第9話「最後の怪人」
今日も怪人が殉職した(ことになった)。これで十一人目だ。まだまだ怪人はいる。コンクエスタムは全員が怪人なので代わりはいくらでもいるがそろそろ何か考えなくてはいけない時期にきていると思う。
デスフラッシュ「というわけでそろそろ何か考えた方が良いと思うんだが皆何か意見はあるか?」
スクイッドエスタム「デスフラッシュ大佐が直接あの二人と対峙して敗れたことにしてはどうでしょうか?」
デスフラッシュ「何?何故かね?スクイッドエスタム君。」
スクイッドエスタム「次が12体目ということは1クールが終了するのでデスフラッシュ大佐が敗れて決着したということにすれば良いのではないかと…。」
デスフラッシュ「おいぃ!何言っちゃってんの?1クールって何?俺が負けたことにしてその後どうすんのよ?結局今までと変わらないんじゃね?他の人が狙われるだけじゃね?」
スクイッドエスタム「すみません。ノリで言ってみただけです。」
デスフラッシュ「ノリかよ!誰かもっとまともな意見はないのか?」
会議室を見回すが誰も意見を口にしない。
キラーレディ「スクイッドエスタムの意見も悪くはないのではないでしょうか。コンクエスタムはあの二人に負けて壊滅したことにして暫くの間活動を下火にすればあの二人のターゲットから外れるかもしれません。」
デスフラッシュ「う~ん………。」
確かにそれも考えはしたけどそれで二人がコンクエスタムを狙わなくなるとは限らない。それに仮に狙われなくなったとしても今度はコンクエスタムの活動再開が難しくなる気がする。すぐに再開すれば当然あの二人にまた狙われることになるだろうし、かといって長期間活動を休止していれば再活動するのが大変になる。
デスフラッシュ「他に良案はない………か。よし。わかった。それじゃ次は俺が単独であの二人の相手をするよ。」
スパイダーエスタム「頑張ってくださいね。」
何か今までやられたことになってる怪人達がニヤニヤしている気がする。
バットエスタム「俺達の苦労をデスフラッシュ大佐も味わってください。」
デスフラッシュ「うるせぇ………。」
こうして次は俺が単独であの二人と戦うことになったのだった。
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今日も憂鬱な気分で登校する。
聖香「おはよう九条君。」
静流「おはようございます九条君。」
改太「おはよう。新道さん。祁答院さん。」
もうお馴染みの朝の光景だ。段々二人のファンクラブの人達の視線が厳しくなってきてる気がする。俺はそのうち刺されるかもしれない………。
聖香「今日は水曜日だね。」
静流「明日は木曜日ですね。」
改太「ああ…。うん。そうだね………。」
二人はニコニコと毎日この曜日確認をしてくる。先週に明後日の金曜日に一緒に帰る約束をしてからだ。そのまま三人で教室へと入る。今日も退屈な授業が始まったのだった。
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お昼休みになるといつも通りあの二人が俺の下へとやって来る。
聖香「九条君ご飯一緒に食べよう。」
静流「さぁ九条君行きましょう?」
改太「うん………。」
俺は二人に拉致されていつものベンチに向かう。もういつものことで俺は無抵抗に二人にされるがままになっている。
聖香「九条君……、あの…、今度私がお弁当作ってきてあげようか?」
静流「聖香!抜け駆け禁止って何度言えばわかるんですか?九条君、私もお弁当作ってきたら食べていただけますか?」
改太「えぇ………。それはあんまり良くないんじゃないかな………。」
聖香「どうしてかしら?」
改太「やっぱり一方的に何かしてもらうのは良くないよ。友達同士で二人にだけ苦労させてただでご飯食べさせてもらうなんておかしいでしょ?」
これでどうだ!今回はそれなりに筋が通ってるっぽいぞ。これなら泣かせずに断れるはずだ。
静流「う~ん………。まだ早かったみたいね。」
聖香「そうね。これはおあずけでまた今度ね。」
二人だけで小声で話し合ってる。でもこの距離でその音量じゃ普通に聞こえてるだけど………。何が早かったんだろう?
その後は普通にご飯を食べて教室に戻った。午後の授業も聞き流して今日の授業は全部終わった。
聖香「それじゃ九条君さようなら。」
静流「さようなら九条君。」
改太「うん。さようなら。新道さん、祁答院さん。またね。」
授業が終わった俺はすぐさまコンクエスタムの秘密基地に向かったのだった。
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基地に着いた俺はデスフラッシュ大佐に変身する。今日は一人であの二人の相手をしなければならないと思うとお腹が痛くなってくる気がする。
スクイッドエスタム「それでは頑張って下さいね。」
デスフラッシュ「お前人事だと思ってるだろう…。」
スクイッドエスタムの軽い励ましが憎たらしい。
キラーレディ「うっかり間違えてあの二人を殺してしまっても証拠隠滅をする準備は出来ています。」
デスフラッシュ「こえぇよ!」
キラーレディはあの二人を本気で始末してしまいたいのだろうか………。目が割りとマジっぽくて洒落にならない。
キラーレディ「………冗談ですよ。」
その間はなんだ………。普通に怖いぞこの人………。
デスフラッシュ「それじゃ行って来る。」
キラーレディ「いってらっしゃいませ。」
怪人達に見送られて俺は秘密の出入り口から町へと出て行くのだった。
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暫くうろうろしててもあの二人が襲ってこない。いつもならもう出てきてもよさそうなくらいの時間は経ってるんだけどな………。いつかのようにこっそり後をつけてきているのかと思って探してみてもいない。他の怪人達も襲われていない。
今日はもう現れないのか?まだまだ時間は早いけどさっさと切り上げたい俺はずっとそんなことを考えてもう帰ろうかと思っていた。そんな時にあの二人を見つけてしまったのだった。
チャラ男A「いいじゃん。ちょっとカラオケでも行こうよ。」
チャラ男B「ねぇねぇ?いいでしょ?俺達がオゴるからさ。」
チャラ男C「ほらほら。」
チャラ男D「ひひひっ。」
聖香「ちょっと!やめてください!行かないって言ってるでしょ!」
静流「私達は用事があるんです。通して下さい。」
変身してない二人がチャラそうな男四人にナンパされてた………。もしかして今日まだ現れてなかったのはこいつらのお陰か?生身の人間には手出ししないようなのでこいつらに囲まれても何もできないようだ。
………うむ。もしかしてこの二人を抑えるにはコンクエスタムの怪人にならずに生身の人間で相手をした方が抑えられるんじゃあるまいか?俺がそんなことを考えている時だった。
静流「痛いです!離してっ!」
聖香「ちょっと!いい加減にしなさいよ!」
チャラ男達は聖香と静流の腕を掴んで強引に連れて行こうとしていた。少し離れた所にワゴン車が止めてある。中に乗っている奴らの服装や二人をナンパしていた奴らとのアイコンタクトの感じからして仲間だろう。
最近よく女の子の連れ去り事件が多発していると聞いている。この手の事件は被害女性達が恥ずかしがって被害届を出さないケースが多いので実際の被害者数はわからないけど届けが出ているだけでもかなりの数に上っている。
手口も四~五人で車に押し込んで連れ去り暴行をはたらくらしいのでこいつらが犯人の可能性は高い。もちろんただの模倣犯の可能性もあるしこんな手口はありふれているから偶然同じ手口を使ってる別のグループの可能性もある。暴行現場で現行犯逮捕が一番確実ではあるけどこの二人をこいつらに好きにさせる気はない。二人が車に押し込まれる直前で俺は割り込むことにした。
デスフラッシュ「はいは~い。ちょっといいかな?」
チャラ男A「なんだてめぇ!ふざけた格好しやがって!」
チャラ男C「あんまり俺達のこと舐めてるとザックリいっちゃうよ?」
声をかけた俺に対してチャラ男Aが凄んでチャラ男Cがナイフをちらつかせてくる。
デスフラッシュ「危ない物振り回すんじゃないよ。」
俺はチャラ男Cのナイフを掴んで握りつぶす。
チャラ男C「へ?」
チャラ男Cは何が起こったのか理解できずに間の抜けた顔をしている。
聖香「え?あんたはっ!」
静流「ちょっと聖香!」
聖香「あっ!そっか。今の私達が知ってたら変なんだったね。」
俺がチャラ男達と対峙していたので聖香と静流も俺に気付いたようだ。だけど今更俺のこと知らない振りしても不自然すぎるぞ………。聖香はついつい口が滑りやすいみたいだな。
デスフラッシュ「さて…。実はここ最近ワゴン車で女の子を連れ去って暴行をはたらく事件が多発しててね。もうすぐおまわりさんが来るからここでじっとしててくれるかな?」
チャラ男A「ふざけるな!」
チャラ男達が俺に殴りかかってくる。ただCだけは俺に握り潰されたナイフと俺の顔を交互に眺めてかかってくることはなかった。
ただの生身の人間相手だからゆっくり怪我をさせないようにそっとやさしく身動きが出来ないようにしてやる。ついでに車も逃げられないように運転席に座ってた男も引き摺りだして縛り上げた。
チャラ男A「あれぇ?いつの間にこんな状態になってんだ?」
俺の動きが速すぎてチャラ男達はどうして縛り上げられた状態になっているのか理解が追いつかないようだった。
そこへ俺が通報しておいた警察がやってくる。もちろん警察内部にもコンクエスタムの魔の手が伸びているので俺に妙な職質をしたり不審がったりされるようなことはない。こいつらも本当ならば何の証拠もなく現行犯でもないのでこんな大事には出来ないはずだけど今回はコケティッシュシスターズの二人が襲われそうで未遂だったということにしてそこから捜査していく方向に持っていくことにする。
俺のセンサーにはこの車にも色々と証拠が残っているのがわかっているから警察が動けばそこから証拠が出てきて逮捕出来るだろう。この男達はこれから警察の追及と裁判になると思うけど身から出た錆だから精々罪を償ってきてほしいと願うばかりだった。
聖香「あの………、ありがとう。」
静流「ありがとうございました。」
警察の事情聴取が一段落したのか二人が俺の側にやってきてお礼を言った。
デスフラッシュ「ああ。気にしなくていいよ。それじゃ。」
あまり会話するとボロが出るかもしれないので早々に切り上げてその場から脱出したのだった。
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二人は警察署でさらに詳しく事情聴取されているだろうと思って慈善活動をしながら暫く時間を潰していた。警察内部に入り込んでいるコンクエスタムの者から二人の事情聴取が終わって帰ったと報告があったので俺は慈善活動を終了してまた暫く町をうろつくことにした。
すると今度は案外早く二人が俺の前に現れたのだった。
ブルー「待ちなさいデスフラッシュ大佐。」
その声に振り返るとブルーとピンクに変身した二人が立っていた。
デスフラッシュ「付いて来い。」
俺はそれだけ言うと歩き始めた。二人も黙って付いて来ている。俺はいつかの採石場へと向かったのだった。
デスフラッシュ「ここならいいだろう?」
ピンク「………今日こそ決着をつけましょう。」
デスフラッシュ「ああ。もう組織には怪人を用意する金もなくてな。これが最後だ。コケティッシュシスターズ。」
本当はまだまだうじゃうじゃ怪人がいるけどこの前の繋がりで資金不足で壊滅状態という設定にしてある。これでうまくこの二人がコンクエスタムは取るに足りない組織だと認識してくれればいいんだけど…。
ブルー・ピンク「「………。」」
ピンク「いきますよ!」
今日はいつもの口上はないようだ。そのまま二人との戦いが始まった。
二人の性能はほんの少しだけ上がっている。戦うごとに徐々に性能が上がる仕掛けのようだ。二人に魔法科学を授けた黒幕も芸の細かいことをする。何でこの二人に魔法科学を授けてこんなことをさせているのか今はまだわからないけどそのうち尻尾を掴んでやる。
肉弾戦で戦っているけどこの二人の動きじゃ俺にはついてこれない。だからなるべく不自然にならないように俺は二人に合わせて戦う。
ブルー「コケティッシュカッター!」
ブルーが魔法科学でカッターを出現させて斬りつけてくる。名前的に魔法っぽく鎌鼬のようなものを飛ばしてくると思ったら大間違いだ。文字通り文房具のカッターナイフで斬りつけてくる。俺が軽く避けていると後ろからピンクが迫っていた。
ピンク「コケティッシュテープカッター!」
ピンクが俺の後ろからテープカッターを頭の上に落としてきた。文房具のセロハンテープ用の台だ。これは普通に重い。まさに鈍器だ。何かピンクの武器はいつも妙にリアルに殺しに来ているところが怖い。
さっと避けたところで二人がお互いの手を握っていた。必殺技だ。
ブルー「マジカルッ!」
ピンク「コケティッシュッ!」
ブルー・ピンク「「ダイナマイトッ!」」
デスフラッシュ「むぅっ!」
俺は二人の必殺技の直撃を受ける。………皆こんな風に戦ってたのか。自分で戦ってみて初めてわかった。こりゃ苦労するわ。二人は俺達から比べたら弱すぎる。この必殺技にしてもまるでダメージもない。爆煙に紛れて逃げ出すくらいしか戦いを終わらせる方法がない。
ブルー「そんなっ!無傷だなんて!」
ピンク「いえ…、きっと効いているはずです。もう一度やりましょう。」
俺は二人の必殺技をあえて真正面から受けたしその爆煙に紛れて逃げ出すこともしなかった。これが最後の戦いなんだから少しくらいは盛り上げようと思ったんだ。でもどうやって負けるかまでは考えてない。どうしよう………。ノリで必殺技を耐えちゃった…。どうやって終わろうかな………。
デスフラッシュ「はははっ!この程度かコケティッシュシスターズ!今度はこちらからいくぞ!」
何も思いつかない俺はとりあえずノリのままに二人に襲い掛かった。
ブルー「きゃぁ!」
ピンク「あぁ!」
また必殺技を使おうとしてる二人の後ろに回ってつつつっと背中に指を滑らせてみた。二人は悲鳴を上げて必殺技が崩れてしまった。
ブルー「くっ!必殺技が…。」
ピンク「何か手を考えないと勝ち目がありませんね………。」
また二人は肉弾戦を仕掛けてきた。他に出来ることがない以上はこうして時間を稼ぎながら手を考えているのだろうと思う。二人が何か思いつくまで付き合えば良いかと思っていたが二人の胸のブローチが点滅しだした。そろそろ二人のエネルギーが切れるようだ。
ブルー「くっ!こんな時に!」
ピンク「もう決めにいくしかありません。ブルー!」
ブルー「―ッ!わかったわ。いくわよピンク!ミラクルッ!」
ピンク「コケティッシュッ!」
ブルー・ピンク「「ハンマーッ!」」
デスフラッシュ「えぇ………。何この必殺技………。」
巨大なぴこぴこハンマーが俺の頭上から降ってくる。これでやられた振りをするのは難しくないか?爆発してくれるなら爆煙に紛れて逃げ出して跡形もなく消し飛んだことに出来るけどこれじゃ姿を消すのが難しい。………けどやるしかない。二人のエネルギーはもう限界だ。ここで負けるしかない。
デスフラッシュ「うおおおぉぉ!」
俺は両手を広げてぴこぴこハンマーを受け止めようとする。そのままプチッと俺はぴこぴこハンマーに潰されたのだった。
ブルー「やったわ!」
ピンク「………これで終わりでしょうか?」
二人はぴこぴこハンマーに潰された俺の方を見ながらそう呟いた。やばいな。逃げ出せない。………よし。ここは最後は悪役らしく自爆しよう。
デスフラッシュ「見事だコケティッシュシスターズ。………コンクエスタムばんざーい!」
俺は倒れたままそう告げると自ら爆発を起こした。その爆発に紛れて俺はここから脱出したのだった。
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二人の前から脱出した俺は秘密基地へと帰投していた。
キラーレディ「お疲れ様でしたデスフラッシュ大佐。」
デスフラッシュ「ああ………。皆会議室に集まってくれ。」
スクイッドエスタム「はっ!」
主だったメンバーが会議室に集まったところで俺は重大発表をする。皆わかってはいたがそれを聞くために集まり神妙な顔をしている。
デスフラッシュ「今回でコケティッシュシスターズはコンクエスタムを壊滅させたと思っているはずだ。そこで俺達がこのまま活動してまたあの二人と遭遇すればまた襲われることになる。………だから、………だからコンクエスタムの活動は一時休止する。………秘密基地は解放しておく。いつでも来てくれてかまわない。だけどこうして毎日出勤してくる必要はない。観測班だけ交代でデータ管理と観測は続けてくれ。」
スクイッドエスタム「それで………よろしいんですか?デスフラッシュ大佐………。」
いいわけはない。五年以上も続けてきたこの活動を一時的とは言え休止するのは悲しい。それに一度休止してしまったら再開するのにも手間がかかるし折角築き上げてきた町の人たちとの交流も信頼も失ってしまうかもしれない。だけど…。だけどこれ以上余計な争いをしないためには一時的にでも身を潜めなければならない。
デスフラッシュ「あの二人に魔法科学を授けた黒幕を見つけ出す。そうすれば俺達はまた大手を振って町に出られる。だから今の俺達にとって一番するべきことは黒幕の尻尾を掴むことだ。強制はしない。参加できる者だけ参加してくれ。この五年以上ご苦労だった。それじゃ………一時お別れだ。黒幕の捜査に参加する者だけまた明日きてくれ。」
怪人達「「「「「はっ!」」」」」
こうして俺達は五年以上に及ぶ秘密結社活動を一時休止したのだった。
俺は一人帰路に着く。心には何か大きな穴が開いたような気がする。
改太「明日から…、俺は何をすればいいんだろうな………。」
暇だから作ったはずのただの中二病の産物。それなのにいつの間にか俺にとってこの秘密結社は大事な場所になっていた。これから何をすればいいのかわからない。帰り道の夜空に俺の呟きは吸い込まれていった。
~~~~~コケティッシュシスターズ~~~~~
今日もいつものようにパトロールに出かけていると男達にナンパされたコケティッシュシスターズの二人。あまりにしつこいし様子がおかしい。変身すれば何とでもなる相手とは言え魔法で一般人に怪我を負わせるわけにもいかない。そんな困っていた二人を助けたのはデスフラッシュ大佐だった。
聖香「どうしてデスフラッシュ大佐が?」
静流「わかりません………。」
デスフラッシュ大佐は見る間に男達を縛り上げてすぐに駆けつけてきた警察官に男達の身柄を引き渡していた。どうやら最近暴行事件が多発していてこの男達が容疑者のようだった。事情聴取された二人は素直にありのままを話した。
署の方で詳しく聞くと言われたが少し時間が空いたのでデスフラッシュ大佐にお礼を述べに行った。なぜかデスフラッシュ大佐は事情聴取も警察署まで同行もされることなく帰って行った。二人はその後暫く警察署で事情聴取されて解放された。
聖香「………デスフラッシュ大佐って、ううん…、コンクエスタムって本当に悪者なのかな?」
静流「そうですね………。非道なことをしているかと思えば人助けのようなことをしていたりよくわかりません………。」
二人は確かに着ぐるみのような怪人達が人々を襲っているところや悪事を働いているところを何度も見てきたはずだった。それなのに彼らが悪だという確証が揺らいできているような気がしてきていた。それがなぜだかははっきりとはわからない。ただ二人が感じるのはコンクエスタムがなぜか二種類いるような気がしていたのだった。
聖香「とにかく!デスフラッシュ大佐を探しましょう。」
静流「そうですね。それでは行きましょう。」
警察署から解放された二人はまだ町にデスフラッシュ大佐がいるかもしれないと思い探しに向かったのだった。
=======
街中で見つけたデスフラッシュ大佐と一緒に郊外の採石場へと移動する。そこでデスフラッシュ大佐との最後の戦いが幕を開けたのだった。
コンクエスタムにはもう資金がない。ここでデスフラッシュ大佐を倒せばコンクエスタムは壊滅する。これが最後の戦いなのだとこの場にいる全員が理解していた。
しかしデスフラッシュ大佐は強かった。今まで数多の怪人を屠ってきた二人の必殺技も通用しない。コケティッシュシスターズは最大の危機を迎えていた。
ブルー「―ッ!わかったわ。いくわよピンク!ミラクルッ!」
ピンク「コケティッシュッ!」
ブルー・ピンク「「ハンマーッ!」」
二人の最強の必殺技でデスフラッシュ大佐が倒れる。
デスフラッシュ「見事だコケティッシュシスターズ。………コンクエスタムばんざーい!」
そう言うとデスフラッシュ大佐は爆発して跡形もなくなったのだった。
=======
ピンク「本当にデスフラッシュ大佐は倒さなければならないような悪だったんでしょうか………。」
ブルー「………でも倒さなければ私達がこうなっていたかもしれないわ。」
ピンク「そう…ですね……。もう…考えるのはやめた方がいいのかもしれません。」
ブルー「そうね。コンクエスタムはこれで壊滅したけど私達の敵はまだまだいっぱいいるはずよ。地球の平和を守るため…。」
ピンク「私達はまだまだ戦い続けなければならないんですね。」
コケティッシュシスターズの活躍によりコンクエスタムの野望は潰えた。しかしまだまだ地球の平和を脅かす敵がいる。戦えコケティッシュシスターズ。負けるなコケティッシュシスターズ。地球の未来はその双肩にかかっている。
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