おにぎり

 本日のお題は『おにぎり』です。

 様々な具を入れたご飯を握り、海苔を巻く。それだけの工程ながら限りなくたくさんの顔を持つのが『おにぎり』の魅力ですね。

 手が小さい人がにぎれば小さいおにぎり、大きい人が握れば大きいおにぎり。なんとも可愛いらしいですよね。


 まずは具ですが、梅干し、おかかをはじめ、ありとあらゆる具がありますね。真ん中に入っているものもあれば、全体的にまぶしたり混ぜ込んだり色々です。

 ちょっと塩をまぶした手のひらで握るのですが、丸いおにぎりもあり、三角もあり、俵型もあり、ときには爆弾おにぎりまで様々。

 そして、海苔はしっとりするのが好きな人もいれば、パリッとしたのがいいという人もいる。


 おにぎりって小さい中にあらゆる可能性がつまった食べ物だと思うんです。

 具でも形でも海苔でも、ちょっと趣向を変えれば全然違うおにぎりになるんですものね。選択肢が沢山つまっているんです。

 おにぎりを包むのだって、ラップの人もいればホイルの人もいて、昔ながらの竹の皮でくるみたい人もいる。


 ところで、昔話で『おむすびころりんすっとんとん』っておにぎりが転げていくお話、ご存知でしょうか?

 私が読んでいた絵本のさし絵にはおにぎりの傍にたくあんが。おにぎりとたくあん、そして竹筒に入った水。それが本当に魅力的でした。

 昔話では『おむすび』ですが『おにぎりころりん』とは歌われないですね。

 地方によっておにぎりの呼び方は様々らしく、おにぎりとおむすびの違いには諸説あるようです。なんだかおむすびのほうが確かによく転がりそうですよね……。


 そうそう、私が初めて北海道のコンビニで「おにぎりあたためますか?」ときかれたときは心底びっくりしました。おにぎりって、朝作ってお昼に冷めたやつにかぶりつくものじゃないの? って目を丸くしましたね。

 具材によってはあたためた方がいいものもありますけれどね。このやりとりに慣れるまで随分かかりました。


 今はコンビニで様々なおにぎりがすぐに手に入る時代ですね。

 自分の家族以外が握ったおにぎりが気持ち悪くて食べられない人もいるなんて話も耳にすることもあります。ちょっと悲しくなりますね。それならお寿司はどうするのという話ですが。

 熱いご飯を握るとき、食べる人の喜ぶ顔のために握っているものだと思っています。いうなれば、おにぎりは愛情の塊です。

 手を濡らし、塩をまぶし、熱い米を転がしてちょうどよく握る。その手間に美味しさと愛情をこめる秘訣がある気がします。

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