第13話 『ゴー』のこと考えちゃいました。
結局、水晶球が割れたイカ男は、何もできなくなったことをいいことに、それまでビビって隠れていたくせにここぞとばかりに調子にのりまくった『砂漠の砂』の人たちに、弱い者いじめ状態で取り押さえられちゃいました。
イカ男、最後まで「俺の名を言ってみろ」って叫んでました。何だったんだろ、アレ。
恨んだりとか全然ないからね。
置き去りにされたことだって、何とも思ってないからね。
魔法をうたれたのに誰も助けてくれなかったこともファッ◯なんて思ってないからね。
あんなとこ、もう絶対行きません。
「怖かったね〜。」
ビッチ、あんなことがあったばかりなのによくモノが喉を通ります。モグモグ。
お前、鉄で出来ているんじゃないか。甘い、おいし。
「カンナ、よくそんなに食べれるね〜。」
「大丈夫。お金なら拾う。」
「そ、そういう事じゃないんだけどね…。」
大丈夫。甘いものはベツバラ。
「ウチ、もういいや。あとカンナにあげる。」
サンキュービッチ。
「カンナ、ちょっといい?」
「なに。」
ビッチが真剣に聞いてきました。何だろ。
「カンナ、ステータス見れるんだよね。」
「うん。」
「スキルも見れる?」
『ら抜き』言葉が気に触ります。言葉は正しく使ってね。
人にモノ頼むときは特にね。
で、どうだっけ? ハチベエに目配せします。
【このプリン甘いね〜。】
ちっ。あっ、舌打ちしちゃいました。私としたことが。はしたないっ。
だけどしょうがないよね。
首絞めて鵜飼のようにプリン喉を通らなくしたくなっちゃったんだから。
「見てみる。」
ビッチに意識を集中しました。するとビッチの頭上に文字が浮かんできます。
「見えた?」
「うん。」
「教えて?」
「感知レベル17と誘惑レベル8。」
「そっか、ウチ、スキル持ってるんだね。」
ビッチが浮かない顔してます。どしたの?
「カンナ、スキル持ってるってことは、なんか『ゴー』背負ってるんだよね。」
ビッチ、それ、たぶんちょっと違うよ。そんな背負投げレベルの豪快なモノじゃないよ。
「転移前の私って一体どうだったんだろ?」
数を競うかのように、下は生まれたばかりの赤子から上は棺桶に片足を突っ込んだ老人まで、とっかえひっかえもてあそび、朝昼晩と休む暇なくジョージにふけ、それでも足りずに欲望の赴くままに貪りつくす。控え目に言うと、そんな感じだと思います。
でも気にしないで。私はビッチのそういうとこメチャクチャ気に入らないけど『砂漠の砂』の言ってることも本当かどうか怪しいから。
「しらない。」
「だよね! 気にしたってしょうがないよね。」
ビッチ得意の『にへっ』スマイル発動しました。
前言撤回します。にへる前に、少しは気にしたほうがいいと思います。
今に背中刺されるよ。
「きょう怖いことあったでしょ。それで、なんか変に気にしちゃったのかも。ヨシッ! 嫌なことは忘れて食べよっ!カンナ。」
そ、それ…さっきくれるって言ったよね。言ったよね。
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