掴みどころのない探偵・ランサが、タダで探偵事務所を借りる代わりに、貸主の娘にして自称探偵助手の女子高生・ユリナの持ち込む謎を解決する。事件現場で「またお前らか」と呆れるのは、とある事件がキッカケで片腕と情熱を失った元刑事さん。
王道を往く探偵モノを今風にデフォルメしたようなこのお話を、第1の事件時点では「ユリナちゃんはかわいいなあ」程度に思いながら読んでおりました。
おっ、と思ったのは第2の事件です。中華料理屋でチャーハンを食べながら、客達の会話を聞いただけで事件をスパッと解決。これはまさに安楽椅子探偵ならぬ、中華料理屋の椅子探偵です。綺麗にまとまった短編で、探偵ランサの独特なキャラ、そしてその探偵らしいクレバーさを、すっきり味わうことができたと思います。
ミステリーの名を冠していますが、必要以上に身構えず手軽に味わえる一品です。現在読んだのはここまでですが、機を見て続きも読ませていただこうと思います。
キャラクターミステリーとして、ほとんど私の(とても個人的な)理想形に近い作品。
昼行灯で面倒くさがりな探偵ランサとお騒がせ女子高生なユリナというわかりやすい構図を見せているが、読み進めていくうちにキャラクターの様々な側面が見えてくる。
実はかなりの切れ者で始終ユリナが無茶しないか心配なランサ、背伸びをしたい年頃でやんちゃに見えてお嬢様然とした一面がかいま見えるユリナ。
はっきり言います、とてもかわいいです。
キャラクター的にデフォルメはされているものの、キチンと見る方向によって違った顔が見えてくる魅力的な描かれ方。
登場人物はある程度絞られているのでご安心。
片腕の刑事も出てきます、固茹で…いや、半生茹でくらいで大変かっこいい。
魅力的なキャラと不思議な事件、日常の謎は探偵ランサにおまかせを。