第8話 二人のための別離
私たちは、徐々に距離を縮め、会社では極力普通を装って入るものの、2週間に1度程度ホテルでの逢瀬を重ねていた。お酒の入っていないときの和の息子はとても元気で、碧海の愛撫ですぐに元気になり、二人は毎回1つになった。その時の満たされた気持ちと言ったら半端ない。碧海の心も躰も和の虜になった。
そんな二人だったが、最近和が元気がない。それは会社で飲み会が終わってからだ、すごくみんなの目を気にするようになった。もちろんそれは絶対ばれてはいけないことだけど、不自然すぎる。口では愛してる。碧海の顔見るだけで幸せだ。また酔ってないときにゆっくりデートしようとは言っているけど、何か心ここに非ずという感じなのだ。
碧海は、和の大好きな笑顔もプレゼントできないのかと悲しい気持ちになるが、しょせん純倫なんていっても不倫なのだ、普通の恋愛のようにうまくいくわけはない。ただ、和が私との恋愛を重たく感じているのなら、別れた方がいいのかも、ただの上司と部下に戻るか、躰だけの関係と割り切ってこの関係を続けるか、悩むところだ。和は『碧海とは長く付き合っていきたい。』と確かに言っていた。
碧海は直接確かめることにした。
『和さん、もしかして私との関係を清算したいって思ってる?』
『なんで?そんなこと思っていないよ。今も碧海のこと愛してるよ。ただ、お前のことが大事すぎて周りの目がすごく気になるようになったんだ。ばれて別れるようなことになりたくないし、俺もお前も生活があるから職を失うわけにいかない。寂しい思いをさせていたのなら、誤るよ。』
『そんな謝らなくたっていい。最近の和さんなんだか苦しそうに見えたから、もしかして私から分かれてあげた方がいいのかなって。和さんのつらそうな顔見たくないし、もし困らせているのならいっそ前の上司と部下に戻った方がいいのかなって。私は、和さんに大好きな笑顔を届けてあげたいのに、みんなといるときは私の顔も見ないし。』そこまでいうと、和は黙って碧海を抱き寄せ口づけをした。
『今更以前の関係になんて戻れるわけないだろ?俺の中は碧海でいっぱいなんだ。心から愛してるよ。別れるなんて言ったら、俺はストーカーになるかもな。』
碧海はうれしくて涙がこぼれた。私を守るための冷たさだったんだって。和の胸でうれし涙をたくさん流した。涙が枯れるくらい。そしていつものように愛し合った。この日は和の誕生日だった。最高のバースデープレゼントをあげられただろうか?
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