【else】ver♭{倫理&先輩}
【CAUTION】
この物語は二次創作です。
実在する
『冴えない彼女の育て方』本編とは一切関係ありません。
【/CAUTION】
※1 詩羽、読者に媚びるの巻。
「霞ヶ丘詩羽は媚びる事にしたわ、倫理君」
「媚びる事にしましたか」
「えぇ、まずは形から入ることにしたわ。ご覧なさい、これが猫耳メイドよ、倫理君っ!」
「先輩」
「ふ、ふふっ、ふふふふふっ……激萌え、でしょう? 倫理君」
「先輩、あの」
「いいわ、いいわよ。とってもキュートよ、倫理君っ」
「なぜ、俺が猫耳メイドに?」
「鼻血が止まらないわっ! なんとかしなさい倫理君……ッ!」
「先輩」
※2 詩羽、定冠詞をつけたがるの巻。
「倫理君、倫理君っ、ちょっと聞いてよ倫理くーんっ!」
「はいはい、今度はなんですか。先輩」
「これからは倫理君の事を、私の倫理君と呼ぶことにしたわよっ」
「わかりました、先輩」
「私の倫理君、お腹がすいたわ」
「今夜はカレーですよ、先輩」
「私の倫理君、
「ただちに補充させて頂きます」
「私の倫理君、頭をなでなでしなさい」
「よしよし、先輩」
「私の倫理君」
「はい」
「私の……私だけの……倫理君……倫也……世界でただ一人の私だけの安芸倫也……他の女には指一本触れさせてなるものですか…………っ」
「先輩、正直普段とまったく変わりませんよね?」
「わたしの本質がヤンデレだって言いたいの!? 私の倫理君っ!!」
(面倒くさい
※3 詩羽、女のロマンを所望するの巻。
「お姫様だっこを所望するわ、倫理君」
「先輩も普通の女子っぽい事を期待するんですね」
「なにか言った?」
「いえなにも。それでは失礼します」
――ひょい。
「どうですか、先輩」
「えぇ、とっても素敵よ……倫理君」
「それは良かった。ところで先輩」
「なにかしら。早くベッドまで連れていっていいのよ?」
「限界です。もう一歩も動けません。降ろしますね」
「草食系男子の社会的地位が低い理由が今ハッキリと分かったわ。明日から自主トレに励みなさい倫理君っ!」
※4 詩羽、自己改善を図るの巻。
「――悟ったっ! 私にはデイフェンスぢからが足りないわ、倫理君っ!」
「ディフェンスぢから……防御力ですか?」
「えぇ。女は攻めてばかりではダメ。時には引いて好機を待たないといけないの」
「なるほど」
「そういうわけで倫理君。たまには貴方が私を攻めてごらんなさい」
「攻めなさいと言われましても」
「そうね。今日限定でなにをしても許してあげるわよ。貴方が望むならどんな事も受け入れてあげる。だからドンドン攻めていらっしゃい! 倫理君っ!!」
「先輩、それは……」
「なによ」
「通称〝誘い受け〟といって、立派な攻めの戦術の一つです」
「な、なんですって!? じゃあどうすれば守りになるのよっ!!」
「それを男子に聞きますか」
※5 詩羽、自己分析を始めるの巻。
「倫理君、冴えカノの2巻を読み返していて思ったのだけど」
「はい、なんか分かりましたか?」
「これ絶対セックスしてるわよ」
「先輩、発言には気をつけてください」
「いいえ、めちゃくちゃセックスしてるわよ。絶対してる」
「原作を読み返せばわかりますが、そうした事実はありません」
「えー、だって考えてごらんなさい。べつに仲違いもしてないし、これといった三角関係も成立してない一組の男女がホテルに一泊してるのよ? するでしょセックス」
「ですからそれは、
「いやいや、おかしいわよ。だって男の方は上半身裸だし、女の方もバスローブ着ててなにもありませんでしたとか、そっちの方がありえないでしょ。どう考えたってセックスしてるわよ」
「言われてみればそうですね。これが一般的な小説なら可能性はあったでしょう」
「一般的な小説?」
「えぇ。原作がラノベでなければ、たぶんセックスしてましたね。しかし冴えカノは全年齢を対象にした、高校生が主軸の『青春ラブコメティ』です。セックスはできない仕様なんですよ」
「――最近のラノベは○○ね。○ねっ!」
「オタクが軽々しく批判に扱うワード第一位を自己中心的な理由で扱うところ、嫌いじゃないですよ、先輩」
※6 詩羽、商業を批判するの巻。
「知ってるかしら? これまでの商業作品で読者から『人気だから』という理由で、そのヒロインとくっつけてエンディングを迎えた作品がいくつかあるそうよ、どう思う? 倫理君」
「そろそろ発言が危ないと思います、先輩。しかし個人的な意見を言わせて頂くならば、さすがプロだなと称賛させて頂きたいですね」
「そうかしら、もちろん読者のことを意識するのは大切なことだし、連載を最後まで続けられたのも読者のおかげ。でも逆に言ってしまえば、当初の予定だったメインヒロインの人気が出ず、肝心要のストーリーラインを曲げてしまった事と同義だわ。それは、クリエイターの敗北ではないかしら?」
「そうかもしれません。しかし熱心な信者ほど面倒なものはないですよ。特に二次創作を行うような連中を敵に回すと、アンチに転じてわめき散らして去っていきますし。適当に餌をまいて脳内で保管できるよう、掌の中で躍らせてやるのが最善でしょう」
「……やけに具体的ね、倫理君?」
「それがオタクという人間の本質ですよ、先輩」
「そんな生き物、社会から一匹残らず駆逐されてしまえばいいのに……そうすれば、みんなみんな幸せになれるのよ……!」
「そろそろやめましょう、この話」
※7 詩羽、敵地に単身乗り込むの巻。
「ここがあの女のハウスね、倫理君」
「はい、澤村邸です。この辺り一帯の土地を支配している大家主の居城です」
「ということは、ここにラスボスがいるのね? いわゆる、ラストダンジョンってやつなのね?」
「どうでしょう。確かにラスボスその1がいるのはここですが。しかし別のルートに裏ボスがいるとの噂もあります」
「なんですって! ということは、もっとでかい屋敷なのかしら?」
「いいえ、いたって普通の中流家庭です。ボスは地味な女子ですが強大な力を持っており、やっぱりコイツが一番強いんじゃ……と思われているそうです」
「じゃあそっちに行きましょう。この女のハウスに用はないわ」
「わかりました、先輩。ではこれにて終幕ということで」
「あっ、なにか玄関先からすごい剣幕の金髪娘が出てきたわ、倫理君」
「〝なに勝手なことぬかしどんじゃああぁー!〟とか叫んでますね」
「古き良きテンプレね」
「古典的な良さがありますね、先輩」
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