俺は尻が小さい

 今日ふと鏡で自分のお尻を見た。


「ずいぶんと尻がデカくなったな」


 中学高校の頃は陸上競技の中長距離をやっていた。

 走ることによって尻の筋肉が鍛えられて引き締まっていた。

 女子マネージャーに「お尻が小さい」と言われ、笑いながら頭をかいていた。


 俺は尻も小さいが、尻の穴も小さい。

 ジェットコースターに乗ると、何も叫べず顔が真っ青になり、

 友人とロケット花火で遊んでいると、真っ先にのけぞるほどのビビリ屋だ。


 俺がビビリになったのは2人の姉のせいかもしれない。

 世にも恐ろしい姉たちのしつけのおかげで、俺は警戒心がかなり強い男に育った。


 そんな姉たちに「あんたは将来彼女に尻敷かれるね」と言われる。

 いま、実際に彼女に尻に敷かれている。


 2016年、今年はとうとう40代に突入する。

 彼女の大きな尻を眺めながら、俺は口角を上げる。


「俺はまだ尻が青いな」

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