ブロックされ

(二階建ての一軒家で暮らす四姉妹のある日の会話。場所は一階のリビング。長女が浮かない顔で帰宅する)


長女「ただいまー…」


次女・三女・四女「おかえりー!」


次女「あれ、長女元気ない?」


四女「嫌なことでもあった?」


長女「ん?うーん、さっきSNSで知らない人に変なコメントされちゃってさー。自分の思ったこと書いてただけだったのに…」


次女「あー、たまにおかしい奴いるよねー」


四女「ひどいね。でも気にしない方がいいよ?」


長女「うん、ありがとう。即ブロックしたから大丈夫だと思う」


三女「もうさ、SNSでブロックした人は現実でもブロックされるといいよね」


長女・四女「?」


次女「また不思議なことを言い出したぞこいつ…」


三女「不思議なことって…つまりさ、もしブロックするとそのアカウントを見なくて済むようになるってだけじゃなく、現実でもそのアカウントの持ち主に絶対に会えなくなったり、目の前にいても透明人間みたいに姿も声も認識できなくなるといいよねって話。そうすればムカつく奴と完全におさらばできるじゃん!」


次女「…面白いかもしれないけど、現実的ではないよな」


四女「次女と同じ意見です…」


長女「えっ?」


四女「でも次女と同じ意見ではあるけど、前友達がネット上で攻撃されたことがあって、その時に近いこと考えたことはある。匿名なら何言ってもいいなんてわけもないしね」


次女「おいおい、四女も不思議な世界の住人化か?」


四女「そんなわけないじゃん!私を三女と一緒にしないで!」


三女「2人ともバカにしてんの?」


長女「あ、あの…?」


三女「SNS上の発言と言えば、次女も気を付けなさいよ。あんた現実でもしょっちゅう考えなしに喋ってトラぶってんだから!」


次女「気を付けてるつもりですよーだ。何キレ出してんの?」


長女「…ねえ、あのさ」


次女・三女・四女「何?」


長女「三女と四女はさっきから『次女』とか『2人とも』とか、何言ってるの…?」


次女・三女・四女「…は?」



長女「え?だって今、次女ここにいないでしょ?」


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