第13話 名探偵 多田川冬也の事件簿②ー解決編ー
雨は一向に止む気配を見せない。傘、菅笠、蓑、雨合羽、長靴などなど、人類が発明した雨具は数あれど、どれも完璧とは言いがたい。手で持たねばならない傘よりは、菅笠やレインハットの方が、両手が自由なだけ雨に対しては有用な気がする。
例えば自転車なんかも乗れるだろうし、もう少し幅を広げて、かつ折り畳めるようにすれば便利になるんじゃないか――なんて空想をしてしまうほど、俺は長い間待たされていた。
体育館の隅でパイプ椅子に座らされ、ただじっと時間を潰さねばならないのだから、意味の無い考えを膨らませてしまうのも仕方が無いだろう。
学校関係者の中で俺一人だけが、周りを警官に囲まれているという別格の扱いを受けていた。「逃がさないため」なのか「他に危害を加えないように」なのか、そのどちらもか。授業を受けなくて済むのは良いのだが、犯人として疑われるのは心地良いものではない。
さらに数十分が経過し、警官たちの動きが少し慌しくなったと思うと、ステージの上へ集まるように言われた。見張りの警官に押されるように舞台へ向かうと、そこにはすでに知った顔が集合している。ステージに円を描くように並ばされ、その円の中央に多田川と中津田が立っている。まるで犯人を追い詰めるシーンのようだが、追い詰められるのが俺ではない事を祈るしかない。
「さて、今回の体育館磔傷害事件ですが」多田川が喋り始める。いつの間にか、そんなタイトルが付けられていたのか。「まずは中津田警部、鑑識などの報告をお願いします」
中津田は「うむ」と手帳を取り出し、読み上げた。
「指紋についてだが、関係者以外の指紋は、バトン、及びバトンを昇降させるレバーからも検出されなかった」
「なるほど。その他の場所に関しては?」
「例えばこの大道具や、ステージ裏の壁などからは、教師や学生のものと思われる指紋は出てきたが……日頃からこの体育館を使っていれば、付着していてもおかしくは無い」
「つまり、指紋から犯人の特定は出来ない、という事ですね?」
「その通りだ」
多田川と中津田の手馴れたやり取りは続く。
「因みに、田所先生。このバトンは誰でも操作出来るものでしょうか。僕にはやり方がわかりませんが」
多田川が田所に尋ねた。
「さぁ……どうだろうな。職員は一応出来ると思うが、それ以外でも、ここを使っている生徒なら出来るんじゃないか」
「なるほど。演劇部の皆さんは?」
演劇部ならば緞帳もバトンも使う機会が多いので、当然上げ下げは出来る。皆一様に頭を縦に振った。
「島井君も?」
多田川は俺の目の前に歩み寄る。俺は無言で頷いた。
「……なるほど」多田川は振り返って円の中央へと戻り、中津田とのやり取りに戻った。
「では、犯行時刻は」
「うむ、それがな……なにせ被害者への事情聴取がまだ行えてていない状況だ。深夜未明であろうという事しか分かってはいない」
「昨夜、この体育館はどうなっていましたか?」
「昨日この体育館を最後まで使用していたのは演劇部。その時には、特に変わった事は無かったと、部長の大乃さんをはじめ、皆が証言している」
自分の名前を挙げられ、大乃は背を正す。中津田はそれを気に止める事無く続けた。
「昨晩宿直だった用務員の村木さんの証言によると、二十二時くらいに体育館を施錠したそうだ。とは言え用具室などの扉が閉まっている事を確認したぐらいで、中まで様子を見た訳ではないそうだが……演劇部の皆の話と合わせれば、その時誰かが体育館の中に残っていたとは考えにくい」
「なるほど。すると、犯人はどのようにしてこの体育館に侵入したのでしょうか」
「それがだな……用務員室にはこの学校の鍵が保管してあるんだが、今朝、村木さんが目を覚まし、いつも通り校舎の鍵を開けようとすると、鍵束から体育館入り口に使う扉の鍵だけが無くなっている事に気が付いたそうだ。それで、体育館の様子を見に行った所、倒れている被害者姿を発見した――と。そうですね? 村木さん」
そう言われると、用務員のお爺さん――村木さん――は深々と頭を下げた。
「入り口の扉の鍵だけ、と言うと?」
「それに関しては、村木さんに説明して貰った方が良いだろう。お願いします」
中津田に促され、村木さんは一歩だけ円の内側へ踏み出す。
「ええと……ですね。体育館には跳び箱とかボールとか、パイプ椅子とか、そういった物を入れておく用具室が六つありまして。それと入り口の鍵と、裏口の鍵を合わせると、体育館だけで八つの鍵が必要なんです。だから、校舎の鍵とは別に、体育館で使う鍵は一つの鍵束に纏めておくようにしてまして」
「その中の一本が無くなっていた、という訳ですね」
多田川の問いに「そうです」と答えると、村木さんは深々と礼をして一歩外側へ戻った。
「村木さんは体育館の鍵を閉めた後、一度用務員室に戻って体育館の鍵束を置き、今度は校舎用の鍵束を持って校舎を回った、という事だ」
中津田の説明に多田川は頷いている。
「つまり、犯人は村木さんが校舎を回っている間に用務員室に侵入し、体育館の鍵を奪ったという事になりますね。見回っている間、用務員室の鍵はどうなっていたのですか」
「掛けては行かなかったそうだ」
中津田の言葉で、再び村木さんはすまなそうに頭を下げた。
「なるほど……」
多田川は顎に手を当てて、ゆっくりと円の中を歩き始める。静寂が体育館を包み込み、雨の音が少し大きくなったような気がした。
「用務員室」多田川はピタリと止まった。「失礼ながら、僕はこの学校に用務員室がある事を知りませんでした」
演劇部の部員たちが一様に頷く。俺も、少し前までは同じだった。
「用務員室に鍵が保管されていると知っている生徒の数は、そう多くはないと思われます」
「では、犯人は教師という事なのかい?」
中津田が多田川に詰め寄る。多田川は首を振った。
「いえ、知っている生徒はごく少数でしょう、という話です」
「学校の部外者、という事は考えられないんですか?」
塚堀美由紀が割って入った。しかし、多田川はその意見に再び首を振る。
「可能性が全く無いとは言い切れませんが、部外者が村木さんの行動を把握し、用務員室から鍵を盗み、わざわざ体育館を利用して犯行を行う――なんて手間の掛かる事をやるとは思えません」
「用務員室の存在を知っている者か……」中津田は村木さんに向かって言った。
「最近、誰かが用務員室に訪ねて来た、なんて事はありませんでしたか?」
その質問に敏感に反応したのはエイコだった。なんという展開だろう。
これではまるで俺が犯人だと言わんばかりだ。村木さんは戸惑うように俺に視線を送った。続いて、次々と皆の視線が突き刺さる。
「島井君。君は、最近用務員室に?」
その多田川の問いに、俺は頷くしかなかった。
「何か用事でもあったのかい?」多田川が続けて聞いてくる。
この質問だけはされたくなかった。まさかその用事が「人喰い用務員の真実を暴くため」だとは、この状況下では口が裂けても言えない。が、村木さんがいる以上、嘘を吐いたら余計に怪しまれるだけだ。
言わなきゃ駄目か? どうしても? 恥ずかしすぎる――しかし結局、話すしかなかった。穴があったら頭から飛び込みたい気分だった。
俺の話を聞いた多田川は、口元に手を当てて俯いている。呆れているのかと思ったが、小刻みに肩を震わせていて、どうやら笑いを堪えている様だった。何の冗談だ、と。
それはそうだろう。この話の流れで、俺の言った事を真実として受け止めてくれる人はいるのだろうか。俺だって、もしもこの状況で他人がそんな話をしたなら、「なんて嘘をつくのが下手なんだ」と一笑に付した事だろう。
と、ステージの上へ一人の警察官がやって来た。その警官は駆け足で中津田に近付くと、小さく耳打ちをする。中津田は目を丸め、大きく頷いた。
「被害者の意識が戻ったそうだ」
安堵のような溜め息が舞台上を包む。少なくとも、殺人事件に発展する可能性は無くなったのだ。
「意識の混濁している被害者に何とか事情を確認してみたが、どうも昨晩の事は良く覚えてないようだ。呼び出されたとおりに深夜体育館に赴いたが、急に意識を無くしてしまったらしい。そして気が付いたら病院に担ぎ込まれていた、と。犯人に関する心当たりは何も無いそうだ」
再びステージ上に沈黙が訪れる。
「結局手がかりは無し、ですか……」
大乃が落胆したように呟く。
「そうでもありませんよ」冷静さを取り戻した多田川がそれに反応した。
「……さて、ここで皆さんにご覧頂きたいものがあります」
多田川が中津田に合図を送ると、中津田は懐から透明のビニール袋を取り出した。その中には紙切れのようなものが入っている。多田川はポケットから白い手袋を取り出し、手にはめると、そのビニール袋を受け取った。
「これは、被害者の上着のポケットに入っていた手紙です」多田川はビニール袋から手紙を取り出し、広げた。「ワープロで書かれているため誰の筆跡かは分かりませんが、犯人が被害者を呼び出すために書いたものだと思われます」
皆が小さくざわついた。それが収まるのを待ってから、多田川が手紙を読み始める。
「――俺はお前の秘密を知っている。これが世間にばれれば、お前は退学だ。公表されたくなければ、本日深夜十二時に、一人で学校の体育館に来い。もしも他の誰かに知らせたら、秘密は公然のものになると思え。差出人――島井平太」
「え?」
思わず声が出た。エイコが小さな声で「そんな」と呟く。
皆の視線が更に鋭さを増す。これはいよいよ、やばくなってきたかも知れない。
「確か、被害者は一度、島井君に呼び出されたと言って体育館にやって来たのですね」
「ああ、その通りだ」中津田が多田川の問いに大きく頷いた。
「夜中まで待つのが面倒くさかったのか、体育館の電気が点いている事ですでに差出人が待っていると判断したからか……それは分かりませんが、彼は体育館に来た。そして、目当ての人物を見つける。しかし、その人物は呼び出していないと答えた。ここで被害者は考えたのでしょう。これ以上詰め寄ったならば、秘密をバラされる可能性がある、と。だから被害者は大人しく退散した。そして、文面通りならば深夜十二時に体育館にやって来た彼は――」
「そこで待ち受けていた犯人に暴行を受けた」中津田は俺を睨み付けながらそう言った。
「で、でも、動機は?」重たい空気を押し返すかのように、緒方が口を開いた。「島井が下柳を襲う動機なんて――」
「そうよ。平太先輩はどちらかと言えば下柳にボコボコにされちゃう方だわ」と塚堀美由紀。
その問いに、多田川はこくりと頷く。
「もし島井君が犯人だったとして……その動機に関してはっきりとした事は今のところわかりません」
「じゃあ――」と塚堀美由紀が口を開こうとした瞬間、多田川は人差し指を突き立てて、それを制する。
「しかし、どう考えても現段階で一番疑わしいのは、そこにいる島井君です」
多田川は人差し指をスライドさせ、俺へ向ける。
「動機は確かに重要です。しかし、体育館のバトンの操作、用務員室と鍵の存在、被害者との接点、そして手紙に記された名前……事件に関する様々な手がかりと、彼は接点がある。まず疑うべきは、彼である事は誰の目にも明らかでしょう」
多田川の発言に、俺は何も答える事が出来なかった。俺は犯人じゃない。でも、どうやってそれを説明すれば良い? いくら頭を働かせても、何も浮かばない。
すると、中津田がゆっくりと俺の前へとやってきた。
「署まで同行してもらってもいいかな、島井平太君」
こんな時は「俺はやってない! 何かの間違いだ!」なんて騒いだ方が良いのだろうか。その方が身の潔白を証明出来るのだろうか。
そうこう考えているうちに、中津田警部は俺の腕を掴んだ。それは一見軽い動作に見えたが、俺の腕を握る手には力が込められている。絶対に逃がさない、という意思表示なのだろう。
そこでふと、多田川と視線がぶつかった。俺を犯人だと思っているのだから、俺をずっと見つめているのは当然なのだけれど、その目はまるで――何かを待っているような、窺っているような――そんな視線だった。
そんな思惑はお構いなしに、中津田警部は手錠を取り出す。鉄の冷たい感触が手首に触れたかと思うと、ガシャン、と錠が閉まる。手錠は予想以上に重たかった。
「行こうか」
中津田がグイと俺の腕を引いたその瞬間、多田川が大きな声を上げた。
「待ってください!」
その声は体育館に反響する。演劇部の誰が出す声よりも大きく、通る声だった。
「……どうしたんだい、多田川君」
「まだ、彼が犯人だと決まった訳ではありません」
「何? じゃあ犯人は、島井君以外の人物という事かい?」
中津田は俺の手を掴んだまま言った。
「いえ、あくまで可能性の話ですので、島井君が犯人でないと否定は出来ません」
否定してくれ、多田川。
「では、他に可能性がある人物とは誰かね」
中津田の問いに、多田川は不敵に微笑む。
「島井君が犯人で無かった場合、浮き上がってくるのは、島井君を犯人に仕立て上げようとしている人物の存在です。そもそも、もし島井君が暴行目的で被害者を呼び出したとしたら、手紙の差出名に自分の名前を記しておくのは不自然でしょう。差出名はすなわち犯人の名前なのですから。犯行後に回収するならまだしも、手紙は被害者の胸ポケットに入ったまま――これでは、自分が犯人だと公表しているようなものです。彼は確かに疑わしい存在ですが、だからと言って島井君が犯人だと考えるのは、彼がよほど愚かな人物で無い限り、早計に過ぎると言うものでしょう」
多田川は俺をフォローしているのか、けなそうとしているのか、いまいち分からないけれど、現状を打破してくれるならいくら馬鹿にしてくれても構わない。
中津田警部は「ふ、ふむ」と眉を顰め、憮然としている。多田川の言う通りに行動したのに、手のひらを返されたような状況になってしまっているのだから、気持ちは分からなくもない。
「それに、わざわざ被害者をバトンに吊るしてみせたのも、島井君を犯人にするための小細工と考えば、すんなりと腑に落ちます」
「ううむ……では、一体誰が彼を犯人にしようとしているのかね」
多田川は再び人差し指を掲げた。
「まず第一に、島井君に近しい人間。そして、体育館の設備に詳しく、用務員の村木さんの行動を把握している可能性のある人物」
演劇部のメンバーはハッと顧問の田所を見た。急に向けられた鉾先に田所はたじろぐ。
「な、何だ、一体。何で私なんだ」
「確かに田所先生なら、先ほど述べた僕の推理と合致しますね」
「いや、そりゃここにいる中でならそうかも知れないが、私以外にも他の教師だって――」
「そういえば田所先生は、下柳が一年だった頃に担任をされていたそうですが」
「ちょ、ちょっと待ちなさい。だいたい私にはアリバ――」
「被害者を襲った真犯人は、貴方ですね!」
多田川は鋭く腕を振り、田所を指差した。
その瞬間、多田川の体から泡のような透明の塊が飛び出し、田所に向かって飛んでいった。その塊は田所の頭にぶつかると、四散するようにはじけて消えた。途端、田所の目はうつろになり、生気が失せたように蒼白になる。
「今、何か――」
エイコが呟く。どうやらエイコにも多田川の体から何かが飛んでいったのが見えたようだ。
「しかし、何で田所先生が……?」
中津田はいつのまにか俺の手錠から手を離していて、引き寄せられるように多田川の元へと歩いていく。先ほど飛んでいった透明の塊について言及する者はなく、事態の進展を見守りはするものの、不審がるものはいない。
だれも気が付いていないのか?
「こんな噂を聞いた事があります」多田川は、まるで舞台上で演技をしている役者のように、大仰に手を広げながら話し出した。
「権力を傘に、女子生徒にいかがわしい行為を強要している教師がいる、と。被害に遭った生徒は警察に駆け込むべきだったのでしょうが、事が事ですし、言い出せないのも無理はありません。また、その行為を記録して、生徒が逆らえないようにしていたのでしょう。逆らえばこれを公開する、逆らわない限り、お前の成績も考慮してやっても良い――そんな事を言ったかも知れません」
多田川の言葉は実に滑らかで、演劇部にいる部員の誰よりも流麗な台詞回しだった。
「しかし、それを嗅ぎ付けた生徒がいた。しかもその生徒は札付きの不良。当然、嗅ぎ付けたモノをちらつかせて教師に脅しをかけるでしょう。金銭を要求したかも知れません」
「それが……田所先生と被害者だと言うのかね」中津田が口を挟んだ。
気づけば、舞台上の誰もが額に汗を掻いている。多田川が紡ぐ言葉に頭が付いていかない。ただ、多田川の言葉だけが頭の中に滑り込んでくる。
「では、この手紙の中にある被害者の秘密とは……?」
中津田はよほど胆力があるのか、こんな状況の中で一人言葉を発している。
「被害者の下柳君も、あまり風評が良い生徒ではないようです。が、それを犯人が知っている必要はありません。要は、秘密をばらすと脅しておびき出せれば良かっただけですから」
「証拠はあるのかい」
「証拠は、必要無いでしょう? 田所先生。あなたが――」
多田川は田所に指を突きつける。
「下柳君を襲った犯人です!」
そう言われた田所は、うつろな表情のまま呟いた。
「下柳君を……襲った……犯人です」
多田川はその言葉を聞くと、両手を軽く広げて見せた。
「これで、事件は解決です」
田所は視点の定まらない表情のまま、手錠を掛けられ、パトカーに乗って警察署へと連行された。去り際に中津田は「いや、すまなかったね。私も君も、多田川君に感謝せんとな」と豪快に笑いながら、俺の手錠を外した。俺は笑えなかった。
校長には「今日はもう帰りなさい、この事は他言無用で」と釘を刺された。教師が生徒に暴行を振るったとあっては、学校が始まって以来の不祥事になるだろうから、これから大変だろう。緒方は「お前の事、ちょっとだけ疑っちゃったよ。ごめん」と頭を下げてきた。それから「田所があんな事になって、部活、出来なくなるのかな」と部の心配をしている。
「なあ、さっきの多田川……変だったよな?」俺は緒方に聞いてみた。
「ああ、すごかったな! あいつ本当に探偵だったんだなー」
やはり緒方たちには、多田川から発されたあの透明な塊が見えてなかったようだ。あれは一体何だったのだろうか。学校を離れ、家までの帰り道もそればかり考えていた。
あの透明な塊に当たってから、田所の様子はおかしくなった。何と言うか、人形みたいに呆然と立っているだけで、心ここにあらずと言った感じだ。どことなく、エイコや今日子が眠る姿にも似ているかも知れない。
もしかすると多田川は、何かおかしな力を持っているんじゃないか。例えばその力で田所を操り、下柳を襲った――そんなおかしな事が、果たして有り得るのだろうか。
「そんな魔法みたいなこと、ある筈ありませんよね」
どうやらエイコも同じ事を考えていたようだ。悩みながらプカプカと浮いているエイコの姿を見ていると、あながちおかしくはない気がしてきた。仁科更紗の件もあるし、俺の隣には幽霊がいるのだから。
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