俺が守るとは言ってないぞ。


改太「えぇ?俺は二人みたいに戦えないから二人を守るなんて出来ないよ?」


静流「くすっ。何も戦うことだけが守ることではないんですよ?九条君が一緒にいてくれて私達のために色々としてくれることが私達を守っているんです。」


 静流はにっこりと微笑みながらきっぱりとそう告げる。なんだよ!可愛いじゃないか!くそぅ…。握られてる手に意識が集中してしまう。少しヒンヤリした静流の手が気持ちいい。


改太「そっ、そうなの?」


 俺はなんとか手から意識を逸らしてそれだけ言うのが精一杯だった。


静流「はい。」


 静流は少し首を傾けながらそう答える。あぁ~…。ギュッて抱き締めたい!


聖香「ちょっと九条君?今日は私の日なんだからね?」


 聖香に肩を引っ張られた…。


改太「うっ、うん。わかってるよ。」


聖香「本当かしら?それじゃ…次はどれを食べる?」


改太「う~ん。じゃあそっちのミートボールを………。」


 どうやら二人の機嫌もある程度直ったようだ。あるいは誤魔化し切ったとでも言おうか。この後は特に怒られることもなく平穏な昼ご飯を食べたのだった。


 ………あれ?俺ってもう二人にあ~んされてお弁当を食べさせてもらうのが普通になってないか?完全に受け入れてる気がする………。まぁいいか。これはこれで幸せだ。おいしいご飯が食べられて、可愛い女の子二人に囲まれて………。女の子が苦手だったはずなのに最近段々そんなことなくなってきてるかもしれないな。



  =======



 放課後はもちろん二人と一緒にパトロールに出かける。黒幕が次の敵を用意するまでにどれくらいかかるかわからないけどこっちも新監視網を配備するまでに時間がかかる。できればこっちの準備が整うまでもう少し猶予が欲しいところだ。


聖香「今日は向こうへ行ってみましょう。」


静流「そうね。」


 二人はどんどん進んでいく。………まさかこれはまた黒幕に操られてどこかへ誘導されている?普段の二人なら目的地もなくただ街中をブラブラしてるだけなのに今の二人ははっきりと目的地があるかのように迷いなく進んでる。これまでのパターンからするとこれは操られている可能性が高いと思えた。


改太「二人ともどこか目指してるのかな?」


 俺はさりげなく聞いてみる。この状態の二人がどの程度自我というか自分なりの思考力が残っているのかも気になる。


聖香「え?何言ってるの?そんなのないよ?いつも通りただパトロールしてるだけよ。」


静流「変な九条君ですね。どうかされたんですか?」


 この二人には俺の方がおかしいように感じるようだな。もちろん二人の方こそおかいしんだよなんて言ってややこしいことになったら敵が逃げてしまうかもしれないから俺が引き下がる。


改太「そうかな?俺もいつも通りだよ。それじゃ早く行こうよ。」


聖香「そうね。」


静流「はい。」


 二人はそれだけで何も疑問に思わず先へと進んでいく。辿り着いたのはこの町にある児童公園とは違う大きな緑地公園だった。


聖香「………静流あれを見て!」


静流「…ええ。どうやら敵を見つけたようですね。」


改太「え?」


 俺には特に異変は感じられない。センサーにも何の反応もない。この二人には何か見えているのか?


聖香「九条君こっち。」


静流「さぁ。早く。」


改太「あっ、ああ。」


 俺は二人に促されるまま公園の奥へと入っていく。かなり奥へと入って周囲に人が完全にいなくなる。こんな場所まで来る人はそうそういないだろう。俺達がそこに辿り着くといつもの立体映像が映し出された。


 俺達が来る前から先に仕掛けられていて俺達が来たら自動的に反応する仕掛けになっていたようだ。この辺りには今はもう黒幕はいない。


殺し屋教授「け~っけっけっけっ。ようこそコケティッシュシスターズ。わしはペルディッソの大幹部殺し屋教授じゃ。」


 出てきたのはシルクハットにフロックコートの英国紳士風の老人だった。


聖香「ペルディッソ?」


殺し屋教授「いかにも。我らの目的はコンクエスタムのような世界征服などというくだらぬ野望ではない。我らの目的は世界を破壊すること。そしてその破壊こそが新たなる世界を生み出す創造のはじまりなのじゃぁぁぁぁ!」


 一応言っておくがコンクエスタムは世界征服なんて野望は持ってないぞ。偽物のネオコンクエスタムの目的が世界征服だったかどうかは俺達には関係ないし…。


静流「くっ、狂ってます。そんなことのために人々の平和を脅かすなんて許せません!」


聖香「やるわよ!コケティッシュパワー!」


静流「フォームチェンジ!」


 二人が変身しようと光ったその時………。


殺し屋教授「今じゃ!やれぃ!タイフーンクリーナー!」


タイフーンクリーナー「キュイィィィーーー!」


 掃除機を被った変態…じゃないな。掃除機の頭をしたような怪人が殺し屋教授の声に応えて出てくると顔から伸びたノズルを二人に向けた。すると二人の姿を変えようと体に纏わりついていた光はそのノズルに吸い込まれていき二人は変身出来なかった。


 特に何か吸い込むような風とかは起こっていない。二人が変身する魔法科学の力の元のようなものだけ吸い取ったのだろう。これじゃこいつが近くにいる限り二人は変身できないな。


聖香「そんなっ!」


静流「変身できない?!これではどうすれば………。」


殺し屋教授「け~っけっけっけっ。コケティッシュシスターズ敗れたりじゃ!やれぃタイフーンクリーナー!」


タイフーンクリーナー「キュイィィィーーー!」


改太「………。」


 タイフーンクリーナーは再度吸い込むだけで何もしない。二人の変身は邪魔出来るかもしれないが邪魔してるだけじゃ勝ちもないんじゃないのか?


 まぁ敵が本当に賢かったり勝つ気だったら二人は簡単に負けてしまうからわざと弱く設定したり馬鹿なAIにしてるのかもしれないけどこれはいくらなんでもあんまりだろう………。


 ただ変身する時の光を吸い取る怪人とそれを見て馬鹿笑いするだけの大幹部…。すごいシュールだ。黒幕は地球人のことを馬鹿だと思ってるんだろうか?いくらなんでもここまで敵が馬鹿だったら普通の地球人ならあっさり勝てるぞ………。


改太「一旦逃げるぞ!」


聖香「え?あっ!ちょっとそれじゃこいつらはどうするの?」


静流「そうですよ。怪人達を野放しにすれば犠牲が出てしまいます!」


 はぁ…。ほんと操られてる時の二人は思考が滅茶苦茶だな。


改太「馬鹿っ!ここで二人が負けたら誰がペルディッソの野望を食い止めるんだ?勝ち目がないのにただ闇雲に突っ込むのは勇気でも何でもないぞ。あいつを倒すためにも一度離れて態勢を立て直すんだ!」


聖香「そっ、そうね…。」


静流「九条君の言う通りです………。ごめんなさい。」


改太「落ち込むのも反省も後だ。まずはここから離れよう。」


聖香・静流「「うんっ!」」


 こうして俺達は一度態勢を立て直すために逃げ出したのだった。



  =======



 殺し屋教授とタイフーンクリーナーはただ吸い込み続けるだけで俺達を追ってこなかった。俺達は公園の中にあった建物の物陰に隠れて相談を開始する。


改太「よし…。追ってきてないな。まずあのタイフーンクリーナーの吸引がどこまで有効かを確かめないと勝ち目はない。」


 俺は二人に意見を述べてみる。まずあのタイフーンクリーナーが二人が変身しようとした力を吸い取って変身を邪魔したのは間違いない。じゃあその性能がどのようなものなのか。これが重要だ。


 今わかっている範囲ではタイフーンクリーナーは十メートル程度の距離から二人が変身しようとしたその光を吸い取ることが出来た。だが俺達が逃げ出したにも関わらず殺し屋教授とタイフーンクリーナーが追ってこなかったことからもしかしたらもっと遠くまで有効なのかもしれない。


 それならば無駄に追いかけるよりあそこで吸い込み続けていればこちらの変身を邪魔できる。これを確かめるには遠く離れた場所で変身してみて邪魔されるかどうか確かめてみるしかない。だけどそれを試すのはまだ後だ。


 光を吸い込んだ位置から俺達の潜んでいる場所がばれるかもしれないし何度もあれで光を吸い込まれてもこちらに何のデメリットもないとは限らない。例えば変身は出来なくともそのエネルギーは敵に奪われているかもしれない。それではこちらが無駄にエネルギーを消耗して敵がエネルギーを得ることになるから下手に何度も試すわけにはいかないってことだ。


 さらに重要なのがもしここで変身出来たとしてタイフーンクリーナーの目の前に行った時に変身状態からでも光を吸い取られて変身を解除されてしまうかもしれないということだ。


 もしこれが可能なのだとすればタイフーンクリーナーの前に出て行けばすぐに変身を解除されてしまう。これじゃ俺達は奴らに近づけないことになる。それではこの二人では勝ち目は低い。少なくとも俺の知る範囲ではこの二人は主に接近戦を使うタイプだ。必殺技も射程は長くない。近づかなければ有効打が打てず近づけば全て吸い取られるとすればどうすることもできない。


聖香「そうね…。このままじゃまずいわ。」


静流「どうしましょう…。良い手がありません…。」


 俺の話を聞いた二人は暗い顔で塞ぎ込んでしまった。だけど何も絶望的状況っていうわけじゃない。


改太「とにかくものは試しでここで変身してみたらどうかな?」


聖香「でもそれでまた吸い取られたら………。」


静流「敵にみすみす魔法を与えてしまうのでは………。」


 どうせ二人に力を授けた者もこの茶番の黒幕も同じ相手なんだから気にすることはない。とはさすがに説明出来ない。


改太「多少のリスクは覚悟の上でやらないといつまで経っても事態は好転しないよ。むしろ時間が経つほど悪化するかもしれない。今の俺達にとって重要なのは敵の能力を知ることだ。そのためにはこれは重要なことだよ。」


聖香「………そうね。」


静流「…やっぱり九条君がいてくれてよかったです。」


 そう言うと二人は俺に笑顔を向けてくれた。………可愛いな。俺ってこういう女の子の笑顔とウルウルに弱いみたいだ。いや!俺だけじゃないはずだ!これが嫌いな男なんてあっちの世界の住人だけだ。


聖香「コケティッシュパワー!」


静流「フォームチェンジ!」


 二人が再び変身しようと試みる。俺の予想に反して二人はあっさり変身出来た。タイフーンクリーナーの吸い取り能力の射程が思ったより短いのかそれとも今は吸い取りをしていなかっただけか。


 ただあっさり変身出来たということは次の可能性、つまり変身後でも光を吸い取って変身を強制解除出来る可能性がある。でなければこんなにあっさりこちらの変身を許すはずはない。


改太「こんなに簡単に変身させてくれるってことは変身後でも強制解除してくる可能性が高まった。だから慎重に近づこう。」


ブルー・ピンク「「ええっ!わかったわ。」」


 変身した二人と一緒に再びさっきの場所へと戻ってみた。



  =======



 さっきの場所に戻ると驚愕の光景が広がっていた。殺し屋教授はベンチに座ってお茶を飲んでいた。タイフーンクリーナーはノズルを外して頭の蓋を開けて各所を掃除している。


改太・ブルー・ピンク「「「………。」」」


 俺達三人は無言で顔を見合わせて頷く。


ブルー「マジカルッ!」


ピンク「コケティッシュッ!」


ブルー・ピンク「「ダイナマイトッ!」」


 藪から飛び出した二人はいきなりペルディッソの二人に向けて必殺技を放つ。


殺し屋教授「ふへっ?」


タイフーンクリーナー「キュイィーーー?」


 ドッカーン


 直撃を受けたタイフーンクリーナーは大爆発に飲み込まれて光の粒子となって消えて行った。


殺し屋教授「おっ、覚えておれ!」


 煤のようなもので真っ黒になって髪の毛がアフロのようになった殺し屋教授は口から煙を吐きながら逃げ出していった。


 ………これでいいのか?こんなものでいいのか?何か馬鹿らしくなってくる。


ブルー・ピンク「「正義は必ず勝つっ!」」


 二人がそれでいいならいいか………。


ブルー「それにしてもペルディッソ………。また新たな強敵が現れたわね。」


ピンク「ですが世界の平和は私達が必ず守ります!」


ブルー「あら?でも九条君のお陰よね。」


ピンク「それはもちろんわかってますよ。九条君のお陰で勝てました。」


ブルー「これはそのお礼よ。」


ピンク「お礼です。」


改太「え?」


 チュッ


 俺はブルーとピンクに両側からほっぺにキスされた。


改太「え?ええ?ええええぇぇぇぇ?!」


聖香「さぁ帰ろう九条君。」


静流「早く帰らないと暗くなってしまいますよ。」


改太「………あぁ。うん………。」


 俺さっき何された?何か柔らかい感触が俺のほっぺに触れた気がする………。駄目だ。頭が回らない。変身を解いた二人にそれぞれ片手ずつ引かれながら俺は呆然としたまま帰ったのだった。


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