寒天

 本日のお題は涼しげな『寒天』です。

 テングサなどを原料とする寒天は、ゼラチンで作るゼリーとは異なる食感で、噛めばほろっと割れるような独特な歯ごたえです。……いや、もはや歯ごたえといえるほどの感触もありませんね。


 食物繊維が豊富で高血圧やコレステロール、血糖値、そして便秘に効果が期待できるそうです。妊婦さんは便秘になりやすい方が多いので、間食をしたいときにおすすめです。


 私も一人目を妊娠していたとき、便秘だけではなく体重管理の効果も期待して、食生活に寒天を取り入れていました。

 つわりがおさまって増えた食欲を従えるために、お菓子はしばらく寒天デザートでした。

 カルピス、コーヒー(妊娠中なのでノンカフェイン)、ぶどうジュース、トマトジュースでも作れるんですよね。水だけで作れば、黒蜜や酢醤油で甘辛どちらもいけます。

 デザートだけでなく、料理にも使えます。コンソメスープも寒天で固めると涼しくいただけます。器にさっと茹でた色とりどりの野菜を敷いて寒天を溶かしたコンソメを流しいれると見た目も綺麗です。

 和風のだしを寒天で固めてジュレのようにしてサラダにかける手もあります。卵を流しいれたものもありますし、そうめんを固めたものも見かけます。


 食生活の中に食物繊維を取り入れることも大事ですけれど、目にも涼しげなものを食生活に取り入れられるのは夏に嬉しいですね。和菓子の世界でも、夏になると寒天を使ったものをよく見かけます。

 透ける中に色彩豊かな食材が浮かんでいると、なんとも涼しげで嬉しくなりますね。


 寒天は、幼い頃の私にとって、気軽に作れるお菓子のひとつでした。

 粉寒天でなく、棒状の寒天をちぎって鍋に入れて作ってました。完成を心待ちにするあまり、冷蔵庫を何度も開けて母親に叱られました。

 型から外すとき形が崩れても気にしなくていいのがよかったですね。そんなときは思い切ってぐしゃぐしゃに崩してジュレみたいに楽しめばいいんです。


 それにしても寒天を使ったもので何が一番好きって水羊羹なんです。夏になるとつるんと喉元を過ぎる優しい甘さが恋しくなります。

 水羊羹を初めて作った人ってどんな人かな? きっと、気が合うだろうな。

 ……なんて考えながら匙ですくうのです。

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