龍討伐聖騎士(ドラゴンスレィヤー)ジーク、勇躍の時。②

世にも恐ろしき漆黒大魔龍サラマンドラゴン


身の丈三メートル


全長五メートル。


背中にある鈎爪のついた大きな翼を広げた様は


まさに 『大魔龍』という言葉がピタリとはまる威容あった。



白馬ペガサスミリオン の背中で宝剣アスカロンを抜き放つ 龍討伐聖騎士オズマン.ジーク。


その出で立ちは高貴な家柄を思わせる様々な エッチングが、ぼどこされた バーゴネット 兜 に


翼が付き鎧は全身を、くまなく覆う強度な銀色の板金加 工されたものだった。


宝剣アスカロンを槍のように真っ直ぐに突き立 て 白馬ペガサス.ミリオン漆黒大魔龍サラマンドラゴンに突進する彼。



漆黒大魔龍サラマンドラゴンは鼻息も荒く突進し近付く白馬ペガサスミリオンに照準を合わせ大き く息を吸った。



(((ゴゴゴゴゴゴーーーーッ)))



漆黒大魔龍サラマンドラゴンの眼が宝石のルビーの様に紅く染まり 喉元が光を集めて火の玉のようになってゆく。



『させるかーーー!!』



龍討伐聖騎士ジークは漆黒大魔龍サラマンドラゴンの大火球の照準を予期し左 へ白馬 ペガサスミリオンを方向転換させた。



案の定、正面に向けて烈火の如くに漆黒大魔龍サラマンドラゴンの 口から大火球が放たれた



ゴオオオォォォォオオオ》》》》》



周りの鬱蒼とした木々はたちまちのうちに燃 え尽きて失われた。


キキキキキ………………


逃げ惑う鹿や兎、そして小鳥たちの姿が痛々しい。


危機一髪のところで大火球から逃れた龍討伐聖騎士ジーク白馬ペガサスミリオンを反転させ漆黒大魔龍サラマンドラゴンの背中に回り込んだ。



ヒヒヒヒヒーーーーーーン》》》》



龍討伐聖騎士ジークは白馬ペガサスミリオンむちを入れて、ここぞとばかりに漆黒大魔龍サラマンドラゴンの背中へ向けて突進した。



漆黒大魔龍サラマンドラゴンが振り向いた瞬間、龍討伐聖騎士ジークは 白馬ペガサスミリオン大跳躍ジャンプさせみすからは漆黒大魔龍サラマンドラゴンの首の背後に飛び下りた。



首をしきりに激しく振り、彼を振り落とそうとする漆黒大魔龍サラマンドラゴン



その龍討伐聖騎士ジークが、しがみくつく様はまるで強い風に翻弄ほんろうさ れる木の葉、そのものだった。


彼は、このチャンスを逃すまじと宝剣アスカロンを漆黒大魔龍サラマンドラゴンの急所、後頭部の後ろに突き立てた 。



バキーーーーーーーン)))



鈍い音ともに宝剣アスカロンはドラゴンの硬い 甲羅に阻まれ吹き飛ぶ。


その反動の煽りを受け龍討伐聖騎士ジークも振り落とされた。



激しく揺さぶられ強い衝撃で地面に叩きつけられたため脳震盪のうしんとうを起こし暫く動けなくなった。


その様子を見た漆黒大魔龍サラマンドラゴンは 止め《フニッシユ》とばかりに空 高く舞い上がった。




空で大きな円を描き滑空しスピードを増したド漆黒大魔龍サラマンドラゴンは倒れ込んで動けない龍討伐聖騎士ジークに照準を合わせ急降下を開始した。



ビユユユユユュュュューーー》》》》》



漆黒大魔龍サラマンドラゴンの鋭い爪が龍討伐聖騎士ジークに迫る!!



パカッパカッパカッパカッパカッ》》》》》



疾走し彼を救出するため疾走する白馬ペガサスミリオン




(((((ドドドーーーーーーーーーン))))))




四方に地響きが轟き、砂煙がモクモクと舞い上がった。



漆黒大魔龍サラマンドラゴンは勝利を確信し大きな雄叫びをあげた。



グオオオォォォォオオオオ》》》》



そこ後、戦闘が終わったことを悟った漆黒大魔龍サラマンドラゴンは 再びティルナローグ歌劇団長の姿へと変容していった。



辺りを見回した歌劇団長は落ちていた聖杯の入った袋を拾い上 げた。



彼女が率いる一行は何事もなかったかのように笛を 吹き太鼓鳴らしながら港を目指して行った。



その後やがて砂煙は折からの風に運ばれて去った。


漆黒大魔龍サラマンドラゴンが降り立った大きな穴の無惨な残像 だけが残された。



しかし、そこには龍討伐聖騎士ジークの姿は既になかった …………



白馬ペガサスミリオンの俊敏な働きで間一髪のところ、命拾 いをした彼。


白馬ペガサスミリオンの背中に力なく乗る彼に語りかける声が何処からともなく聞こえる。



『無念ながらアスカロンの剣では漆黒大魔龍サラマンドラゴンに刃が立ちま せん……』



『伝説の神のアボイタカラ を手に入れられ、この雪辱をお晴らし くださいませ。』



朦朧もうろうとした意識の中で彼は思った。


白馬ペガサスミリオンが喋ったのか……


この時が龍討伐聖騎士ジーク のティルナローグの民を追う長い旅の始まりてあった。


彼の行く目的地は、ただ一つ。


神の鋼 《アボイタカラ》が眠るといわれるエリス.シオン島のドラン連山 麓。



霧の湖。



運命の女神、エリスの糸車は、今まさに回された。



こうして1人、また1人と乱れた世に平和をもたらす勇者が戦乙女ヴァルキリーこと、キュピレスの元へと集結して行く。



開けーーー!!



闇を切り裂き光をもたらすティルヴィングサーガよ!!

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