第13話 「あ~ん作戦」
コケティッシュシスターズの二人と放課後に一緒にパトロールをするようになってから一週間が経過している。だけどその間に一度も怪人は現れなかった。
聖香「今日もいないみたいね。」
静流「それでは明日は月曜日で学院がありますし今日はこれまでにしましょうか。」
聖香は敵が現れなくてがっかりしているようだ。
改太「怪人が出ないってことはそれだけ平和ってことなんだから良いことだよ。それじゃ今日はもう帰ろうか。」
聖香「…そうね。うん。そうだわ。それじゃお開きね。さようなら九条君。」
静流「御機嫌よう九条君。」
改太「バイバイ。」
聖香と静流は静流の家の車で帰るので俺だけ別れる。まだ夕方から夜になりかけくらいの時間帯だから俺は家には帰らずに秘密基地へと寄って行く。
キラーレディ「おかえりなさいませ。改太様。」
改太「ただいま…。ってまだキラーレディのままだったの?何かあった?」
麗さんはまだキラーレディのままだった。日曜日のこの時間までいる時点でも何かあったのかと思ってしまうが変身したままというのは余計に何かあったのかと不安になる。
キラーレディ「いえ、問題はありません。少し観測班の作業をしていただけです。」
改太「そう?………あまり根を詰めないでね。麗さん…、いや、キラーレディに何かあったらうちは大変なことになるからね。」
キラーレディ「ありがとうございます。」
キラーレディの時と仕事の時はほとんど無表情の麗さんが頬を赤く染めて柔らかく微笑んだ。最近麗さんは何か柔らかくなったなと思う。少し前までは何か事務的というか少し堅かった気がする。
俺はキラーレディを連れて自分のオフィスへと向かい報告書の確認を行った。
改太「う~ん…。新監視網の構築にはまだ時間がかかりそうだね。」
キラーレディ「申し訳ありません。」
改太「ああ。キラーレディが謝ることじゃないよ。俺の開発も遅れ気味だしね。試作の性能テストの方はどう?」
俺が徹夜で考えて試作した新しい機器の性能テストが行われているはずだ。だけどその報告書はまだ上がってきてない。
キラーレディ「はい。それなのですが感知能力は申し分ないのですが強力すぎて逆にその機器の位置まで敵にばれてしまいます。これを街中に設置すれば敵が警戒する恐れがあります。」
改太「あぁ~…。まぁそうなるよね。」
小さな物まで察知できる機器を開発すること自体はそれほど難しくない。俺にとっては小さな昆虫ですら感知できる対空レーダーを作ることは簡単だ。問題なのはそこらにいる昆虫まで捉えてしまうほど高感度のレーダーでは本当の敵かただの昆虫か見分けがつかないから監視員が混乱してしまうということだ。
それとそれほど高性能・高感度のレーダーを照射されていれば敵も気付く。陽動以外で相手が見張っているとわかっているところにわざわざ飛び込むようなことはないだろう。
俺が試作した新型機器はこれらと同じ問題が起こっている。感度が高すぎて拾わなくても良いノイズまで拾ってしまうこと。これをノイズと敵を簡単に区別する方法が必要だ。それから高出力すぎて敵にまでその機器の設置場所や監視網がばれてしまう。こちらは拾えて敵は気付かないような感知方法と基地との通信方法が必要だ。
改太「う~ん………。やっぱりそう簡単にはいかないか。」
キラーレディ「改太様こそご無理をなさいませんよう。」
改太「うん。ありがとう。」
この後書類を処理したり新型機器の設計をしてみたりしてから家へと帰ったのだった。
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今日も今日とて学院に向かう。月曜の朝は憂鬱だ。
聖香「九条君おはよう。」
静流「ご機嫌よう九条君。」
改太「おはよう。」
いつも通り二人に校門で捕まって一緒に教室に向かう。午前中の授業をさらっと聞き流して昼休みに三人でいつものベンチに向かった。
聖香「ねっ、ねぇ九条君?」
改太「ん?どうしたの?」
ベンチでご飯を食べていると聖香が声をかけてきた。
聖香「えっとぉ…、いつもパトロールを手伝ってもらってるし今度お礼にお昼ご飯をご馳走したいんだけどどうかな?」
改太「ご馳走って?学食でも奢ってくれるの?」
聖香「ううん…。えっと…、嫌じゃなければお弁当を作ってこようと思ってるんだけどどうかな?」
改太「うっ…。」
聖香が少し頬を赤らめならがら上目遣いで俺を見てる。おかしいな。何かドキドキしてきたぞ…。聖香ってこんなに可愛かったんだな。いつもはハキハキしていてちょっと男らしい感じの聖香が女の子らしい仕草をしていると可愛い。こんな可愛い子の手作り弁当か。パトロールに付き合ってるお礼って言ってるし断ったら失礼かな…。
静流「それでは私も九条君にお弁当を作ってきますね。明日は聖香で明後日は私でどうでしょうか?」
静流まで聖香と一緒になってそう言ってくる。静流はどこか悪戯っぽい笑みを浮かべてるな。何か小悪魔っぽくていつもの清楚なイメージとのギャップがすごい。もちろん悪い意味じゃなくて良い意味で何だかちょっとセクシーというかなんというか…。
改太「それはうれしいんだけど急に明日明後日っていうのはどうなのかな…。」
静流「私達の方は問題ありませんから九条君がよければ大丈夫ですよ。」
静流は俺の逃げ道を塞ぎながらにっこり微笑んだ。これで断ったら俺が悪いみたいになりそうだ。また今度ねって引き伸ばすことも出来そうにない。ここは腹を括るか。
改太「………わかった。それじゃ明日と明後日お願いしようかな?」
聖香「うん!任せて!」
静流「おいしいお弁当を作ってきますね。」
二人ともうれしそうに微笑んだ。うん。やっぱり受けておいてよかった。二人のうれしそうな笑顔を見て俺もうれしくなってきたのだった。
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そして翌日の昼休み。いつものベンチで聖香が俺に包みを渡してきた。
聖香「あの…、これ…。九条君の好きな物をなるべく入れておいたけど苦手な物とかあったら残してもいいからね。」
改太「ああ…。ありがとう。」
俺はお礼を言って受け取るけど何で聖香が俺の好物とか知ってるんだ?
改太「早速開けてみるね。」
聖香「うっ、うん…。」
お弁当箱の蓋を開けてみるとそこには…。
改太「おお!おいしそうだね。」
顔の形をした可愛いおにぎりが二つ寄り添っている。何か片方は聖香っぽい顔に見えるな。もう片方は誰だろう?男の子っぽいぞ。出し巻き卵にたこさんウィンナーに手作りのから揚げもあるぞ。金平ごぼうとアスパラベーコン巻きと色々手が込んでる。どれも完全に手作りで冷食とかじゃない。
聖香「本当?よかった…。」
改太「うん。これだけ手の込んだお弁当だと作るの大変だったでしょ?」
聖香「ううん。平気。それより食べてみて。」
聖香が期待半分不安半分の顔で俺に食べるように催促してくる。
改太「それじゃいただくね。」
俺は一口食べてみた。
聖香「どうかな?」
改太「うん。おいしい。………箸が止まらないよ。」
聖香「ほっ…。」
聖香は安心したようだ。俺はあっという間に完食してしまったのだった。
改太「ご馳走様でした。」
聖香「お粗末様でした。」
改太「とってもおいしかったよ。」
聖香「あの…、それじゃこれからも作ってこようか?」
改太「え?それはさすがに悪いよ。」
毎日作ってもらうなんてことになったら大変な労力だ。お金だってかかる。
聖香「私の方は大丈夫だよ。自分の分は作ってるから二人分でも手間は変わらないから。」
改太「そうは言ってもお金もかかるしそういうのはよくないよ。」
聖香「そっか…。九条君にも迷惑だったよね。」
聖香はしゅんとなった。あぁ…。悲しそうな顔をして…。こんな顔されたらすぐに言う事聞いちゃいそうだ。
改太「そんなことはないけど新道さんも大変だろうしお金もかかるし友達同士でそういうのはよくないよ。」
聖香「うぅ…。まだ友達かぁ…。」
静流「まぁまぁ。ひとまず聖香は渡したのだから良いじゃないですか。明日は私の番ですよ九条君。」
改太「あぁ。うん。とにかく新道さんのお弁当おいしかったよ。それから明日の祁答院さんのお弁当も楽しみにしておく。」
静流「はい。」
静流はにっこりと微笑んだのだった。
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その日も放課後にパトロールに出たけど結局怪人は現れなかった。帰ってから俺はまた新監視網構築のために色々と頭を悩ませたのだった。
そして翌日の昼休み。また三人でいつものベンチに向かう。今日は静流がお弁当を作ってきてくれていた。
静流「九条君どうぞ。」
静流に渡されたのは重箱っぽいぞ………。風呂敷に包まれてるけど見た目と持った感じからして三段重ねだろう。
改太「祁答院さん………。これはさすがに多すぎるんじゃないかな…。俺こんなに食えないかも…。」
静流「まぁ…。残していただいてもかまいませんよ。それにそれは私の分も含まれているのです。」
改太「ああ。そっか。そうだよね。いくらなんでも一人でこれは多すぎるもんね。」
そういうことだったのか。重箱にして皆で一緒に食べようっていうことだったわけだ。
改太「それじゃ開けてみるね。」
静流「はい。」
静流はにっこりと微笑む。何か本当に大和撫子って感じだな。着物とか着たら似合いそうだ。
改太「おおっ!何これ!凝りすぎじゃない?」
静流の重箱はそれはもうものすごい豪華だった。まず目を引くのが海老の尾頭付き………っていうかこれ伊勢海老だろ…。かなり良いお肉のローストビーフ。煮物やら何やら和洋折衷のおせち料理のような豪華さだった。
静流「さぁ九条君。どれから食べますか?」
改太「え?どれからってじゃあこの里芋の煮物から食べようかな。」
俺がお箸を伸ばそうとすると静流が煮物を自分のお箸でひょいと取って俺の口元へ持ってきた。
静流「はい。あーん。」
改太「ええ?!あーんって…。」
静流「さぁ九条君。あーん。」
無理無理っ!恥ずかしすぎ!っていうか、うわっ!聖香がめっちゃ見てるよ!怖い顔になってるよ!
改太「えっと…、自分で食べられるよ。」
静流「私の手からは食べられませんか?」
静流が泣きそうな表情で顔を伏せる。
改太「いやいやいや。そうじゃないけど。これはいくらなんでもまずいでしょ。」
静流「何がまずいのでしょうか?」
改太「うぅ…。」
ちょっと涙目になってきてるぞ………。駄目だ…。断れない…。
静流「さぁ…九条君。あ~ん。」
改太「うぅ…。あ~ん………。」
駄目だ。味がわからない。
静流「お味はどうですか?」
改太「えっと…、静流のお箸で食べたことが気になって味がわからない………。」
俺は正直に告げる。これでそれならば自分のお箸で食べて味をかみ締めてくださいという話になればと思ったんだ。けど逆効果だった。
静流「まぁ!それではそんなことなど気にならないほどたくさんあ~んしましょう。さぁ次はどれにしますか?」
静流はにっこりと次を催促してくる………。ああ。駄目だ。俺はこういうのに弱いんだ。静流からは逃げられそうにない。
聖香「ちょっと静流!それはずるいわよ!」
静流「何がずるいのでしょうか?聖香は昨日九条君にお弁当を食べてもらいましたよね?」
二人で何やら争い始めたぞ?
聖香「お弁当は食べてもらったけどあーんなんてしてないわよ。」
静流「それをしなかったのは聖香の判断であってそれをした私にとやかく言うのはお門違いではないでしょうか?」
聖香「うっ…。それはそうだけど…。わかったわ。それじゃこうしましょう。私も今から九条君にあーんする。二人で交互にしましょう。」
静流「今日は私の日なのにそれでは私だけ機会を失ってしまうのですけど?」
聖香「うっ…。わかったわ。………ごにょごにょ。」
静流「うんうん………。わかりました。それではそれで手を打ちましょう。」
聖香が静流に耳打ちすると静流は満足気に頷いて何か合意したようだった。っていうか俺の意見は何も聞かれないのな………。
聖香「それじゃ次は私よ。はい。九条君あ~ん。」
改太「………あ~ん。」
こうして俺は二人に交互にあ~んをされながら静流のお弁当を食べたのだった。
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改太「っていうかこれ全部祁答院さんが作ったの?」
静流「そうですよ?」
とてもじゃないけどそんな簡単に作れるようなメニューと量じゃない。
改太「一体何時に起きて料理したの………?」
静流「下ごしらえは昨日のうちからしておきましたから四時からで間に合いましたよ。」
にっこりと笑いながらさらっと怖いことを言った。四時?!
改太「そんな大変な思いして作ってくれたの?そこまでしなくてもよかったのに…。」
ありがたくはあるけど重い………。
静流「どうせ今日はこうなるだろうと思っておりましたので皆で食べられるようにこうしたのです。」
改太「なるほど………。」
確かに皆で重箱をつつきながらの昼ご飯になったからこれはこれでよかったけど友達同士でご飯を食べるだけなのにそこまでされたら何か重くてこっちも気楽でいられない。
聖香「それじゃ明日は私の番ね。」
改太「えぇ!もうお弁当は当分なしにしようよ………。」
聖香・静流「「だめよ。」」
二人は顔は笑顔だけどすごい迫力で俺の言葉を斬り捨てたのだった。
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なんとか昼ご飯も乗り切って放課後に三人でパトロールに出かける。この日も結局怪人は現れず収穫もないままに俺達は帰ったのだった。
もちろん俺は家には帰らず秘密基地へと向かう。エレベーターを降りた俺はまたしても鬼が立っているところに出くわした。
麗「おかえりなさいませ。改太様。」
改太「………ただいま麗さん。」
………怖い。見た目も言葉もいつもと変わらない。変わらないはずなのにこの辺り一帯に漂う気配は地獄かと思うほど怖かった。もちろん俺は地獄なんて行ったことはないけど………。
その後も麗さんは特に何も言わないしいつも通りにオフィスに行って書類を処理しただけだけど麗さんが怖くて俺はまともに頭が働かなかった。
改太「駄目だ。今日は頭が働かないから切り上げるよ。」
麗「畏まりました。」
麗さんが片付けに入ってくれる。俺も軽く片付けて帰る用意をした。
改太「それじゃ帰るね。」
麗「お待ちください改太様。」
きたっ!とうとう何か言われるのか?!怖くて麗さんの方を真っ直ぐ見れない。
改太「なっ、何かな?」
麗「頭が働かない状態で歩いて帰られては危険です。私がお送りいたしますので車の方へお願いいたします。」
ここで一言言って終わらせずに車で送って行って車の中でもずっと何か俺に言うつもりなのか?!
改太「えっと………。すぐそこだし歩いて帰るよ。」
麗「駄目です。車でお送りいたしますので必ず来てください。」
改太「はい………。」
ここでこれ以上逆らって機嫌を損ねたら余計酷い目に遭うかもしれない。もう大人しく従おう………。
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麗さんの車に向かうとすでに着替えた麗さんが待っていた。
改太「ごめん麗さん。お待たせ。」
麗「いえ。私も今来たところです。それではどうぞ。」
麗さんに促されて車に乗り込む。その後麗さんは暫く何も言わずに車を走らせていた。
改太「あれ?こっちは俺の家じゃないけど?」
麗さんは俺の家とは違う方向へ進む。
麗「ご心配には及びません。ご自宅へはすでに私の方から連絡してあります。」
いや…、何が?家の心配なんてしてないよ…。むしろ俺が心配してるのは自分自身だよ…。
そのまま麗さんの車はある場所へと向かって行った。
改太「え?ここって…、麗さんの家?」
麗「はい。今晩の晩御飯は私の家で食べてからお帰りになると連絡しておきました。」
改太「………ああ。」
どうやら俺は今晩の晩御飯を麗さんにご馳走されるらしい。急になぜこんなことをしだしたのか意味がわからない。
ともかく今更逃げ出せない俺は麗さんの家へと連行されていったのだった。麗さんの家は結構な豪邸だ。三条家も九条家ほどではないけどかなりの名家で祁答院家に引けを取らないだろう。そんなご令嬢が何故俺の秘書なんてことをしているのかはまた追々語ろう。
たくさんの使用人達が麗さんと俺を出迎える中を歩いていく。リビングに通された俺はここで待つように言われた。
麗「それでは暫くお待ちください。すぐに用意いたします。」
改太「え?これから料理するの?もしかして三条家の料理人じゃなくて麗さんの手料理?」
麗「はい。私の料理ではお口に合わないでしょうか?」
改太「ううん。そういう意味じゃないんだ。ただてっきり一緒に食事っていうからどこかの店か三条家の料理人さんの食事かと思ってただけ。麗さんの手料理を食べるのは久しぶりだね。」
麗「はい。腕によりをかけますので暫くお待ちください。」
麗さんは料理も上手だ。何でこんなことになったのかはわからないけど楽しみにしながら待つことにした。
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麗「お待たせいたしました。」
改太「あれ?今日は何か家庭的な料理だね?」
麗さんはフルコースでも作れるくらい料理が上手なのに今日の料理は普通の家庭料理のようなメニューだった。
麗「それでは失礼致します。はい、あ~ん。」
テーブルの向かいに座らず隣に座った麗さんは俺にあ~んをしてくる………。なんだこれ?今日どこかで同じ光景を見た気がするぞ………。
改太「麗さん。自分で食べられるよ。」
麗「………私の手料理をあ~んでは食べられないのですね。」
麗さんの瞳に涙が溜まる。
改太「え?え?ちょっと待って。食べる。食べるから!」
麗「それでは。はい。あ~ん。」
笑顔に戻った麗さんがまたあ~んしてくる。こうなったらもう覚悟を決めるしかない。
改太「あ~ん。」
麗「おいしい?」
麗さんが少し不安そうな顔で聞いてくる。
改太「うん…。おいしいよ。」
麗さんの料理がまずいはずはない。
麗「よかった。」
心底ほっとした顔をして笑顔を向けてくれた。俺はその顔を見てドキッとしてしまった。麗さんとは何年も顔を合わせているはずなのに…。何かドキドキする。
麗「それじゃ次はどれを食べる?」
砕けたしゃべり方になった麗さんが仕事の時は見せない柔らかい笑顔でそう言って俺に迫ってくる。くらくらしてしまいそうな頭で俺はご飯を食べることで麗さんから意識を逸らそうと必死になって食べ続けたのだった。
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