引き出し

 小学生の我が子の机の引き出しは、いつも物がごちゃごちゃしている。片付けるように言っても全く聞かない。

 ある日しびれを切らし、我が子の留守中に整理することにした。

 引き出しを開け中の紙類や文房具類をどさっと取り出した。


 見られた。目が合った。目があった。

 白目が少なく、黒目がやたらと大きい二つの目が、引き出しの底にへばりついて、こっちをじっと見つめていた。

 目の逸らし方を忘れ、見つめ合ってしまった。


 どれくらい経った頃だったか、突然引き出しが閉められた。隠れて見えなくなる二つの目。

 ハッと我に帰り、横を向く。

 いつの間にか帰宅していた我が子が、無表情で言った。

「ね? 綺麗にしておくと、目が合っちゃうから」

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