27
白刀戦がはじまった。
「おまえアンドレアじゃないか!」
誰かがそういって一瞬殺気が消えた。
「元仲間だったやつだとしてもお前がピエールを殺したことは忘れないぞ!」
ソレを聞いてはっとしたニードルがアンドレアの方向を振り返った。
「あれは事故だったんだ」
「ピエールを殺したって本当なの」
「すまない、ニードル」
「危ない!ディアル様!」
ディアルに向けられた刃物を軽やかにかわしていく。
次々と4人が武器で奴らを裁き、出口がもうそこに見える瞬間に、ニードルは
体調をくずし、倒れこんでしまった。
「もう少しだニードル、もう少し…」
「行ってアンドレア」
「何を言うんだニードル!」
「アンドレア、中毒では助からないのです」
ディアルがそう言って、宥めようとしたが、アンドレアは泣きじゃくり、むりやりひきずって歩いた。
遠くから追っ手の声が聞こえる。
「アンドレア!行って!」
そう叫んで、ニードルはそのまま倒れこんで、アンドレアの手を離し、そのままだった。
「簡単に抜けられると思うなよ!」
追ってはもう追いかけなかった。
4人がアジトから抜け出したときにはもうすっかり朝になっていた。
「助けてやるって約束したのに」
泣きじゃくったアンドレアをディアルが慰めた。
「何度も言うようですが、薬の中毒では助からないのです、彼もわかっていたのです」
「ディアル様……」
「さて全員無事ですね」
疲れた笑顔を見せたディアルは、ひとりひとりの顔を覗き込んで、安心したかのようにしていた。
そうして辻馬車が通るのを確認して手配をすませ、シャルロット城へと馬車が移動した。ディアルが無事に帰還すると、城の連中はわっと駆け寄り、ディアルの無事を確認した。
「ディアル様!良くぞご無事で!」
女官たちが集まりさめざめと泣く中、結局ピエールもニードルも助けられなかった
アンドレアは、あまりの罪悪感で泣き顔を晒していた。
そうしてナイフがないことに気づいていた。
「落としましたよアンドレア様が」
「ナイフ?」
ディアルがナイフを拾って渡してくれた。
「ありがとう、父ちゃんの形見なんだ」
「そのナイフ、見覚えがある気がしますいつだったか遠い昔に……」
「もうすっかり忘れていました彼のことは」
「ディアル様、オレの父ちゃんのこと知ってるの?」
「遠い昔、私の弟が、行方不明になりました。このナイフにはある特殊な魔法がかけてあって、ナイフに呪文をかけると3つの翼をもつドラゴンの紋章が浮き出るのです」
ディアルが魔法をかけると、ナイフは光輝いて、シュバイル国の王家の紋章がほんのりとナイフの柄に浮かび輝いた。
「お前の父さんは、私の弟です」
ディアルはそれだけを言い残し、去っていった。
やがてアンドレアは王宮へと移り住むことになった。
アンドレアには爵位が与えられ、その証拠のナイフを長年持ち歩いていたことと、ディアルの行方不明になった弟の子で間違いないということと、
活躍でディアルの命を何度も守ったことが決めてとなった。
グレイプニルはオレの見立ては間違いなかっただろうと、なぜか威張った。
「本当に王様の子だったなんて……」
「母ちゃん、あんたは幸せ者だよ」
いまでもスラムに暮らす、可憐な花のような母親のことをアンドレアは思い出していた。アンドレアは騎士団に入団し、立派な騎士の一人となった。
2度とあんな場所には戻らない。グレイプニルからさした方向に光がともっていた。
だけど、グレイプニルから刺した方向には光があったがそこには同時に影ができていた。アンドレアは嘘つきではなかった父のことを、幸せに思い出してみるのであった。しかし、グレイプニルがこの好機を逃すわけがなかった。
グレイプニルは動き出していた。グレイプニルの指先に瑪瑙の指輪が光っていた。
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