第5話 「アメリカ人の生存本能」を見つけてみよう。
アメリカの場合、外国から見て変なところは、「銃社会」と「世界一の軍隊」です。
ということは、「銃社会」や「世界一の軍隊」は、「全滅への恐怖」から生まれた行為ということになります。
つまり、「銃や兵器を常に持っていないと全滅する」と思っているのが、アメリカ人だと仮定できるということです。
では、「銃を持たないと全滅する」というのはどういう状況なのか?
また、「銃を持たないと全滅する」は、アメリカの特徴の何と繋がっているのか?
日本のように災害が相手、であるわけがありません。
銃は狩猟用としても使われますが、アメリカの野生動物に人間を全滅させる力があるとは思えません。
また、軍隊が野生動物と闘ったという話も聞きません。
ということは、「銃」も「軍隊」も人間相手であるはずです。
わずか数百年という歴史の中で、「銃」や「軍隊」に関係した生存本能が、急速にアメリカ人の中で作られていったということです。
では、銃や軍隊に関係する事柄の中で、一番特徴的なものとは何でしょう?
真っ先に思い浮かぶのは、アメリカ独立戦争です。
そして南北戦争、西部開拓時代。
アメリカという国は、戦うことによって、領土や生存権など様々な権利を獲得していった国なのです。
つまり、戦わなければ生き残れなかったのが、アメリカ人ということになります。
戦わないと生き残れなかったということは、「攻撃と生存権」は密接に関係しているということになります。
ということは、アメリカという世界の中では、「生きている者は皆攻撃してくる者」なのです。
だから日々の生活の中でも銃が必要になるのです。生きている限り、皆「攻撃権」を持っているのですから。
誰もが攻撃してくる世界で、銃を持っていたら安心では、今のアメリカを説明するには弱いような気がします。
「銃を持っていたら全滅しない」では、ただ銃がお守りになっているだけで、今の攻撃的なアメリカを説明できません。
ということは、「攻撃しないと全滅する」あるいは、「先に攻撃しないと全滅する」と思っているというのが、アメリカ人の生存本能として、合っているのではないでしょうか。
「先に攻撃しないと全滅する」からこそ、銃が必要で、世界一の軍隊が必要になる。
そして、肥大化した生存本能は、さらなる新兵器を求める。そして、全世界をカバーしうるほどの、巨大な軍隊を作ってしまう。
アメリカから銃が無くならないのも、「攻撃しないと全滅する」世界だから。
攻撃することで、ようやく生存権が確保できる世界。
自分達アメリカ人と同じように「誰もが生き残るために、先に攻撃してくる」と、思い込んでいる人々が住んでいる世界。
自分だったら、生き残るために先に攻撃するから、他の人も同じに違いないと、本能の部分で思っている人々がアメリカ人なのです。
彼らアメリカ人の世界では「攻撃権=生存権」であり、攻撃してこない者は死んでいる者だけなのです。
そして、生き残りたければ攻撃してくるということは、「生きているものはみんな攻撃してくる」と変換することが出来ます。
「先に攻撃しないと全滅する」というアメリカ人の本能は、アメリカ独立戦争というアメリカが誕生した時に生まれ、現在にまで根づいています。
銃の犯罪が増え、たくさんの悲劇が起きようとも、アメリカ人が銃を捨てられないのは、「攻撃する権利」を捨てると全滅すると本気で信じているからです。
たぶん世間で信じられているような、「全米ライフル協会があるから」が一番の理由ではありません。まず最初に、アメリカ人の生存本能があり、その生存本能の一部として、全米ライフル協会が出現したと考えるのが正解です。
またアメリカでは、裁判でも「生存権の一部としての攻撃権」が与えられています。
つまり訴える側、訴えられる側のどちらの側になっても、弁護士を雇って、相手を攻撃し、負かすことが出来るということです。
そして、正義ではなく、勝った方が裁判での勝者になります。
どんな悪人にも、最後の生存権として、弁護士を雇って裁判で戦う権利が与えられるということです。
このように、ありとあらゆる場所に、アメリカ人の生存本能は行き渡っています。
国民が政府を攻撃する権利を保持し続けるのも、ロボット工学三原則も、このアメリカ人の生存本能から生まれたと推測できます。
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