第4話「女難の日」


 ここ数日俺は例の二人のせいで寝不足だ。今日も寝不足のまま学院に向かう。


聖香「あっ!おはよう九条君。」


改太「おはよう新道さん。」


静流「おはよう九条君。」


改太「祁答院さんもおはよう。」


 なぜかこの二人はいつも俺に絡んでくる。おかしいな?俺ちゃんと〝いつからそこに………めだたーぬ〟を着けているよな?よほどの用がなければこの二人以外で俺に話しかけてくる人はいない。


 じゃあなんでこの二人だけ俺に話しかけてくる?この二人が魔法科学を使って魔法少女をやっているから認識阻害眼鏡の効果がない?それは違うと俺は考える。この学院は俺の家が経営している学院だ。そんな者が学院に入学したら色々と面倒なことになる。だから俺は入学当初からこの認識阻害眼鏡をかけていたし経営者一族だとも誰にも言ったことはない。


 それなのにこの二人は俺達の入学当初、つまり二年以上前から俺に普通に話しかけてきていたんだ。そんなに前からこの二人が魔法科学の力を持っていたとは思えない。それならもっと前から俺達に絡んできていたはずだしうちの観測班が何か掴んでいたはずだ。


 この二人はここ最近急に魔法科学を手に入れたんだ。昨日今日というほど最近でもないが何ヶ月も何年も前というほど古くもない。俺の予想ではせいぜいここ数週間の間だと推測している。


静流「どうかしたの?九条君?」


改太「…え?ああ、いや。なんでもないよ。」


静流「そう?」


 静流が俺の顔を覗きこんでくる。近いよっ!俺は女の子にあんまり免疫がないんだよっ!静流の行動に俺はドギマギしてしまう。


聖香「何してるのよ静流!」


静流「えぇ~?九条君が具合が悪いのかなぁと思って顔色を見ただけだよ?」


改太「大丈夫…。大丈夫だからちょっと離れようか祁答院さん?」


静流「………私が近くにいると不愉快かな?」


 静流が少し涙目で悲しそうな顔をしている………。


改太「あああぁぁぁぁっ!違うよ?そういう意味じゃないよ?ただ俺は可愛い女の子にこんなに近づかれたらドキドキして落ち着かないんだよ!だからちょっと距離を置いて落ち着きたいなぁってそういう意味!」


静流「まぁ…。私が可愛いですか…。面と向かってはっきりそう言われたら照れてしまいますよ。」


 今度は一転静流は頬を染めて両手を頬にあてて視線を逸らした。あぁ…、可愛い。確かに可愛いですよ。可愛いですとも!変態コスプレ女じゃなければね!


 見た目は可愛い。性格も俺が知る限りでは良い娘だ。だけどあのコスプレ魔法少女だけはいただけない。もちろん俺達コンクエスタムに絡んでくるからっていうのもあるけど俺が部外者だったとしてもあのコスプレ魔法少女は駄目だ。


 俺だって秘密結社を作るような黒歴史があるけどきっとこの二人も後であのコスプレ魔法少女のことを思い出したらものすごい黒歴史になるだろう………。


聖香「ちょっと静流!いつまで九条君にくっついてるのよ!困ってるって言ってるでしょ?」


 俺がそんなことを考えていると聖香が俺と静流の間に体をねじ込んで割り込んできた。


静流「えぇ?九条君は私に可愛いって言ってくれたよ?別に迷惑じゃないよね?」


改太「迷惑ではないけど緊張するから困る。」


聖香「ほらっ!困ってるじゃない。」


 聖香が静流を引っ張って俺から離れる。…ふぅ。落ち着いてきた。俺は昔から女の子の側にいると緊張するんだ。唯一平気なのは麗さんくらいのもんだ。麗さんとは子供の頃からよく接してたからあんなに美人の人と一緒でも緊張しない。でも聖香や静流みたいな可愛い子がすぐ近くにいると緊張して何を言えば良いのかわからなくなる。ちょっと挨拶するくらいなら平気なはずなのに何でだろうな?


 っていうかあれぇぇ?俺さっき静流に変なこと言っちゃったんじゃないの?可愛いからドキドキするとかもう滅茶苦茶恥ずかしいこと言っちゃったんじゃないの?


 あああぁぁぁぁぁっ!


 俺はその日の授業中ずっとそのことを思い出しては赤面するほど恥ずかしくて身悶えていたのだった。



  =======



 ようやく今日の授業が終わった。静流の側にいたら恥ずかしいし早く帰りたい。そう思っていたのに世の中は無情だった。


田中先生「え~っと、それじゃこの後片付けを九条と祁答院頼む。後は帰っていいぞ。解散。」


 担任の田中先生が俺と静流に授業で使った備品の後片付けを指示した………。なんでこんな時に限って静流なわけ?他の誰でもよかったじゃん!別に俺と静流は席が隣ってわけでもない。出席番号が近いわけでもない。今日日直だったわけでもない。


 な・の・に・なんで今日に限ってピンポイントで静流なんだよ!た・な・かぁぁぁ!


 片付ける備品は多くて重い。どちらか一人でやるのは大変だ。そしてこれを片付ける準備室はこの教室からかなり遠い。鞄も一緒に持って行ってそのまま帰れるような荷物の量でもないから自然と往復を二人で一緒に歩くことになる。


 あああぁぁぁぁっ!


 静流が俺の方を見てにっこり微笑んだぁぁぁぁ!可愛いけど俺は今朝のことでまだ恥ずかしくて静流の顔を真っ直ぐ見るだけでも赤面しそうだ!やばいいぃぃ!


静流「さぁ九条君。片付けよう?」


 しかし静流は俺の事情などお構いなしに近づいてくる。やばい!ドキドキしてきた!…あれ?静流の唇がプルンと輝いている。リップを塗ったのかな?朝と何だか少し違う気がする。うっすら綺麗なピンクでプルプルしてて触ったら気持ち良さそうだ。ってどこ見てんだよ俺!やめろ!そういうところを見るな!余計意識してしまう!


聖香「ちょっと待って静流!私も手伝うわ!ね?いいでしょ九条君?」


 静流が俺のすぐ近くにきそうになった直前で聖香が俺と静流の間に割り込む。


改太「そりゃ…助かるけど、悪いよ。」


 確かに静流と二人っきりになるよりは助かる。だけど聖香に手伝わせるのは悪い気がする。


聖香「いいの。どうせ今日は静流と一緒に帰るからただ待ってるだけより手伝った方が早いでしょ?」


 …ほう。二人は一緒に帰るのか。


改太「それはそうかもしれないけど………。」


聖香「いいから!私がいいって言ってるんだから!ねっ!」


静流「それじゃ聖香ちゃんにも手伝ってもらお?」


 静流は相変わらず笑顔で俺にそう同意を求めた………。



  =======



 結局聖香も手伝ってくれることになって俺達三人で備品を準備室へと運んでいる。


 折角なのでこの二人を観察することにした。容姿は前に言った通りだが聖香は美少女ながらボーイッシュな髪型と活発な性格もあって女子にもすごく人気がある。女子のファンクラブまであるそうで一部の女子からはお姉さまと呼ばれているらしい。頭も悪くはないがその突出した運動神経の方がよく目立つ。


 誰にでも分け隔てなく接する子で俺みたいに目立たない奴にですらこうして話しかけてくれる。それ自体は良いことだと思うが俺は学院では目立ちたくないのでありがた迷惑でもある。静流とは入学した時から親しくしているのを見たことがあるし美少女二人が仲良くしているので話題性もあって有名だったから当時からよく知っている。最近急にこの二人が仲良くなったというわけじゃない。


 ということは魔法科学の力を手に入れたのも二人一緒にかというとそうとは言い切れないけどな。


 そして静流。こちらも容姿については前に言った通りまるっきり物語に出てきそうなお嬢様そのままのイメージだ。そもそも本当に良家のご令嬢で時々お嬢様言葉とでも言うような言葉を言うことがある。普段は一般人のしゃべり方に合わせているようだけど時々つい出てしまうらしいので本当はお嬢様言葉でしゃべるのが本来の静流のしゃべり方なんだろうと思う。


 運動も苦手ということはないけど常に学年トップ争いをしているその頭脳の方がよく目立つ。物腰も落ち着いていて冷静で同い年に思えないような時があるかと思うと今朝のようにお茶目なことをする時もある。ただ聖香の言ったことが本当ならお茶目な性格の方が本当の静流で落ち着いてる方は猫を被っているらしいということだった。


 静流も俺に話しかけてくれる数少ない人間の一人だが時々からかわれているような時があるのでやっぱり聖香の言う通りお茶目な性格の方が地なのだろう。


 俺はよくこの二人に話しかけられるので男子からは殺気の篭った目で睨まれていることが多々ある。確かに美少女二人に話しかけられてラッキーなのだろうが俺は目立ちたくないのでこれは少し困っている。やんわり遠ざけようとしたことはあったのだが結局二人が俺から遠ざかることはなく二年以上もなんだかんだと話す仲にはなっている。


聖香「あの…。私の顔に何かついてる?」


 俺が二人を観察しながら物思いに耽っていたので不審に思ったらしい聖香に問い質されてしまった。


改太「ううん。何もついてないよ。ちょっと考え事してただけなんだ。」


聖香「そっ、そう?………私の顔を見ながらする考え事ってどんなことかなぁ…とか気になるんだけど?」


改太「あ~………。」


 やばいな。そりゃ人の顔をじろじろ見ながら考え事してたとか言われたら変な顔とか考えてたのかなって思われちゃうかな。とにかく何とか誤魔化そう。


改太「別に変なこと考えてないよ。………あ、そうそう。新道さんが手伝ってくれて助かったなって思ってたんだよ。」


 ナイスだ俺。よく思いついた。


聖香「あぁ…。そんなことか………。」


 何か聖香はがっかりしたような顔をしだしたぞ?俺は何かまずいことを言ったのだろうか?


聖香「今日は静流と一緒に静流の家の車で来たから帰りも一緒に乗せてもらわないと帰れないから…。」


 んん?静流の家の車で一緒に?俺は入学して以来この二人が行き帰りで一緒のところを見たことがなかった。もちろん校門までは一緒に行ったりはするが聖香は普段自転車通学していて静流は前述通り車で送り迎えされている。俺が知らないだけで時々は一緒のこともあったのかもしれないが行き帰りの時間は皆大体同じくらいなんだからほとんどの日はこの二人の通学を見てきた。その中で一緒だったことを見たことがないのに最近急に一緒というのはやはり例のコスプレ魔法少女が関係していると思える。


改太「へぇ…。そうなんだ。二人はよく一緒に登下校してるの?」


聖香「ううん。一週間くらい前に初めて乗せてもらって、それから時々一緒に乗せてもらうだけだよ。」


静流「初めて一緒になったのは十日前だよ。」


 静流が聖香の言葉を訂正する。


改太「ふぅん。そうなんだ。」


 俺は何気ない会話を装って二人から何かヒントが引き出せないかと色々と聞いてみるのだった。



  =======



 それから色々と世間話をしながら魔法少女についてのヒントが聞きだせないか頑張ってみたが有力な手掛かりは掴めなかった。


 準備室に着いて備品を片付け始める。全ての備品を片付け終わりさぁ戻ろうという時に事件は起こった。


静流「きゃぁっ!」


改太「―――ッ!」


 狭い準備室に散乱している物に静流が足を引っ掛けて転びそうになる。俺は咄嗟に手を伸ばして静流を抱きとめた。


改太「だっ、大丈夫?」


静流「ええ。ありがとう九条く…ん………?」


 静流が俺の方を見て固まる。俺も固まる。転びかけた静流に手を伸ばして抱き寄せた。そうだ。今抱き寄せているんだ。静流は両手を俺の胸に着くような格好で俺の胸に抱かれている。俺は両腕で静流を思い切り抱き締めている。


 顔が近い。静流の方が俺より背が低いので俺の顎から胸の辺りに静流の顔がある。静流の熱い吐息が首筋にかかる。顔を上げて俺の方を見つめた静流の顔がすぐ目の前にある。少し屈んで顔を傾けて近づけばキスできそうなくらいだ。


 ドキドキする。静流もドキドキしているのが俺にも聞こえてくる。顔が見る見る真っ赤に染まりだす。静流の高い体温が伝わってくる。


改太「祁答院………。」


静流「ぁっ………。」


 二人の顔が次第に近づき………。


聖香「ちょっと!九条君も静流も何やってるの!」


 二人は我に返った。


改太「ああぁぁぁっ!いや!これはその!違う!」


静流「そっ、そっ、そっ、そうだよ。これは私が転びそうになったから九条君が助けてくれただけで…。」


 あああぁぁぁっ!恥ずかしい!何なんだ今日は!今日はこんなことばっかりだ!


聖香「それはわかったからさっさと離れなさいよ!いつまで抱き合ってるつもり?!」


改太「あっ!そのっ!ごめん!」


 俺は慌てて静流を離す。


静流「うっ、ううん。えっと…、ありがとう。」


 俺から離れた静流は赤く染まった顔で上目遣いになりながらそう言った。あれぇぇ?可愛いぞ?ドキドキするぞ?んんん?


聖香「とにかく九条君はこっちに!」


 俺は聖香に引っ張られる。かなり強い力だ。もしかして男より力持ちなんじゃないだろうか?


改太「痛いってば。」


聖香「九条君は静流の近くに近寄るのは禁止!」


改太「なんでだよ………。」


聖香「また二人で抱き合ったらどうするのよ!」


改太「いや…、どうするも何も…。今回のは事故だし…。そうそうこんなことないだろ………。」


聖香「絶対ないとは言い切れないから駄目なものは駄目なの!」


静流「………ふぅ。」


 静流はまだ赤い顔をしながら自分の顔をパタパタと扇いでいた。結局聖香が断固として譲らず教室へ戻る間は俺と静流の間に聖香が立って歩いていたのだった。



  =======



 教室に戻り鞄を取るとあとは帰るだけだ。結局校門まで三人で一緒に行きそこで別れた。


聖香「………それじゃ九条君。さようなら。」


 聖香はあれ以来何か怒っているような顔をしている。


静流「………あの、それでは御機嫌よう………。あっ、いえ、さようなら九条君。」


改太「ああ。二人共さようなら。また明日ね。」


 静流はまだほんのり赤い顔をしているしあまり真っ直ぐ俺を見てくれない。俺もまだ恥ずかしいからきっと静流もそうなんだろう。うっかりお嬢様言葉が出ているのも動揺してるからかな。


 二人が静流の家の車に乗って出発するまで見送ってから俺も帰ることにした。


 今日の収穫は十日前に聖香と静流が時々一緒に登下校するようになったという話だ。俺の予想ではあるがその前日くらいに二人はお互いが魔法少女だと知ったのだろうと思う。だから翌日の朝から静流が迎えに行って車の中で話をしたのではないかと思ったのだ。


 それじゃ運転手さんに聞かれるじゃないかと思うところだがこれは運転手さんに聞かれない方法はいくらでもある。まず車自体にだって運転席と後部座席を遮る機能がある。静流の家の車は乗用車ではなくそういう機能のついた高級車だからだ。それにいざとなれば魔法科学で会話が聞かれないようにするような方法もいくらでもある。


 実際にあの二人は前回の戦闘の前に簡易結界を張ってその中で魔法少女に変身することで街中でも人に知られることなく変身している。そういう方法を使えば運転手さんに話を聞かれる心配はない。


 ちなみにこれはあの戦闘の前に俺のセンサーが簡易結界の発生を捉えたことと後で観測班のデータを照合して確認している。


 観測班のデータで十日前の前後を中心に調べるように指示することにした。場合によってはしばらくコンクエスタムの活動は控えたほうがいいかもしれない…。そんなことを考えながら俺は秘密基地へと向かったのだった。



  =======



 秘密基地へと入るといつも通り麗さんがエレベーターの前で待っていた。マンション側のコンソールをいじっている間に俺が帰って来たのだとわかるのでいつもこうして出入り口で待っているんだ。まさに出来る美人秘書って感じだ。


麗「おかえりなさいませ。改太様。」


 いつもの挨拶をしてくれる。


改太「ただいま麗さん。」


 そう言いながらエレベーターから降りて、横に寄って前を開けてくれた麗さんの前を通り抜けて廊下を歩き出そうとしたその時………。


麗「………。」


 麗さんの鋭い視線が俺に突き刺さった。麗さんは少し鼻をヒクヒクさせている。


麗「………改太様。正直にお答えください。」


 麗さんに呼び止められる。


改太「うん?何を?」


麗「何故改太様から女性の匂いがして、改太様のシャツにリップがついているのでしょうか?」


改太「えっ?」


 俺は自分のシャツを見てみる。あぁ~…、本当だ。胸の上の方にうっすらと唇の形にリップのようなものがついてる。ついでにちょっと自分の服の匂いを嗅いでみる。………わからない。別に静流の匂いはしないと思うけど麗さんには何か匂いがわかるらしい。


改太「ちょっと学院で女生徒が転びそうになって受け止めたんだよ。たぶんその時についたんじゃないかな。」


麗「………。」


 麗さんが厳しい目つきで俺をじっと見ている。こえぇよ!何で俺が怒られてんの?!美人さんがこういう顔をしてると余計に迫力がある。何も俺に疾しいことはないのに何故かダラダラと冷や汗が出てくる。


麗「………わかりました。」


 それだけ言うと麗さんはすっと引き下がった。険しい表情ももうない。


改太「そっ、そう?じゃあ行こうか?」


 俺は内心ヒヤヒヤしながらも余計なことを言えば藪蛇になりかねないと思ってそのまま流すことにして俺の部屋へと急いだのだった。



  =======



 俺は自分のオフィスにあるソファで横になっている。俺が自発的に横になって休んでいるわけじゃない。もうちょっと具体的に言えば押し倒されていると言うのが一番正確だろう。なぜこんなことになっているのか………。


 俺は自分のオフィスに入ってからまずは着替えようと思って併設されている秘書室に麗さんを退出させて着替え始めたはずだ。


 するとなぜか秘書室へ退出していったはずの麗さんが後ろから俺に圧し掛かってきた………。


麗「あぁーうっかり転んでしまいましたー(棒)。」


改太「えっ?」


 俺はそのまま麗さんに押されて二人でトトトッと歩いて俺の足がソファに引っかかってそのまま圧し掛かられた。今ここだ。


 俺はソファに仰向けに倒れてその上に麗さんが乗っている。麗さんは俺の胸に顔を押し付けながら何やらモゾモゾと動いている。


麗「ああー申し訳ありませんー。転んでしまいましたー。(棒)」


 何か麗さんらしからず棒読みに聞こえる。


改太「あの?麗さん?」


麗「うっ!足を挫いてしまったかもしれません!まだ暫く動けません!」


 俺が何か言おうとしたら麗さんはそう言って一層力強く俺にしがみ付いてくる。


改太「麗さん………。」


麗「どきません!まだどきません!」


改太「………はい。」


 この後暫くは麗さんが俺の上に跨って俺の胸板にぐりぐりと顔を押し付けたりぐっと圧し掛かってきたりして動けなかった。麗さんが納得するまでそのままじっとされるがままになるしかなかったのだった。


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