第12話 医術師の家

 美しく装飾がほどこされた高級黒石(ファンロットラ)の渡り廊下をラウガは足早に歩いていた。

 サン王国との会談から戻ってくるなり,サマンナが報告をよこしたのだ。ルトが自分に会いたがっている,と。

 ラウガはいつになく思いつめた表情でルトを閉じこめている部屋の扉を開ける。

「ラウガ王子」

 ルトは寝台に腰掛けていた。まだ完治しきっていないようだが,白布はとれてきているようだ。初めて会った時と同じ,怖いくらいまっすぐな瞳でこちらを見つめている。

 ラウガが口を開こうとすると,ルトは折れた左足を不自由そうに動かしながら立ち上がって,膝をついた。敬意のしるしだった。

「あなたに従う。息子とともに,あなたの望むとおりの絵本を作る」

 ルトの言葉が信じられず,一瞬ラウガは何も言えなかった。

 だがすぐに,その顔にうっすらと邪悪な笑みが宿る。

「・・・賢い選択だ」

「――だが,約束してほしいことがある」

 ルトは硬い声で続けた。

「息子のことは必ず守ってくれ。例え,何が・・・戦争が,起きたとしても」

 ラウガはゆっくりとうなずいた。

「もう一つ。俺には兄がいるんだ。もし戦が始まったら,兄のことも守ってほしい。兄と息子の安全で平穏な暮らしは保障してもらいたい」

 ルトの声は,今までのような敵意の感じられない,とても静かなものだった。

 勝った・・・ラウガはそう思った。

「わかった。約束しよう」

 また一歩前進した――密かな満足感を覚えながら,ラウガは膝をついたままのルトに言う。

「お前の子どもは,息子なんだな?」

「・・・ああ。ルシカっていうんだ。年は十五」

「お前達の家はどこにある?」

 ルトは返答につまった。これを言ったら,もう後戻りはできない気がした。

「・・・ローニャの森だ」

 ルトがつぶやくと,ラウガはうなずく。

「馬を用意する。案内してもらおう」

 ラウガはそう言って部屋を出て行った。

 一人残されたルトは姿勢を崩し,床に倒れ込んだ。

(これで,いいんだよな・・・)

 ルシカが見つかれば,もう後戻りはできない。

 ルトは必死に自分を納得させた。

 ルシカは,ルトが事情を話せば,わかってくれるだろう。ルトの物語に絵をつけるのが幸せだと言ってくれたのだから。

 もう少しで“戦争”が起きる。そして自分は息子とともに,それを煽り立てる絵本を作るのだ。

 ルトの脳裏に,ナリィの姿が,五年かけて調べ上げた戦争の全貌がよぎった。

(ごめん・・・でも,もう大切な人達を守る方法は他にないんだ・・・)

 誰に対してかもわからぬまま,ルトは心の中でわび続けた。



「ラウガ様自ら行かれるのですか?」

 身仕度をととのえ,数日城を離れることを伝えると,部下であるダルタンは目を見開いた。

「ああ。あの男から目を離したくない。極秘で行く。城の者達に気づかれぬように頼む」

 ダルタンは「は!」と頭を下げた。ラウガは美しい黒髪をひとつにまとめ,平民のような地味な格好をしている。

「お一人で大丈夫ですか?」

「問題ない。・・・それより,国王の容態は?」

「・・・医術師の話によると,あと半月もつかどうか,とのことです」

「そうか」

 ラウガは抑揚のない調子でうなずく。だが,心の中の高揚をおさえきることができず,思わず笑みがこぼれた。

(シャンズルに任せてある“あれ”も順調に進んでいる。本当に,あと少しだ)

 しかし,ずっと心にひっかかっていることを思いだし,ラウガは表情をひきしめる。

「・・・ダルタン,一つ頼みたいことがある」

「は!何でしょう?」

「リャオを捜してきてほしいんだ」

「リャオ・・・ですか?」

 ダルタンは少し意外そうに目をみはる。

「ああ。しばらく全く連絡がない」

「わかりました。――もし死んでいた場合,死体は回収致しますか?」

 その言葉に,ラウガは一瞬胸をつかれたように息がつまった。だがすぐに平然とうなずく。

「ああ。そうしてくれ」




 ライラとの別れから三日。心に傷を残しながらも,ルシカはリャオと父についての聞き込みを続けていた。ルシカを一人にするのが心配だったリャオは,手分けしてではなく,一緒にいることにした。

「そろそろお昼にしようか」

 ルシカが言う。二人は店を見て回り,一軒のパン屋に目がとまった。

「ここ,美味しそうじゃないか」

 リャオに言われ,ルシカもうなずく。だが,斜め前にある缶詰(ルズル)売場に目をとめた。缶詰を見たことがルシカは興味をそそられる。

「リャオ,あれも見てみたい」

「あ,行ってみるか」

 そちらに行こうとした二人を見て,今まで黙って見守っていた店主が口を開いた。優しそうなおばさんだった。

「そっちはやめといた方がいいよ」

「どうしてですか?」

 リャオが尋ねると,おばさんは声をひそめる。

「あの缶詰は,ラージニアからの輸入品だからさ」

 それを聞いても腑に落ちない顔をしている二人を見て,おばさんは目を見開いた。

「一の区の爆破事件を知らないのかい?」

 その言葉にルシカはどきりとした。森で見た,天へ昇る黒煙を思い出す。

「一の区で,ラージニアからの輸入品を運んでる最中,それが爆発したのさ。何十人もの人々が怪我をして,死者も出たらしい。ラージニアからの輸入品だし,爆発だなんて高度な技術・・・今回の事件はラージニアの仕業なんじゃないかってもっぱらの噂だよ」

「それっ・・・」

 ルシカは言った。

「怪我をした人とか亡くなった人の名前とかってわかりますか?」

 おばさんは顔をしかめる。

「うーん・・・私も人づてに聞いた話だから・・・。――ああ,そういえばもう何軒か先に行くと,衣服屋があるんだ。そこの店主が情報屋から情報紙を買っていた気がする。それには被害者名簿も載っていたと思うよ」

 ルシカはうなずいた。あの黒煙を見たときからずっと,ルトがそれに巻き込まれたのではないかという不安があった。それを確かめに行かなくては。

「ありがとうございます。――リャオ,行こう」

 そう言ってリャオを見て,ルシカは目を見はる。

 リャオの顔は真っ青で,瞳には全く光がない。

「リャオ,大丈夫?」

 肩を揺すられ,リャオはようやく我にかえる。

「あ・・・ああ。ごめん」

「大丈夫か?」

 リャオは弱々しく笑った。

「大丈夫。情報紙を見せてもらうんだろ?行こ」

 リャオは歩き出す。慌ててルシカもついていったが,不安は消えなかった。

(大丈夫かな・・・)

 リャオは時々こういう風になる。何かを思い出しそうだったのだろうか。

 リャオはすぐに元気を取り戻し,二人は昼食を買うのも忘れて衣服屋を目指した。




「大丈夫だ・・・」

 ルシカはほっとして,あやうく情報紙を落とすところだった。

「ありがとうございます」

 ルシカは紙を衣服屋の店主である若い男に返す。

「お父さんの名前はなかったかい?」

 店主に訊かれ,ルシカはうなずいた。店主は「良かった」と笑う。情報紙を見せてくれと頼んだとき,いぶかしがられたが,事情を話すと快く見せてくれたのだ。

 情報紙は一面,爆破事件のことでうめられており,被害者の名簿も全て出ていた。だが,ルトの名前はない。ルシカはほっと胸をなで下ろした。

「良かったね,ルシカ」

 リャオもそう言ってくれ,ルシカは微笑んだ。

 その時,ぽつり,とルシカの頬に水滴が伝った。雨だ。

 ぽつりぽつりと雫は次々と降ってきて,すぐに本降りになった。

「わっ」

 思わず身をかがめた二人に,店主は奥の方からフード付きの雨よけの上着を二着持ってきてくれた。

「これ来ていきな」

「え・・・でも,お金が・・・」

「いい,いい。親父さん,早く見つかるといいな」

 店主が笑顔で言う。ルシカとリャオは心から礼を言って,それを着て歩き出した。

 道行く人々も,慌てて走っていく人もいれば,あらかじめ持っていた上着を着ている人もいる。竹と布で作られた傘を持っている人もいて,ルシカは思わずそちらに目を奪われる。

「昼飯食べないか?お腹すいた」

 リャオが言い,ルシカも同意したが,少し眉をよせた。

「でも,少しお金が心配なんだ。使う一方だから・・・」

 すると,リャオは得意げに片眉をあげた。

「へへん。その心配はないんだな」

「え?」

 リャオはポケットから重そうな布袋をとりだす。ルシカは目をむいた。

「それ,お金!?」

「うん。二の区で別行動してただろ?その時,お父さんを捜すだけじゃなくて,ちょくちょく働いてたんだ。売り子とかって案外楽しいよ」

 そう言って袋をポケットに戻す。

「ずっとルシカのお金で旅してきたから,なんか申し訳なくてさ」

「そんなこと,全然気にしてなかった・・・」

 ルシカはつぶやいた,なんだか申し訳ないような,有り難いような気持ちになってくる。

「ありがとう」

 そう言うと,リャオは「こっちこそ」と笑って,被っていたフードを深く被り直した。

 雨は強くなり,もう今日は早めに宿に入ろうか,と話をしていた時だった。

 ある宿の前に,馬が一頭とまっているのが見えた。

「リャオ,馬だ」

 ルシカが話しかけると,リャオもそちらを見る。

「本当だ。めずらしいね」

 馬用の道は大市場通りとは別に整備されているので,馬を見かけることはあまりない。雨に濡れた栗茶色のその馬には,二人の人物が乗っていた。二人とも雨よけのフードをすっぽりと被っていて,顔は見えない。一人はとてもぐったりとしていて,もう一人が彼を支えるようにして馬を下りた。馬を近くの柱に繋ぎ,二人は宿へ入っていく。

(・・・?)

 ルシカはその二人を,なんとも言えない不思議な思いで見つめていた。胸のあたりがざわざわする。

「なあ,リャオ・・・」

 あの宿に行ってみよう・・・と言おうとしてリャオの方を見,ルシカはぎょっとした。

 リャオは頭をかかえ,その場にうずくまっていたのだ。

「リャオっ,大丈夫か!?」

 ルシカもしゃがみこんで彼の背に触れた。丸まった背中は細かく震えている。

「リャオっ」

 彼はぎゅっと目をつむり,何かに耐えているようだった。

 リャオは声も出せず,潤んだ瞳でルシカを見つめる。そのままぐらりとルシカにもたれかかり,動かなくなった。

「リャオ,リャオっ!」

 ルシカは肩を揺すり呼びかけた。だが全く反応はない。

(どうしよう・・・)

 そう思ったとき,不意に頭上から声がした。

「大丈夫か?」

 見上げると,白髪の老人が心配そうにルシカ達を見下ろしていた。




 ラウガは硬く居心地の悪い椅子に腰かけ,寝台を見つめた。そこには,ルトが苦しそうに息をしながら眠っている。

 ローニャの森へ馬を走らせている途中,ルトが高熱を出し,意識を失ったのだ。仕方なく街へ入り,一番近い宿に入った。

(拷問が相当身体にこたえたか)

 まだ無理に動かすべきじゃなかったかもしれない。

 ラウガは冷めた瞳で苦しむルトを見つめた。ルトはあえぎながらうっすらと目を開ける。

「・・・どうして・・・」

 ルトはうつろな瞳でラウガを見つめた。

「どうして,そんなにラージニアを欲しがるんだ・・・」

 何か夢でも見ていたのだろうか。うわごとのようにつぶやいて,ルトは再び眠りについた。ラウガは冷たく微笑する。

「・・・お前は大きな勘違いをしている」

 止まぬ雨に耳を傾けながら,ラウガはしばし昔のことを思い出した。




 リャオは夢を見ていた。

――お前は人を殺せるか?

 誰かが自分に剣を差し出して,言う。

――殺せます

 自分は即答して,それを受け取った。目の前に現れる人々を,剣でぶった切る。

 叫び声,飛び散る血,肉を切る感触・・・

「うわあ!」

 リャオは飛び起きた。

「リャオっ」

 顔を横に向けると,心配そうにこちらを見つめるルシカがいた。

「ルシカ・・・ここは・・・?僕,どうしたんだ・・・?」

 なんとか口を開くと,ルシカはほっとした表情で説明してくれる。

「ここはグリムスさんっていう人の家。君が倒れて困ってたとき,助けてくれたんだ」

「倒れた・・・?」

 その時のことを思い出すことができない。だるさを感じて,リャオは寝台に横になる。

「グリムスさんが,しばらくここに置いてくれるって。もう少し休んでなよ」

「うん・・・」

 ルシカの声をどこか遠くに聞きながら,急激に襲ってきた眠気に引きずり込まれ,リャオは再び瞳を閉じた。

 ルシカはリャオが眠ったのを見届けると,ひとつ息をついた。

(リャオ,大丈夫かな・・・)

 今まで頭痛を訴えたことは何度かあったが,倒れるまでになるのは初めてだ。

(あの馬に乗った二人を見てから・・・だよな)

 リャオの綺麗な寝顔が,ライラに重なって,ルシカは身震いする。

 その時,扉が開いた。

「様子はどうだ?」

 助けてくれた老人,グリムスだった。ルシカは軽く頭を下げる。

「今,少し目を覚ましました。すぐ眠っちゃったけど・・・」

「そうか」

 グリムスはリャオの側に行き,顔色や脈を診た。

「命に別状はなさそうだし,しばらく休めば大丈夫だ」

 それでも不安そうにしているルシカを見て,グリムスは無表情で,それでも励ますように言った。

「今は辞めちまったが,こう見えて俺は医術師だった。信用してくれて大丈夫だよ。――さあ,下におりよう。お茶でも出す」

 グリムスに促され,ルシカはためらいながらも部屋を出た。




 ハミルはクリスタイン家の自室で長椅子に座りながら,昔のことを思い出していた。

――人は本来,戦うものだと,戦うべきものだと私は思う。

 成人の儀を終えたハミルに,父は言っていた。

――人は己の信じるもののために,愛するもののために戦うことができる。・・・だがな,戦争は戦いではない。ただの殺し合いだ。兵が死ぬ。民が死ぬ。何を信じ,何を守り,何をしたかったのか見失わせてしまう。一度戦争が始まれば,それは終わらない。止められない。だから起こしてはいけないんだ。

 ハミルはただ父の言葉を受け止めていた。

――ハミル,今まで戦争の足跡を学んできただろう?戦争の苦しみは,実際に戦争にまきこまれた人々じゃないとわからない。戦争を知らぬ我々は,あまりにも無知だ。・・・だが,過去の過ちをくり返してはならないのだ。クリスタイン家当主になるものとして,いずれ莫大な兵力を持つ者として,この国の平和を,皆が殺し合いではなく,戦うことができる国を築き上げる覚悟をするんだ。

(父様・・・)

 自分はその時,覚悟した。

 今こそ,その平和が失われようとしているのだろうか。父の遺志が穢されようとしているのだろうか。

 ハミルが思いふけっていると,扉がノックされ,「ハミル様」と涼やかな女性の声がした。それを聞いて,「どうぞ」とハミルは無意識のうちに穏やかな声音で招く。

 扉が開き,艶やかな髪を肩まで伸ばした可愛らしい女性が顔をのぞかせる。

「ニーナ」

 ハミルが微笑むと,女性――ニーナもにっこりと笑った。

「会いに来てくれるなら,あらかじめ連絡をくれればいいのに」

「あなたを驚かせたかったのよ」

 ハミルがすすめると,彼女はハミルの横に座った。自然な動作で,二人はぴったりと身を寄せ合う。

 会話はないが,静かで満ち足りた時間が流れた。

「・・・ねえ,ハミル。大丈夫?」

 すぐ顔の近くで尋ねられ,ハミルは首をかしげる。

「どうして?」

「最近,表情が曇っているでしょう。何かあったの?」

 不安げに自分を見上げるニーナの髪を,ハミルは優しく撫でた。

「大丈夫だよ。ありがとう」

 そして空気をかえるように明るい声音で言う。

「僕たちのことについても話を進めていかないとな。近いうちに君のご両親に挨拶に行かなくちゃ」

 ニーナの家は代々,サン王国との交易をまかされている名家だ。クリスタイン家との関係が深く,ハミルとニーナの結婚はそう遠くない話だった。

「それは嬉しいけれど・・・。――一人で考え込んではだめよ,ハミル。私がいることを忘れないで」

 そう言ってうつむく彼女を,ハミルは抱きしめる。

「ありがとう」

 脳裏にラウガのことがよぎった。だが,すぐそれを考えないようにする。

 自分は今,彼女とのことを考えなくてはならない。ラウガのことは確かに気にかかる。だが,まさか戦争なんて・・・そんなことが起こるはずがない。

(今はニーナとの将来のことを一番に考えるんだ)

 由緒正しきクリスタイン家のために。そしてこれから愛する者と幸せに生きていくために。




 ルシカはグリムスに,父を捜して旅に出ているということ、そしてリャオが記憶を失っていることを話した。彼が医術師であったのなら,何か知っているのではないかと思ったからだ。

 しかし,話を聞いたグリムスは眉を寄せる。

「記憶喪失・・・。本では読んだことがあるが,実際にお目にかかったのは初めてだ」

「何か,記憶を取り戻す方法とかはあるんですか?」

 グリムスは唸った。

「印象深いものや人を見れば,それをきっかけに思い出すことがあると聞くがな・・・。――ただ・・・」

「ただ?」

「あの子はよく悪夢を見たり,思い出しそうなとき苦しんだりするんだろう?もしかしたら,記憶を失う前に相当つらい目にあってるんじゃないだろうか。そう考えると,記憶を取り戻すことがいいことだとは言えない」

 確かに,それはリャオ自身も言っていたことだ。ルシカがうなずくと,グリムスは「もうひとつ」と言葉を続けた。

「記憶を取り戻すと,記憶を失くしていた頃のことを忘れてしまう,という考え方が一般的なんだ」

「えっ・・・」

 その言葉にルシカはぞっとした。つまり,リャオが記憶を取り戻したら,今までルシカと過ごしてきた日々を忘れてしまうかもしれないということだ。

(それは・・・嫌だ)

 よくないことだとわかっていても,ルシカは思わずそう思ってしまう。うつむくルシカを見て,グリムスは大きな手でぽん,とルシカの肩に手を置いた。

「まあ,ゆっくり休んでいってくれ。二人とも長旅で疲れているんだろう?」

 その手と言葉は温かく,ルシカは頭をさげた。

「ありがとうございます」



 その日の夜になっても,リャオは目を覚まさなかった。

 ルシカはリャオの眠る寝台の横に布団を敷く。グリムスが部屋を用意してくれると言ったが,断った。リャオの側を離れたくなかった。

 ルシカはリャオを見つめた。悪い夢でも見ているのか,時々苦しそうに顔を歪める。

「リャオ・・・」

 苦しんでいるリャオを見るのはつらかった。だが,記憶を取り戻したら,彼は自分のことを忘れてしまうかもしれない。

 ルシカは布団に横になる。こんなに心細い夜は久しぶりだった。




 次の日。朝早く目を覚ましたルシカは部屋で紙綴り(クロッサ)に絵を描いていた。絵を描くと、やはり心が落ち着くのだ。

 目覚めぬリャオを時折見つめながら、ルシカは今までの旅のことを思い出し、木筆を動かす。

 二の区の大市場通りを描きながら、ルシカは思った。

(絵を描くって、俺にとってどういうことなんだろう・・・)

 森で暮らしていた頃はそんな疑問を持ったことはなかった。絵を描くことはルシカの幸せであり、父の物語に絵をつけて生きていくのだと決め、ゆるがなかった。

 だが、今まで見てきたものや出会った人々のことを考えると、その思いがぼやけてしまう。

 ルシカが絵を描き続けていると、突然手元に人影が落ちた。はっとして顔をあげると、静かな雰囲気を身にまとった老人が立っていた。グリムスだった。

「朝食の準備ができたから、呼びにきた」

 グリムスが低く落ち着いた声で言い、ルシカは慌てて紙綴りを閉じた。

「ありがとうございます」

 立ち上がったルシカをグリムスがまじまじと見つめる。

「絵を描くのが好きなのか」

「あ・・・、はい」

 ルシカは無意識のうちに紙綴りを抱きしめてうなずいた。グリムスの瞳が一瞬鈍く光る。彼はリャオの様子を見、大事がなさそうなのを見とると、片手でルシカを促した。

「ついておいで」

 ルシカはリャオを気にしながらも、言われたとおりグリムスについて行った。



 グリムスは一階の居間の隣にある部屋に向かった。

 なんだろう、と思っていたルシカは、扉が開かれたとたん、感嘆の声をあげる。

「わあ・・・」

 そこは花畑だった。色とりどりの花々が一面に咲き誇っている。今は遠い春の香りが漂ってくるような気がして、思わずルシカは息を吸い込む。それが壁一面に描かれている絵だと気づくのに、少し時間を要した。

「これ・・・グリムスさんが描いたんですか?」

 ルシカは興奮を抑えられず、震える声で尋ねる。こんなに大きく、心を押されるような絵は見たことがなかった。

「ああ。まだ途中だがな」

 ルシカは許可をとるのも忘れて部屋に入り、その巨大な絵に近づいた。近くで見ると色墨(シェト)―絵の具―を何十にも塗り重ねたのか、でこぼことしているのがわかる。

「これ・・・」

 ルシカが色をつけるときに使っている水で薄めて使う色墨とは違うもののようだった。

「それは重色墨(ロウ・シェト)といってな。水で薄めないんだ。重ね塗りすると、立体的になるから、色彩に味が出る」

 グリムスの言葉に振り向き、部屋全体を視界に入れると、ルシカは息をのんだ。そこにはあらゆる色、種類の色墨が整然と並べられている。見たことのない色墨ばかりだ。

「すごい・・・!」

 ルシカが思わず瓶の一つを手に取ると、グリムスが説明してくれる。

「それは裏色墨(ドノ・シェト)といって、紙の裏から色をつけるものだ。表と裏で色が変わるんだよ」

 ルシカは目を輝かせた。それを見て、グリムスは苦笑する。

「使ってみるか?」

「えっ・・・」

 願ってもないことで、ルシカは思い切りうなずいた。

「朝食をとってからにするか?」

 グリムスが引き出しから厚紙を取り出しながら言ってくれたが、ルシカが迷わず首をふる。

「今描きたいです!」

 グリムスはあきれたように笑って、ルシカに紙を差し出す。

「どれでも好きなのを使うといい」

「ありがとうございます」

 ルシカは近くの机を借りて、片っ端から瓶をとり、試し塗りをしてみた。

(すごい・・・!)

 裏色墨は赤色なのに、塗って表から見てみると、淡い赤と黄を混ぜたような不思議な色になる。重色墨(ロウ・シェト)は粘り気があって、重ねるたびに色の雰囲気が変わる。他にも見たことがない色の墨がたくさんあった。ルシカは顔もあげず、すっかりそれらに夢中になっていた。

 そんなルシカを、グリムスはどこか優しい眼差しで見つめていた。


 しばらくして、扉をたたく音を聞き、ルシカははっと我に返った。

「客だ」

 グリムスが言い,立ち上がり部屋を出て行く。

 一人残されたルシカは,試し塗りをした紙を見つめる。今まで見たことがない色合い・・・

(これらを使って,絵を描いてみたい・・・)

 胸にどうしようもない熱いものが沸き上がり,ルシカは頬を紅潮させたが,その時グリムスがのっそりと顔を出した。

「さすがに食事にしよう。おいで」

 そう言われ,やっとルシカは激しい空腹を感じた。朝から何も食べていない。ルシカはうなずいて部屋を出た。一旦二階により,リャオがまだ眠っていることを見とると,ルシカは一階に下りる。

 居間には,グリムスの他に若い男が座っていた。

「先生,この子は?」

「旅人だ。わけあって昨日からうちに泊まっている」

 男は興味深そうに目を瞬かせたあと,ルシカは見た。

「初めまして。僕はアルレド。ここから少し歩いた診療場で医術師をやっているんだ」

 人の良さそうな笑みに,かつて三の区印刷場で出会った情報屋の青年を思い出しながら,ルシカは頭を下げる。

「ルシカ・アーレベルクです」

 グリムスにすすめられ,ルシカは食事を始める。パンも魚も冷めてしまっているが,十分美味しかった。食事をするルシカの隣で,グリムスとアルレドは話をしていた。

「何か変わったことはなかったか」

「大丈夫です。ただ・・・暑い時期なので,例年通り具合を悪くする人は増えてますね。ですが医師も増えたので,特に問題ありません」

「そうか」

 ルシカは二人のやりとりを黙って聞いていた。おそらく診療場の話をしているのだろう。と,グリムスが何かを思い出したように立ち上がった。先の絵の道具が置いてある部屋に入っていく。

 二人きりになると,アルレドはルシカを見つめた。

「グリムスさんは今は退職されたけど,昔は実に立派な医術師でね。僕は長いことグリムスさんのもとで学ばせてもらったんだ。今もこうして時々よらせてもらってるんだよ」

 ルシカが納得してうなずいたとき,ちょうどグリムスが戻ってきた。手に包みを持っている。形状からして何か板のようだ。

 アルレドはグリムスからそれを受け取ると,嬉しそうに笑った。

「ありがとうございます!」

 ルシカは何だろう,と思いながらも黙ってそれを見ていた。それから,アルレドはグリムスとしばらく診療場の話をして帰っていった。


「さっきアルレドさんに何を渡したんですか?」

 ルシカが尋ねるとグリムスは食器をさげながら答える。

「絵だよ」

「絵?」

「ああ。あの部屋を見たからわかると思うが,俺は絵を描くのが趣味でな。退職してから本格的に始めたんだ。時々アルレドがああやって持っていってくれるんだよ。診療場に飾るんだと」

「すごい・・・」

 ルシカは思わずつぶやいた。グリムスは「何もすごくない」と首をふる。

「まあ,あの診療場には病気で長く入院している人もいるからな。そういう人達の心のなぐさめに少しでもなるなら,いいんだがな」

 医術師として何十年も働き,職を退いた後は自分のため,人のために絵を描く。

 そんな彼の人生に,ルシカは強い羨望を覚えた。

「さて,さっきの続きをやるか?」

 グリムスの何気ない言葉に,ルシカははじかれたように顔をあげる。

「でも・・・」

 人様のものをこれ以上使うのにためらいを覚えたが,グリムスは口もとを緩める。

「気にしなくていい。それに,色をつけたお前の絵も見てみたい」

 そう言われ,ただでさえうずうずしていたルシカは「ありがとうございます」と礼を言って,あの部屋に向かった。

(本当に絵を描くのが好きなのだな・・・)

 グリムスはそう思いながら,二階に上がり,もう一人の少年の様子を見にいく。

 茶髪で整った顔立ちをした少年は,まだ眠り続けている。

 布団が少し乱れているので身じろぎはしたのだろうが,これ以上目を覚まさないとなると危ないかもしれない。

(記憶を失った少年と,父を捜す少年か・・・)

 二人はどんな道を歩んできたのだろう。この少年も心配だが,もう一人の,ルシカのこともグリムスは気に掛けていた。本人は気づいていないかもしれないが,相当疲れた表情をしている。だからこそ,せめて気晴らしに,と絵を描くことをすすめたのだ。

 ふと,グリムスは机に置かれている紙綴り(クロッサ)に気づき,そっとめくってみる。

(これを,あの少年が・・・)

 そこに描かれている絵を,グリムスは吸い込まれるように見つめていた。




 ルシカは夢中で絵を描き続けた。色墨(シェト)を使って絵を描くのはいつぶりだろう。

(・・・リャオの・・・)

 木筆を動かし下書きをしながら,ルシカは考える。

(リャオのために絵を描こう)

 リャオが目を覚ましたときにほっとできるような,温かい気持ちになれるような絵を描きたい。

 時間を忘れるくらい描き続けていると,さすがに肩や背中が痛くなってきて,ルシカはのびをした。と,その時,とんっ,と手に何かが当たる。

「あっ・・・!」

 それが赤い色墨の瓶だとわかったときには,もう瓶は床に落ち,赤い液体が飛び散っていた。

「どうした?」

 音を聞きつけて部屋に入ってきたグリムスに,ルシカはどんな顔をしていいかわからず,頭を下げた。

「ごめんなさい!色墨を落としちゃって・・・」

 グリムスは散らばった瓶の破片と,飛び散った赤を見て,納得したようにうなずく。うつむいているルシカに,優しい声をかけた。

「気にするな。怪我はしなかったか?」

 ルシカは大丈夫だと首を振る。なおもしゅんとしているルシカを励ましながら,グリムスはルシカとともに破片を拾ったり,床を拭いたりした。

 申し訳ない気持ちでいっぱいになりながら床の色墨を拭き取っていたルシカは,ふと顔をあげて「あっ!」と顔を歪める。壁にはってある花畑の絵の左隅の方に,赤がてんてんと染みついていた。青,黄,薄紫の花々が悲惨なことになっている。

「絵が・・・」

「ああ。気にしなくていい。上から塗り直せば問題ないから」

 グリムスはなんてことのないように言ったが,ルシカはその絵のことが気になって仕方がなかった。




 その日の夜になってもリャオは目を覚まさなかった。薄手の布団にくるまりながら,ルシカは眠れずにいた。

 リャオのこと,そしてあの絵のことが気にかかっていたのだ。

(今まで見たことがないくらい綺麗な絵だったのに・・・)

 あんな心打つものを,自分の手で汚してしまった。

「・・・やっぱり,あのままじゃだめだ」




 一階の寝室で眠っていたグリムスは,ふいに物音に気づいて目を覚ました。人の気配がする。

(・・・盗人か?)

 グリムスはしばしじっとしていたが,やがて起き上がり音をたてぬよう部屋を出た。

 暗闇の中じっと耳をすますと,かすかな物音と人の気配は絵の道具が置いてある部屋からのようだ。しかも,扉の隙間からぼんやりと灯りが漏れている。

 グリムスは息を飲んだが,思いきって部屋の扉を開けた。

 そして,部屋の中にいる人物を見て目を見開く。

「ルシカ?何をしているんだ」

 部屋にいた人物・・・ルシカは「しまった」というような顔をして首をすくめた。

「どうしたんだ,こんな時間に・・・」

 ルシカは壁の絵の前に座りこんでいる。あたりには色墨や受け皿,筆が置かれていた。

「絵を直したくて・・・」

 遠慮がちに言うルシカの後ろの絵を見て,グリムスは目を見はった。夕方,赤墨で汚れた部分が元どおりになっている。どこを塗り直したのかわからないほど自然に修復されていた。

「ルシカが直したのか?」

 ルシカは申し訳なさそうにうつむくいてうなずいた。

「本当に申し訳なくて・・・,あんな素敵な絵を汚しちゃって・・・」

 グリムスは何も言えず,書き直したのであろう部分を見つめた。

(はじめて見た絵をここまで完璧に・・・)

 ここまで再現するには,相当の記憶力とそれを表現する技術が必要だ。

 グリムスの沈黙を怒りと受け取ったのか,ますますルシカは小さくなる。

「で,でも夜中に勝手に部屋に入っちゃって・・・本当に・・・」

「別に怒っていない。ありがとう」

 グリムスは静かな興奮を感じながら,かたわらの少年を見つめた。

(とんでもない子だ)

 この少年は,天性の才能と狂気にも似た情熱を持っている。本人が気づいていないだけで。

「ルシカ」

 名を呼ばれ,ルシカは「はい」と身体をすくませた。

「・・・お前はとんでもない才能を持っている。はかりしれないほどの・・・」

 その言葉に,ルシカはきょとんとしたように首をかしげる。グリムスはそんなルシカをじっと見つめた。

 自分は本当は医術師よりも絵描きになりたかった。人の心に響くような絵を描くことに,一生を捧げてみたかった。だが,それはあまりにも困難で,挫折し諦め,今こうしているのだ。

(ルシカは俺が夢みたような一生を送れるのかもしれない・・・)

 まだ果てしない未来の可能性を秘めた少年が,グリムスにはとても羨ましく,まぶしく見えた。




 リャオは血の海の中にいた。

「どうして」

「助けて」

 数多の怨嗟の声が頭をがんがん殴りつける。

 息が出来ない。苦しい。

 もうだめだ・・・と思ったとき,誰かが自分の名を呼ぶ声が聞こえた。

――リャオ・・・

 それはあの美しい黒髪の男の人だろうか。

(・・・違う・・・)

――リャオ

 細く頼りないが,澄んだ声音。

(ルシカ)

 リャオは必死に声のする方に手を伸ばした。



 目を覚まして最初に見えたのは,天井の木目だった。

 リャオはむっくりと起き上がる。

(ここは・・・)

 窓からさす光が眩しい。昼時だろうか。時間が経つにつれ,徐々に頭が覚醒していく。

(そうだ,確か,倒れて誰かの家に運ばれたって・・・)

 とたん,激しい空腹と疲れを覚えて,リャオは再び横になった。

(どれくらい寝てたんだ,僕・・・)

 ずっとずっと地獄にいたような気がする。

 ふと扉の方を見ると,扉の横に一枚の絵が立てかけられていた。

 それは広大な草原だった。森の中にあるのか,まわりには木々が生い茂っている。さほど大きくはないのに,緑が深く,どこまでもどこまでも続いていくような力強さを秘めた絵だ。

(ああ・・・)

 悪夢に苛まれ,こわばった心がほぐされていくような気がした。思わず泣きそうになってリャオはぐっと唇をかみしめる。

 その時,扉が開き,ルシカが入ってきた。

「リャオっ!」

 驚きと安堵の表情を浮かべてかけよってくる彼に,リャオは微笑みかける。

「・・・あの絵は,ルシカが描いたの?」

「うん。・・・それより,大丈夫か?」

 何の気なしにうなずくルシカにリャオは小さく笑ってしまった。

「大丈夫だよ。・・・ありがとう」




「脈も安定してるし,もう大丈夫だろう」

 リャオを診たグリムスが言い,ルシカはほっと胸をなで下ろした。

「お世話になってたみたいで・・・ありがとうございました」

 リャオが頭をさげると,グリムスは首を振る。

「別に気にするな。・・・二三日は安静にしていた方がいいぞ」

「はい」


 その時は屈託なくうなずいたリャオだったが,ずいぶん寝ていたためさすがに外が恋しくなる。外に出たいとリャオが言い出したのは次の日の夕方だった。

 グリムスは懸念したが,最終的には「少しなら」と許可してくれた。

 今日は割と涼しい日で,オレンジに染められた大市場通りにさわやかな風が吹いている。

 人通りの少なくなった道を,二人はぶらぶらと歩いた。

「色々心配かけてごめんね,ルシカ」

 リャオが言い,ルシカはかぶりをふった。

「大丈夫だよ。目が覚めて本当に良かった」

 しばらく黙って歩いていると,リャオがぽつりと言う。

「あの絵,綺麗だった」

「え?」

 首をかしげるルシカに,リャオは笑った。

「なんかルシカ,ちょっと絵変わったよね。なんてゆーか,前より・・・」

 リャオはそこで言いよどむ。言葉を探すが,適切な表現が見つからず,うーんとうなった。ルシカは苦笑する。

「自分じゃわかんないけど,・・・でも,なんていうかな・・・」

 ちょうどその時,夕の刻の鐘が鳴り響いた。ルシカは夕焼け空を見上げる。

 煙はあがらない。

 ルシカは空を見たまま続けた。

「誰かのために,絵を描きたいって思うんだ」

 絵本を読んで喜んでくれる人達,そして,父の物語がなくても・・・ルシカの絵を見て喜んでくれる人達がいる。

 ずっと他人と自分の間にあった見えない壁。それが薄くなっていったのはいつからだろう。あんなに遠かった他人が,今はとても近く感じる。

 そして,その人達のために,自分にできることをしてみたい。森の奥で,父の物語に絵をつけ続けるだけでなく。

「・・・そっか」

 リャオはうなずいた。ルシカの瞳に今までにない光が宿っているのを感じながら。

 ルシカは心の中に父を思い浮かべる。

(ちゃんと,父さんに伝えなくちゃ)

 必ず父に会って,自分の思いを伝えなくては。


 その時だった。


 空を見ていたルシカの目に,ある二階建ての家が映った。

 その家の二階の窓がかすかにぐらついているのが見えた。

「あっ・・・」

 反射的にその下を見ると,十歳くらいの少女が歩いていた。

 そこは危ない――そう言おうとして,少女のもとに駆け寄ろうとした時だった。

 がたんっ

 窓硝子が窓枠から外れた。

「危ないっ!」

 ルシカは駆けだした。

「ルシカっ!?」

 一瞬のことだった。

 硝子が床にたたきつけられるすさまじい音に,リャオは思わず目をつぶった。

 目を開けたとき,リャオの瞳に映ったのは,ざわめく人々と,少し離れたところで呆然と座り込んだ女の子と,数多の硝子の破片が突き刺さり,血まみれになって倒れているルシカだった。


 ちゃんと父さんに伝えなくちゃ


「ルシカ!」


 俺は,人のために,絵を描いて生きていきたいって

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