第2話 そんな瞳で見てたの?

同僚の明野聡子が有給で休んだある日のことだった。

わたしが事務所に一人だったこともあり、桜井部長はまめに事務所に来てくれた。

たわいのない会話をしながら、私は自分の仕事をこなしていた。すると、その日は秋から冬になりかけの比較的暖かい日だったので、制服のスカートに生足、黒のハイソックスだった。すると、

『結城はなんだ、生足か?足がきれいだからストッキングでも履いてるのかと思ったよ。』

と言われ、一瞬このおじさんどこ見てるんだとも思ったけど、足がきれいとか言われて、旦那にもほめられたこともないし、そんないやらしい感じもなかった。

ちょっと女に見られたような気がして、びっくりした。とっさに照れくささもあり、

『私ストッキングとか、足にぴったりくっつく感じが気持ち悪くてはけないんです。冠婚葬祭でシブシブ履くくらいですよ。』

『そうか、うちのかみさんは毎日履いてるよ。』


その日を境くらいから桜井部長に対する私の気持ちも少しずつ変わっていった。

桜井部長も前みたいに厳しくいうこともなくなり、私の仕事を少しずつ認めてくれるようなった。

ひょっとして、女として見られてるのかなぁなんて・・・。

そんなわけないか、41歳のおばさんより、ちょっとお金出せば若いお姉さんがいるお店にいくらでも行けるものね。なにも人生折り返した私を選ばなくてもね。


第一部長は、私ではなく本社に言った先輩のことがお気に入りで、本社勤務が決まった時も、社長に直談判して引き留めようとしたくらいだ。『○○ちゃん。』って名前で呼んでいたし、私なんてそんなこと一度もない。

後で聞いた話だと、部長は本当は私を本社に行かせたかったようだ。

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