第18話 昔の話聞いちゃいました。
カツーン、カツーン。
近づいてくる足音します。誰だろ?
ハチベエは総毛立って震えてました。
「しってる人?」
【知っているというか、ボクたちが最後に戦うはずの敵だよ。】
クドいようだけど、その『ボクたち』に私入れないでね。
「逃げる?」
【残念だけどムリかな。大丈夫、ヤツの狙いはボクだから。キミたちには危害加えないと思うよ。】
「どうゆうこと?」
【カンナ、少し話し聞いてくれるかい?】
「長い?」
【少し長いかもしれないな。】
「簡潔に。」
【……分かったよ。】
ハチベエは遠くの空を眺めるように視線を上に向けました。岩しか見えないよ。
【これから来るヤツは『天使』。つまり神の使徒さ。】
いい人じゃん。敵じゃないじゃん。
【そして諸悪の根源さ。】
「うん。」
【キミたちはなぜ転移してきたか知ってるかい?】
「しらない。」
【『魔の眷属』を倒すためなんだ。この世界の住人は『魔の眷属』を倒せないんだ。】
「どうして?」
【直接上位に位置する存在だからさ。だから違う世界の住人に手を貸してもらう必要があるんだ。】
「……。」
【よく分かってないようだね。そういうものだと思って聞いてよ。】
「うん。」
【その『魔の眷属』はどこから来ているか知っているかい?】
「しらない。」
【『天使』が生み出しているんだよ。】
「なんで?」
【それはボクにも分からない。だけどカンナたちみたいな転移者の悲劇は元を正せば『天使』のせいなんだ。】
「うん。」
【だからね、もともと転移者のボクは魔法を極めて『天使』と戦おうとしたんだ。】
「……。」
【だけどね『魔の眷属』にすら勝てなかったんだ。】
「……。」
【ボクは考えたよ。そして思いついたんだ。この身を人形にして冒険者に『恩恵』を授けようとね。だけど上手く行かなかった。平均的にステータスを底上げしても『魔の眷属』には届かなかったんだ。そしてボクは賭けにでた。ならばその『恩恵』を一点だけにに絞ってみようと。そうすればどうにかなるんじゃないかって、カンナ聞いてるの!】
「うにゃ? き、聞いてるよ。」
【怪しいなあ。話し続けるよ。って寝てるよね?」
「ゴブリンはムリ…むにゃむにゃ。」
【起きてよカンナ! ゴブリンムリって何のことだよ!】
「ん〜…うるさいな。」
【続けるからね。だけどそれも上手く行かなかったんだ。『攻撃』を限界突破したら剣を振った勢いで死んでしまった。『俊敏』は壁にぶつかり合えなく撃沈。『MP』に至っては魔法自体使えないからね、何も出来なかったよ。悲惨だったのは『防御』や『HP』。ゴブリンに3日3晩なぶり殺しにされたよ。】
「そ、そうなんだ。」
【諦めかけた時に出会ったのがカンナ、キミなんだ。】
「うん。」
【『砂漠の砂』での戦いを見て思ったよ。これなら『天使』に対抗できるかもしてないってね。だけどまだ早い。100年くらいかけて育てていこうと思ったのさ。】
「やだ。」
【だよね…。だけど安心していいよ。そうも言ってられなくなったからね。『天使』に見つかってしまった。『魔の眷属』を倒したのが原因だと思うよ。】
「見つかったらどうなるの?」
【ボクは消されるだろうね。それだけさ。でも大丈夫。そのうち復活するよ。キミもボクの『呪い』から解放される。】
「復活っていつ?」
【分からないな。遠い先の話だよ。100年後かな、それとも1000年後かな。】
「分かった。」
私は傷ついた体をがんばって起こしました。そして立ち上がりました。
「ハチベエは私が守る。」
【いくら『運』がよくてもムリだよ。】
「ハチベエは間違ってる。」
【何がだよ!】
「『呪い』じゃなくて『恩恵』でしょ。」
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