カンケイと疑問

「ねぇ蘭さん。貴女、ゆみちーとだけじゃなく、るーとまいんとも仲がいいみたいね?」


るー、まいんと呼ばれたのは、あの2人のことだろう。


「るりはなんというか、懐かれてるって感じですけどね・・・」


避けても避けても見つかるので、最近はあきらめてきている悠は笑って濁す。


「でも、まいんと仲良くなれるなんて羨ましいわ。私たちでもなかなか話してくれることってないのよ?」


そう言って微笑んだ朋奈の表情が、すぐに変わった。


「でもそうすると、貴女は誰と付き合うのかしら?」


「え?」


両者ともに疑問を顔に出している状況で、先に口を開いたのは朋奈だった。


「あ、知らなかったわね。大体ここにきてるみんなは、新しい人と交際しないで今いる『知っている』人とお付き合いすることにしてるの。

説明が面倒だし、その分のリスクも減るからね」


なるほど、と頷いて、あれ、と思う。


「でも、るりと最初に会ったとき、女の人がるりを呼んでましたけど?」


説明を聞いて、自分が告白されているのを棚に上げ、そう聞いてみる悠。


ちなみに今回篠崎がいないのは、別室で検査しているからである。


「あぁ、るーのお姉さんかしら。お姉さんだけには知らせてたみたいで、ここに連れてきたのもそうだったと聞いているわ」


なるほどと納得する。


「まぁ、血は繋がっていないみたいだけど」


「え?」


「あぁ、声しか聞いてないんだったわね。一度お姉さんを見てみるといいわ、違うのわかるから」


くすくすと笑う朋奈に、少し驚く悠。


「でも、るーの周りには女の子がたくさん集まるから、もしかしたら違う人かもしれないわね。

基本、ここは『知っている』人だけが入れるのが常なんだけど、るーの場合、知らないのに迎えに来る困った人たちファンクラブがいるから、止められないのよね…」


ふぅ、とため息をつく姿に、本当にころころと表情が変わる人だと改めて思う少女。


もしかしたら、そのファンクラブの人なのかもしれない。


そしてファンクラブ、ねぇ。と思う。


少し嫌な予感をさせながら、悠は戻ってきた篠崎とともに寮へと帰るのだった。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る