シンケンシケン

「やっぱ無理かも……」

 難しい顔で、ある国家試験のテキストと睨めっこする私の配偶者。

「そんなことないよ、真剣に勉強してるし!私と一緒に合格するんでしょ?」

「でも自信なくて……」

「じゃあ◯×問題出すね!『躾として子に暴力を振るっても良い』」

「×」

「正解!じゃあ次『子は親の所有物だ』」

「×」

「正解!『親孝行は子の義務だ』」

「×」

「正解!分かってるじゃん、大丈夫!」

「でも今の超基本問題だろ?間違える奴なんていないよ」

「うん。でも知ってる?昔はこの資格無くても自由に子どもを持てたんだって!」

「は⁉︎こんな大事なことを無資格で⁉︎」

「だから昔はヤバい奴がいっぱいいたみたい。自分の子を虐待したり、酷い時は殺したり」

「それ本当に人間?怖え…… この資格できて良かったな!」

「私達はいい親になろうね!」

 表紙に「親権試験」と書かれたテキストを持った配偶者は、少し自信の持てた顔で頷いた。

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