主人公最強系ラスボス


「………エター〇ルフ〇ースブ〇ザード」


 いきなり変態の体が凍りつきにされる。


「………」


 家の中から着物の女性が。


 ただし足が消えかかって見えない。


「もしかして幽霊さんですか」

「………(コクリ)」


 頷いた。


「さらに聞くと雪女だったりします?」

「………(コクリ)」


 もう一度頷く。


 雪女は初めて見た。


「きかーん」


 氷がはじけ飛ぶ。

 やはり氷属性はそうでなくては。


「おいしきみ。全裸時での絶対零度は駄目だって前に教えただろ」

「………記憶にない」


 どうやら前にもあったらしい。


 それにしても巫女さんといい雪女といい、いったいこの家どうなってるんだ。


「えっと……神薙さん?」

「何だ」

「この家にいったい何人の女性がいますか」

「七」


 うわ……


「一体いつから」

「?」

「一体いつからタグのハーレムは主人公お前だけのものだと錯覚した」

「なん……だと……」


 だがやはりこの変態ただの変態じゃなさそうだ。


 顔はパープルのパンティで隠れてよく見えないが、その髪の色は俺と同じ……純黒色をしていた。

 顔が見えないため、他の身体的特徴を探る。


 よく見たら物凄くサイズがでかい。


 身長も、CHIN値も。


 身長は間違いなく2メートルいや下手をすれば220㎝はある。


 CHIN値に至っては平常時で20越え。


 どちらも変態クラスだ。


 間違いなくこいつただの変態じゃない! 


「スピ〇ングサンダーキックッッ!」

「ぐぼあ」


 新たに出てきた女性から一撃を喰らって消沈。


 訂正。ただの変態だ。


「やい、誰だ!」

「私です。そのパンツの持ち主の神薙椿です」

「………返さないぜ」

「格好よく言っても無駄ですよ。だいたいもう少しまともな登場の仕方があったのに何で全裸パンツなんですか」

「だってさ、サッカーボールで攻撃した以上はネタキャラってばれるじゃん?せめて予想外の登場をしたかった。だから俺は謝らない」


 なんかかっこいい変態がいる。


 ただやっていることは変態行為だ。


「パンツ返さなくてもいいですからせめて脱いでください」

「断るぜ。脱がしたければ実力で脱がしに来い」

「……分かりました。全員起こします」


 指パッチン。

 すると家の中からドタドタと人が。


「「「「………」」」」


 現状を見る。


相対零度リレイティブゼロ

確定未来エンターキー

虚幻影フェイクブック

完全消去オールクリア

殺生意思リバーシブルリバー


 それぞれのギフトを使った。


 上から雪女みたいな人。

 現代的な幽霊×2。

 車椅子にのっているお姫様みたいな人。

 狐耳狐の尻尾をしたお稲荷様みたいな人?


 なんかおかしい。


「がっ、ぎっ、ぐっ、げっ、ごっ」


 また倒れた。


「何があった?」

「分からん」

「説明します」


 巫女さんが解説してくれるらしい。


「まず相対零度リレイティブゼロですが現在の気温を基準にしてそこから絶対零度分の温度差を操ることができます。例えば気温が零度だと、マイナス273℃から273℃まで。100℃ならマイナス273℃から473℃までです」

「………」

「ただこの能力はその場所が寒ければ寒いほど威力が低くなるという雪女にあるまじき能力です」

「………」

「次に確定未来エンターキーですが、本人が適当に予知した事象を引き起こす未来予知のような能力です」

「………」

「ただこの能力は『運命』に作用しますからぶっちゃけ雑魚とご主人様が言っていました」

「………」

「三番目に虚幻影フェイクブックですが、五感はもちろん第六感や直感更には記憶を支配する能力です」

「………」

「ただこの能力はこれといって特徴のなくつまらない能力というのがご主人様の談です」

「………」

「その次が完全消去オールクリア。名前の通り消去の能力です。その気になれば星やギフトですら消去できますよ」

「………」

「ついでにですが、私の能力は錬金無双イマジンクリエイト万物の創造はもちろんギフトだって作れます」

「………」

「ただギフトの消去や創造は『世界』までです。あなたのギフトには効きません」

「………」

「そしてあそこにいる糞女狐の能力が殺生意思リバーシブルリバー、意思だけで殺せます」

「………」

「使い勝手の悪そうな能力ですが生き返すのも意思だけで出来るのでそこまで不便はないとのことです」

「………」

「すみませんが、私の権限では椿さんとご主人様の能力を伝えることはできません」


 もうお腹いっぱいです。


「最後にですがご主人様を含む私たちの能力はギフトじゃなくシンボルです」

「?」

「私たちが私たちであるための能力、それがシンボルです。私たちが生きている限り、盗むことはもちろんコピーすることはできません。つまりは干渉不可です」


 俺はハイキングに来たんだ。(正確にいえば地上げだが)


 何でこんな集団に出会う羽目になるんだ。


「私がこうして説明できるのはこれら五つのシンボルはたいしたことないからとご理解ください」


 何がたいしたことないだ。


 誰一人勝てないじゃないか。


「ふっかーつ」


 そしてその攻撃を受けなんとも無い神薙さん。


「早苗。帰るか」


 早苗は黙って頷いた。

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