第24話:エムノシル探訪④
飲食店をあとにした広美さんと一緒に演習場へ戻ってきた。
もちろん、広美さんが魔法スキルを試すためなのだが、結果は問題なく万事うまくいった。
「……で、出た」
これで五度目なのだがは口が裂けても言わないが、槍を突き出した状態でプルプルと震えながら感涙に咽び泣く広美さんを横目に、半透過ディスプレイを操作して、“ショートカット機能”に登録した魔法を変更していく。
そういえば、広美さんはスキル一覧から魔法スキルを選び、呪文詠唱をしていた。
もし、“ショートカット機能”が使えるのなら、わざわざ呪文詠唱を習う必要もないはずだ。つまり、“ショートカット機能”が使えない? 使えるのは俺だけ? と考えるのが現時点では妥当なところだろうな。
とりあえず、質問するのはあとでいいか。今は乗りに乗っているようだし、ここで水を差すのを気が引ける。
「さて、と……」
気持ちを切り替えて、自分のことをやるか。
弱体化(デバブ)の魔法は状態異常とステータス低下の二種がある。
俺が主に使うのは状態異常系の魔法で、麻痺と毒、暗闇と沈黙の四種。基本的に高レベルのプレイヤーやモンスターが相手となれば抵抗値も上がるので状態異常の成功率は低下してしまう。そこは『
一時期、掲示板を賑わせたものだ。あれは黒歴史も真っ青の漆黒歴史だけどな。
あとは石化や即死などあるが、この二つは成功率が極端に低く、使うプレイヤーはほとんどいない。かくいう俺も数えるほどしか使ったことがない。俺が使っても職業補正と『大罪』込みで成功率五割程度なのだ。しかし、考えようによっては怖いな。成功率五割で即死か石化する……つまり、二回に一回は成功する確率なのだ。おおぅ、マジで怖い。
「渉君、出来たよっ」
「そうですね。おめでとございます」
興奮冷めやらぬ広美さんが嬉しそうに駆け寄ってきたが、たゆんたゆんと揺れ動く見事な膨らみは眼福の一言である。よし、頭の中を占める恐怖を桃色に染めてもらおう。いざゆかん、桃源郷へ。
「あとは、自分が習得している魔法スキルの呪文を調べていけば、順次使えるようになると思いますよ」
「そうだね。……でも、覚えるのが大変そうだよ」
確かに、これをカンペなしに詠唱しろと言われても無理だな。
「一応、これはあくまで効率を重視した呪文ですから、一部間違っても発動はすると思います」
「でも、威力が変わることもあるんだよね?」
「その辺りは要検証ってところです」
俺自身、知らないことが多くて人に教えられる立場ではないのだが。
「それじゃ、もう一回やってみるっ」
「あまり無理はしないでくださいよ」
「分かってるよー」
よほど魔法スキルが使えることが嬉しいのか、広美さんは胸を弾ませながら、否、声を弾ませながら木人形と対峙して槍を構えて呪文詠唱をはじめた。
「風よ集いて尖り、
ゴウッと唸りながら風を切る音が聞こえたかと思えば、ガンッと木人形が軋む音を上げて揺れ動く。
風属性の初級魔法『ウィンドバレット』は視認することが難しい無色透明な風の球を飛ばす魔法だ。風に色がないのだから無色透明は当たり前。視認が困難なのも当たり前。だが、攻撃力という観点からいくと、初級四属性の中でも最弱である。 ただ、消費魔導力は一番低いからコスト面では優秀だ。低レベルの頃は風魔法を好んで使うプレイヤーも多く、俺もその一人だった。
「次は……、――よしっ。火よ猛き集い、
魔法スキルが使えて上機嫌の広美さんは、今度は『ファイアボール』の呪文を詠唱する。
先ほどと違うところは、今回はスキル一覧を呼び出しての詠唱ではなく、腕輪の機能なしでの詠唱という点だ。つまり、“リ・ヴァイス”の住人と同じ仕様で魔法を使っていることになるが、特に問題なく魔法は発動している。火の球が木人形に着弾して軋み上げて揺れているのを確認し、広美さんの様子にも変化がないことを確認して一安心する。
「身体に異常とかはないですか?」
「特にはないよ。逆に動きやすいような気もするけど……気のせいかな」
「動きやすい、ですか」
「き、気のせいかも知れないからっ」
慌てる広美さんは気のせいを連発するが、『
とりあえずは、成功だな。
中断して試せなかった腕輪の機能なしで魔法スキルが使えるのか? そのことを伝えたら広美さんが自分もやってみたいと、止める間もなく呪文を詠唱開始したときはさすがに驚いてしまった。
妙なところで行動的というか、安全確認も出来てないことをぶっつけ本番で試すのは止めてほしいと注意したが、果たしてどこまで分かってくれているのか。
それでも、自分以外の実地検証が出来たのは大きい。あとは俺自身が検証して広美さんと情報交換をしないと。
――ドゥヴァァアアアアンッ……
そんなことを考えていたら、突如耳を劈く轟音に思わず身構える。
「な、なんだっ?」
「にゅあぁっ……び、びっくりしたぁ」
同じく音に驚いていつの間にか俺の背後にいる広美さん。貴女、さっきまで目の前にいたじゃないですか? いつから『
「んー……誰かがスキルをぶっ放したのかな?」
「あ、あれじゃないかな」
「……だね」
広美さんが指さす方向――、俺達が使っている木人形の隣。距離に一〇メートルほどしか離れていないが、そこは土煙が巻き上がり、パラパラと土塊や小石が舞い落ちていた。俺が使った『ファイアボール』よりも酷い有り様だな。――と思った瞬間、ゴオッと風が唸り上げて吹き抜け、小石を飛ばして土煙が一瞬にして晴れた。
「……おっと、すまない」
土煙の中から出現したのは、風に靡く白銀の髪をそのままにこちらを見て小さく頭を下げる女性だった。
そして、土煙が晴れて露わになった彼女の足元はさながら爆心地を思わせるほど抉れ、亀裂が縦横無尽に走っていた。
「い、いえっ」
反射的に返事をした広美さんだが、俺のうしろから出てこようとはしない。向こうもそれを気にした風もなく、一瞥して手に持つ槍を構える。
「んー……、あの装備はどこかで……」
その様子を眺めつつ、白銀の髪をした女性が装備するものを注視する。どこかで見たことがあるような、それ以前にどこかであったことがあるような……。
「渉君、どうしたの?」
「……どこかで、会ったことあるような気がして」
「あの人……?」
白銀の髪をした女性を指差す広美さんに頷き、記憶を掘り返す。
つい最近。それも、この町で……あっ。
「そうだ。今朝会った……」
あの、
装備は朝とは違うが、あの髪と顔は見間違うはずはない。
「朝、会ったの?」
「会ったというか、すれ違ったが正しいですけど」
そのときは戦乙女の装備だったことを伝えると、広美さんの顔色が見る間に青くなっていく。
「…………もしかして、リーダー?」
「え?」
そんな呟きを耳にして白銀の髪をした女性に目を向ける。
名前:エルシオン
主職業:
副職業:未設定
クラン:戦乙女の楽園・クランマスター(解散処理中)
すると、眼前にポンッと小さな半透過ディスプレイが出現し、そこには彼女の個人情報が記されていた。
……うわ、マジかよ。
白銀の髪をした女性。彼女こそ、『戦乙女の楽園』のクランマスターにして、戦闘狂で有名なエルシオンその人であった。
「以前、チャットでリーダーがリアルでは銀髪だって言ってたから」
そういえば、以前PVPをしたあとに世間話となり、そのときに母親がロシア人で父親がフランス人と言っていたな。生まれも育ちも日本育ちだから流暢な日本語を喋れるが、両親の母国語はちょっと苦手と言っていたのを思い出した。
「それにしても……ちょっと荒れてるな、あれ」
「そう、ですね」
ズガーンッと爆砕音を轟かせて揺れる地面。その発生源は言わずと知れた銀髪美人さんなのだが、どうにも雰囲気がおかしい。
荒れてます。途轍もなく荒れていらっしゃいますわ。
苛立ちを隠さず、槍を振るう姿は般若か鬼女か。とにかく近寄り難いことこの上ない。
「もしかして、クラン解散の件……かな」
「多分、そうでしょうね。何があったかは分かりませんけど」
勢いで解散するような短絡的な人ではなかったと思う。
恐らく、何か考えがあってのことだと思うが、それでも、クランメンバーに無断で解散はいただけない。などと考えていたら、向こうからこちらへ近づいてきた。
「度々すまない……これで失礼する」
小さく頭を下げて去っていくうしろ姿をただ見送り、隣へ目を向ける。
「どうします?」
「え?」
「話しかけますか?」
「あ……えっと……」
まぁ、躊躇う気持ちは分かる。
「別に無理する必要はないですよ」
冷たい言い方だが、話しかけて何が変わるわけでもないし。
「ま、待ってくださいっ」
だが、彼女は冷たい人ではなかったらしい。
「……何か?」
その声に足を止めて振り返った銀髪美人――エルシオンさん。
「あ、あの……『戦乙女の楽園』クランマスター、エルシオンさん、ですよね?」
「――っ。何故、私のことを……」
「わ、私っ、『戦乙女の楽園』のメンバーで、フィオリーナです」
広美さんの言葉に目を丸くし、言葉を失くすエルシオンさん。
「貴女が、フィーリーナ……さん」
「は、はい。本名は、生島広美と言います」
「あ、私はエルシア・ブランヴィル――エルでいい」
「え、あ――、私のことも広美でいいです」
エルシオンさん――基、エルさんはどこか困惑した様子で自己紹介をし、広美さんもちょっと居心地悪そうな感じだった。
「ごめんなさい」
それを打ち破ったのは、突然の謝罪だった。
「え、え……」
深々と頭を下げるエルさんに広美さんは戸惑い、どうしたらいいのか分からずオロオロするばかり。
「あ、頭を――」
「貴女が苦しんでいるのに、見て見ぬふりをして本当にごめんなさい」
「……あ」
その謝罪が何を意味するのか。広美さんにも理解出来たようで、エルさんの様子を伺っている。
「何を言っても言い訳にしかならないから……」
そう言うと、エルさんは手に持っている槍をクルリと回し、柄を広美さんへ突き出す。突然のことに広美さんは目を白黒させて困惑の絶頂で俺に目で助けを求める。
「思う存分、私を突き刺してくれ」
エルさんは、そんな広美さんへとんでもないことを言い放った。
「ちょっ、ちょっと待とうか」
「ん? そういえば、君は……」
「今は俺のことはどうでいい。まずは、どうしてそこの結論に至ったのかを聞きたい」
この脳筋は何を考えているのだろうか。
ゲームのときも大概だったが、リアルの方がもっと酷いとは……。
「彼女がうけた痛みを知るにはそれが一番だと思うのだが」
「馬鹿か、アンタは……」
「ぬぅ……誰かは知らんが、馬鹿呼ばわりされる覚えはないぞ」
うっせぇよ、本当に。
「人が折角作ってやった装備でアホなことやろうとしている馬鹿を止めるのは普通だろ」
「……ん? これを作ったのは――」
「あっ」
しまった。勢い余って余計なことまで口走ってしまった。
「君は、もしかして――ワタル、なのか?」
ほら、気付かれちゃった。
「ああ、そうですよ。ワタルですよ、はい」
「おおっ、そうか!」
「むごっ」
自棄になって名乗ると、突然エルさんがタックルばりの突進をして抱きついてきた。
「ちょっ、痛いっ。痛いってば!」
「あ、ああ――すまない。大丈夫か、ワタル」
露出はあるとはいえ、要所を護る防具を身に付けたままで抱き着くとは俺を殺す気か。ちょ、やめて! 削れるっ、色々と削れるから!
「だ、大丈夫……あたたっ」
「本当にすまない。つい、ワタルに逢えたことが嬉しくてな」
ちょっと頬を赤く染めて恥じらう様子を見せるエルさんだが、何故だろう……とても危険な香りがするのですが。
「君とはもう一度、じっくりと戦いたい――」
「ぬあぁっ、誰が戦うか!」
本当に残念な脳筋さんだよ、ったく。
見た目が美人なだけに残念度合いが半端ないわ。
「ぬぅ……何故だ?」
「あ、あのね……俺達、生身なんですよ?」
「そうだな。だから、戦ってみたいのだ。肉と肉のぶつかり合いはいいぞ……骨が軋み、痛みで悶える筋肉の痙攣は一度味わったら病みつきになる」
だからの意味が分からん。
駄目だ、早く何とかしないと。俺の身体が危ない。というか、何頬を染めながらエロっぽく物騒なことを呟いているのかな、この残念脳筋さんは!
「とにかく、エル……エルシオンさんとは――」
「エルシア」
「は?」
「エルシア、もしくはエルと呼んでほしい」
分からん。この人が何を考えているのかさっぱり分からない。
「じゃ、じゃあエルさんで」
「……うん。ワタルは?」
「ああ、俺は本名もそのままで渉だから」
と、宙に名前を書いて見せるとエルさんは小さく頷き、嬉しそうに微笑む。美人が笑うとそれだけで許してしまいそうになるが、この人は別格だな。
「ん、渉……改めてよろしく」
「あ、ああ……よろしく」
差し出された手を握り返すと、掌は少し硬く豆が出来ていた。つまり、現実でも武道の嗜みがあるということを示している。
なるほど、リアルでも戦闘狂ですか……怖ぇよ。
「あ、あの……」
余計なことを考えながらエルさんと握手をしていると遠慮がちな声が聞こえ、声の方へ向けば、広美さんがソワソワとして俺とエルさんの顔を交互に見ていた。
「広美、どうした?」
「え、あの……お二人は、その、知り合い……なんですか?」
「ああ、直接会うのははじめてだが、ゲームのときは色々と世話になったからな」
淡々としたエルさんと、驚きで目を丸くする広美さん。
「エルさんがお世話になるって、渉君って何者なんですかっ?」
「そういえば、どうして渉と広美が一緒にいるのだ?」
何だろう。
問いかける二人の視線に晒され、まるで浮気がバレた旦那のようだと場違いなことを考えながら、面倒なことになったものだと嘆息した。
☆★★★☆
木々の間から降り注ぐ日の光を浴び、風に揺れる草花の中を歩く者達は周囲を警戒しつつ、進んで行く。
「今のところ近くにモンスターはいないみたいです」
「そうか。引き続き、注意を怠るな」
弓を背負う犬耳の少女が周囲を見渡し、金色の髪を持つ獅子族の男――『獣王』ギ・ガムことギルバートも警戒を続けながら歩みを止めることはなかった。
「そろそろ、着いてもいいと思うんだけどなぁ」
「そうだな。方角はあってるんだよな? ボス」
ギルバートのうしろを付き従う兎耳の女性は辺りをキョロキョロと見渡し、狼耳の青年は地図を持つギルバートへ問う。
「ああ、この方角に貿易都市があるのは間違いない」
「うう……ホームを出発して早一週間。お風呂に入りたいよー」
ペタンと垂れる兎耳に恨み節を乗せて、兎耳の女性は「おふろー」と喚き出す。
「ったく。少しは静かにしろ。モンスターが寄ってきたらどうするんだよ」
「だ、だってぇ……」
「風呂に入りたいのは俺も一緒だ。少しは真緒ちゃんを見習えよ、年上ならさ」
突然話を振られ、真緒と呼ばれた犬耳の少女は素知らぬ顔で無視をすることにした。余計なことを言って話をややこしくするのは目に見えているから、触らぬ神になんとやらである。
「もうっ、どうして
「だから、
「うるさい、うるさーいっ」
花梨と呼ばれた兎耳の女性は癇癪を起して狼耳の青年――康太へ詰め寄る。それはゲームのときから続くいつもの光景であり、真緒もギルバートも慣れたものだった。
「……また、か」
「仲、いいですね」
「時と場を弁えてくれたら、どれだけイチャつこうといいのだが、な」
そんなことをいいつつ、ギルバートは肩を竦める。
「あ、あの……ギルバートさんは、その……莉緒さんと――」
「――っ。モンスターだ!」
何やら思いつめた表情でギルバートへ問おうとしていた真緒だが、即座に弓に矢を番えて構える。言い争いを続けていた二人も杖と剣を構え、刹那、藪の奥から唸り声と共に四足の影が複数飛び出してきた。
「ちっ、またグレーウルフかよっ」
「油断するな。ボルトベアが近くにいる可能性があるぞ」
「分かって、ます――よっ」
地面を蹴り、グレーウルフへ瞬く間に肉薄した康太は剣を振り上げ、グレーウルフの首を斬り上げる。
「ちっ、浅かったか――うりゃっ、くっ」
返す刀で冗談からグレーウルフの首を切り落とさんと振り下ろしたが、横合いから飛びかかってきたグレーウルフを避けようと身体を捻る。刹那、飛びかかってきたグレーウルフが短い悲鳴を上げて吹き飛び、木にぶつかりながらその姿が見えなくなった。
「大丈夫かっ?」
「問題ないっす、ボス」
もちろんそれを為した者が誰なのか分かり切っている。わずかに視線を向ければ、拳を振り抜いたギルバートがすでに別のグレーウルフへマウントして仕留めにかかっていた。さすがはボスと感嘆しつつ、康太は先ほど手傷を負わせたグレーウルフに再度標的を定める。
「そいっ」
「――って、おいっ」
だが、それを間の抜けた声で奪い取っていく兎耳の女性――花梨に抗議の声を上げる。
「もう、スキルが使えないから面倒で仕方ないわ」
「そう思うなら下がってろよっ。危ないから!」
「この辺のモンスターなら私の打撃でも何とかなるわよ」
「そういう問題じゃねよ」
戦闘中とは思えない言い争いを続ける二人だが、手は、足は、止まることもなく、一匹また一匹とグレーウルフを倒していき、最後の一匹となった。
「終わりです」
風を切り、眉間に真帆が放った矢を受けたグレーウルフは断末魔を上げることなく、そのままその場に倒れ伏せた。
「……もう、いないみたいです」
周囲を警戒しながら援護射撃をしていた真帆は弓を下ろし、小さく息を吐く。
「そうか。なら、先を急ぐか」
「そうですね。また襲われたらたまったもんじゃないし」
先を歩き出したギルバートの隣を真帆が警戒しながら歩き、刃を付いた血を振り払い、鞘へ納めた康太の隣を花梨が寄り添うように歩く。
それから数十分後。
突如切り開かれた視界の先――ギルバート達の前に街道が姿を現した。
「やっと着いたぁ……」
「まだ、街道に出ただけだろ。町はもうちょい先だぞ」
「えぇ……もう歩けないよぉ。こうたぁ、おんぶー」
「うっせぇ。甘えてないで自分で歩け」
街道まで到着したことで目的地が近くにあることを理解し、浮かれる康太と花梨を他所にギルバートは地図と街道を照らし合わせて道順を確認していく。
「この先に、貿易都市が……」
それはどこまでも、遥か先まで続く道ように見える。ギルバートは未だに騒ぐ二人を促し、四人は一路貿易都市を目指して進みはじめる。
ただ、この道がこれから巻き込まれる騒動へ繋がる道であることを、このときの四人は知る由もなかった――
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