これは、まぎれもなくファンタジーに分類されるべき作品。
本作は、言わずと知れた古典の名作『不思議の国のアリス』を下敷きに現代風の魔法少女要素と、ゼロ年代を席巻したセカイ系の流れを盛り込んだ力作。
螺旋の回廊を思わせる重層的な構成と、作中のあちこちにちりばめられた隠喩と言葉遊びが心地よい読書感覚をもたらしてくれる。
脆いほどに繊細な少女性。
その心が描き出す幻想を胸に抱き、ぜひご一読いただきたい。
きっとあなたも、彼女の語る優艶な世界の囚われ人となることは間違いない。
見所は────はたして、どこで謎が明示されているか?