忍び込みし・・・。
数分後には二時限目が始まろうというところ、当然人の気は無く、吹き抜ける強めの風がフェンスを撫で立つ微かな音が時より響く以外は静まり返っている屋上。吹き抜けたばかりであり、感じ取れるほどの風も今は無く静寂に包まれていたところに―――。
“カシャン”
一つ。
“カシャカシャン”
また一つと、フェンスが鳴る。
“カシャ”
何かを押し付けたように三つ目の音が鳴ると同時に……。
「ふふっ……」
さも楽しそうな少女の笑う声が微かに響く。
「たやすし……ふふふっ」
少女が再び楽しそうに笑い、バタつかせた足が接触すると共に一つまた二つとフェンスの音が鳴る。
「わっしょいとは誠賑やか……ふふっ」
少女は座ると共に身体を支えていた両手をフェンスから離し、添えた両の足の上に置いていたノートを掴み捲ると、ページを一枚破き、破ったページを更に細かく破く。
「めでたしゅうならば……」
囁く様に言い、細かい紙切れを積もらした両手を顔の位置まで上げ……。
「吹雪かせること……必」
息を吹きかけると空(くう)に紙切れを散らしていく。
「ふふっ……」
最後の一枚を指で摘み太陽に透かし微笑むと。
「ふぅ~……」
優しく息を吹きかけ散らす。
遅れ舞う紙切れは強めの風に吹かれ先の紙切れとは別のほうへ舞っていき、少女はそれをに視線を向け再度微笑む。
「あれがそなたか……」
そして、紙切れが見えなくなるまで見送り。
「百太郎……」
少女がそう呟くと。
“カシャカシャン”
二、三、フェンスが音を立て―――。
“シャッ……”
音が消え静寂が戻ったと同時に、少女の姿も屋上から消えた。
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