宝瀬真百合 1 (視点変更あり)


 彼の第一印象は、そこまで悪くはなかった。だが次に会った時、どうやって痛めつけようかを考えていた。


 だからコロシアイがあると聞いた時、巻き戻す前に一度自分の手で殺そうって決めた。


 簡単なことだと思っていた。


 私は10秒までなら時を止められる。


 止めて解除、止めて解除の繰り返しで出来ないことなんて何もないと思っていた。


 どうせやり直すから邪魔する奴は殺していった。


 私は宝瀬の人間だからこいつらと同格じゃない。


 消されても文句を言われる筋合いはない。




 そんなことを考えていたから……罰が当たった。




 体内に巡っていた毒によって死んだ。




1巡目


 自分がなぜ死んだのか、その原因を知った時私は焦りを覚えた。


 既に体内に巡っている毒にどうやって対抗をすればいいのか。

 その答えは他のプレイヤーのお腹にある解毒剤を呑むことと知った時、率先して自分から殺しに行った。


 後輩に後ろから撃たれ死んだ。





2巡目


 1巡目の時を参考にすればいい。


 戦わないで逃げ回る。その時誰かが殺した死体を使って解毒剤を手に入れる。


 ただ、残り30分で私の居場所を伝えるアナウンスが鳴り逃げることが出来ないことを悟った。


 同級生に殺された。




3巡目


 焦り始める。


 私は解毒剤を手に入れるために琥珀を誘い出し殺す。


 その時の光景を見られ同級生に殺された。




4巡目


 プライドを捨てることを決意する。


 捨てた後やり直せばいい。


 みんなに頼み込む。


 同級生にAを許す。


 この時早苗ともう一人以外集まった。


 どうやら二年のクラスメイトに殺されたらしい。


 私の様子を察した運営が毒ガスをばら撒き、死んだ。




15巡目


 不意打ちで死ぬ。




68巡目


 クラスメイトに犯されて自殺。




153巡目


 自分から体を売る。


 琥珀に殺された。




307巡目


 大嫌いだった早苗に土下座して頼む。


 意外に長く生きた。


 後輩に撃たれて死亡。




866巡目


 生き残ったら巻き戻す気が失せる。


 二年の男子と同級生に体を売る。


 裏切られて死ぬ。




1525巡目


 何もしなくなる。


 死因は不明。




△△△△巡目


 数えるのをやめる。


 いつの間にか死んでいた。




◇◇◇◇巡目


 死ぬ。




○○○○巡目


 死ぬ。




××××巡目、


 天井のシミを数える。




????巡目


 神様が私の前に現れた。


 その神様は最初私に罰を与えた神様で、私をこれから救ってくれるらしい。


 私は言われた通り行動した。


 生き残った。


 泣くほど嬉しかった。


 この神様になら全てを捧げてもいい。そう思った。


 ただ、神様の使いが死んだ。


 神様は悲しんだ。


 神様は叫んだ。


 神様が裁きを下した。


 私がこの神様の為に出来ることは一つだった。


 世界を巻き戻す。


 でも嫌だった。


 本当に嫌だった。


 このまま生きて、この神様と一緒に生きて一生を過ごしたかった。


 でも神様は許してくれなかった。


 私は世界を巻き戻した。




????+1巡目


 何もできない中、クラスメイトに襲われかけた。


 私は無我夢中で神様に祈った。


 願いは聞き遂げられた。


 神様は私を守ってくれた。


 私は神様の全てを知りたかった。


 周りはどうでもよかった。


 私の世界は神様と私だけ。あとはもう虫であり無視することにした。


 ただその肝心の神様には私以外のものが沢山あった。


 私には神様が必要だけれど、その神様は特に私を必要としなかった。


 神様にとって私は、有象無象の一つでしかなかった。


 仕方ないと思った。


 私は私で神様は神様だから。


 だからこれからは神様に気に入られるように生きていこうって思った。




 その神様の名は嘉神一樹。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る