小さい尻だらけの物語

ドゥギー

スマホの尻は便利である

俺のクラスにもスマホの波が押し寄せていた。


スマホ保有者が教室で自慢する。


「スマホはやっぱり尻を使いこなさないと」

「尻って使えるの?」

「慣れれば、かなり便利だぜ」


スマホを持っていなかった俺は話の内容が理解できず、聞き流していた。


しかしこの年明け、俺はお年玉を使い、とうとうスマホをゲットした。さっそく俺は友人が自慢してたスマホの尻を探すことにした。


尻……つまりスマホの下側ってことだな。


俺はスマホの全体を眺める。


みんなボタンのある方を下にしていたな。するとボタンがある方が下だな。尻ってことは後ろ側ってことだ。普通画面がある方が前。ということは……


俺はスマホを裏返してみる。しかし、裏側は全面カバーで覆われており、なんの凹凸も見られない。指でなぞってみても出っ張りを感じることができない。


「どこなんだ、尻?」


俺は尻の周りを念入りに見回してみる。そして、俺は発見した。






尻の穴だ。


この穴は電源コードを繋げるためのものだ。これ便利っていうか、必要不可欠じゃないか?


画面を見ると、電池の残量が少なかったので、俺はさっそくスマホの尻の穴に電源コードを差し込んで充電した。


冬休み明け、俺は意気揚々と教室に入った。


「俺もスマホをゲットだぜ!」


新品のスマホを友人たちの前に掲げる俺。


「おめでとう、お前もスマホ族だな」

「ありがとう」


俺たちはスマホを手にした喜びを分かち合った。


「俺、さっそく尻使ったぜ。あれ、便利っていうか、必需だぜ」

「すげー、お前もう音声認識使いこなしてるの?」

「はい?」

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