第4話 倫理からの脱獄、守護騎士の誕生
家に帰ると、
よう、お前。僕はお前の悪い心の部分だ。何を迷っているんだよ? お前には悪いことをする権利があるのだ。飼い猫が死んだらコンビニのゴミ箱に捨ててペットショップで次の新しい猫を買って、たいして悲しみもせず、さも当然のように平然と明日からの日常を送ったっていい。農家が精魂込めて作り、お母さんが愛情を込めて炊き上げたお米を、ドブに投げ捨てたっていい。つまり、お前は何者からも自由だ! お前を縛る倫理など何処にも無いのだ! 悪になれ! あらゆる正しさから自由であれ! 悪とは不自由への
「んん……むむむ……ごはん……」
不意に四月ちゃんが寝言を呟いたので、僕はビクッとした。大丈夫、彼女は起きなかった。そして、今度は僕の中の善き心が僕に語りかけた。
待て! 僕はお前の善なる心だ! いいか、お前は決して自由などではない! 欲望に囚われているだけのお前が、自由であるはずがないのだ! 理性をもって欲望を超克せよ! そのときこそお前に真の自由が訪れるのだ! だから、軽率に悪いことなどしてはならない! 彼女を守る騎士であれ! お前は守護騎士だ!
「守護騎士……僕が?」
そうだ! お前が彼女を守るんだ!
「でも……何から彼女を守ればいい? 僕は彼女を何から守るべきなんだ? 外敵などいない。だとすると、今彼女を侵略しようとしている者、それは……そうか、僕自身だ! そうだ! 僕は僕自身から彼女を守るぞ! 僕は僕自身から彼女を守るナイトになるぞ! うおおおおお!」
いいぞ! そう、僕はお前の善なる心! 今、お前は正しい選択をしたのだ! 悪いことなどしてはならない!
神もご照覧あれ! 僕のおちんちんはかわいい女子小学生などでは、少しも勃起していないのだ!
でも、添い寝くらいだったらしてもいいんじゃないかな?
「満場一致ですね」
僕の中の悪い心も善の心も、どうやら添い寝はするべきであるという結論を出した。
「んん……あ、あれ、おにいちゃん? お、おはよう……」
そうこうしているうちに四月ちゃんの目が覚めてしまった! うわあ、寝起きの四月ちゃんのアンニュイな感じ、エロい!
グララアガア! グララアガア! 股間のゾウさん大暴れ!
「あそこが苦しいです、サンタマリア!」
そう叫んで僕は彼女を置いて家の外へとランナウェイするのであった……
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