第九話「いよいよ……」

 門をくぐって中に入るといくつもの通路がありました。

「何よこれ? どっちいけばいいのよ」


「これたぶん迷路になってるんだろ、ここはオイラに任せろよ」

 そう言ってチャスタが先頭に立って進むと、皆はその後に続きました。


「んーと、あっちか。えーと、こっちだな」

 チャスタがそう言いながら進んでいくと、

「よっし、出口だ! あれ?」

 出口には扉がありましたが押しても引いても開きません。

「これ何?」

 よく見ると扉の真ん中にマス目のようなものがありました。

「これクロスワードパズルのようね。たぶんこれを解けば開くんだわ」

「え~? わたしパズル苦手です~」

「これもオイラに任せて、こうこうこうなってっと、解けた!」

 ギイイイ、と音を立てて扉が開きました。

「よし、行こう」




「な、なんだと!? あの迷路とパズルを攻略するとは!?」

「知識と経験を活かす場が見えているのじゃな、あの子は」




 そして通路を進んでいくと階段がありましたがその前に

「ウ、ウ」

 ゾンビの群れがいました。

「きゃあーゾンビー!」

 ラチカが驚いて叫びました。

「ねえ、驚いてないでゾンビさん達を昇天させてあげたら?」

 ルーはやや呑気に言いました。

「その前に魂を体に縛り付けている呪いを解いてあげないとだけど、私に呪いは解けないわよ!」

「はーい、それならわたしが」

 レイカが前に出ました。

「……神よ、彼らの体にかけられた忌まわしき呪いを」

 そうレイカが念じました。

 するとレイカの体が光輝き、その光はゾンビ達の体を崩していきました。

「これならいけるわ! さあ、皆天へ還ってクリスマスパーティーでもしなさい!」

 ラチカが手をかざすと光が差し込み、


 ……ありがとう、お嬢さん達。


 彼らの魂は天へと昇っていきました。


「レイカさんってどこが見習いシスターなのよ、充分一人前じゃないの!」

「わたしってドジばっかだからかなあ、この前もマザーが大事にしてた花瓶割っちゃったし」

 するとナディーが言いました。

「そうだねー。でも完璧な人なんて一人もいない、だから皆で力を合わせて何かをする。そうすれば何でもできるんだよー」

「そうよね、あなたいい事言うわね」

 ラチカはナディーの言葉に感心しています。


「へへ。あのね、これ実はあたしの世界の王様が言った言葉でーす」

「そうなんだ~。その王様って素敵な方なんですね~」

「そうだよー。あたしのパパとママのお友達なんだよー、その王様は」

「オ、オラそんな人知らないけど?」

 ドンタは何故かそう言って首を傾げます。

「いつかわかるよー」




「まあ、これはある意味こっちの願いでもありましたからね。礼を言っておきます。仲間を救ってくれてありがとう、と」

「お前さんはやはり悪人にはなりきれんようじゃな」




 階段を昇って行くと大きな部屋に出ました。

 そこには大きな怪獣がいました。

 その怪獣は何故かキジを追いかけていました。


「なんで怪獣がいるのよ? それになんでキジが追いかけられてるのよ?」

「この家って時空を歪められてるみたいだな」

 ラチカとチャスタがそう言った時、ニコが前に出ていき、


「ここは僕に任せて、ミサイル発射!」

 ボン! ボボン!

 ドオーン!

 ミサイルを撃ちまくりました。すると、


 ぜっとーん!

 ミサイルが命中した怪獣は妙な鳴き声を出して倒れました。


「キジさん、大丈夫?」

 ルーはキジに話しかけました。

「うん、大丈夫」

「なんでこんなとこにいるのよ」

「ネギ探しに来た。そしたらいつの間にかここにいた」

 キジはそう言いました。

「鴨ならわかるけどなんでキジ? まあいいわ、ネギならここにあるからあげるわ」

 ラチカはキジにネギをあげました。

「ありがとう、でもどうやって帰ろう?」

「オ、オラが送ってあげるよ、はあっ!」

 ドンタは時空転移の秘術でキジを元の世界に送ってあげました。




「あの怪獣は伝説の光の戦士をも倒す最強の怪獣なのに、何故あのロボットはあっさりと倒せたんだ!?」

「彼を作ったあの子の思いが強いんじゃな、それにルーの力も……」




 そしてさらに上へ昇って行くと、黒い塊が宙に浮いていました。

「何あれ?」


 ワレハ妖魔ナリ。

 キサマラニトリツイテヤロウ


「妖魔? よし、それなら」

 ルーが心の中で念じると目の前に光の弓矢が現れました。

「やっ!」

 ルーが弓を放って妖魔を射抜きましたが


 ヤルナ、ダガコンナモノデハナ。


 効いていませんでした。

「え、どうしよ~」

「弓矢でダメならもっと強力なもの出しなさいよ!」

「え、強力なもの? えーとえーと」

 ルーが念じて現れたのは光の剣でした。

「これならどうだ!」

 ルーはそれで妖魔を斬りました。

 グワアアア!

「やったー!」


 ソノ剣ハ……オマエ、イヤオマエタチナラ。


 彼とサンタはこの扉の向こうにいる。

 行ってやってくれ。


 そう言って妖魔は消えました。


「いよいよ魔法使いのところのようね、おじいちゃんもここに」

「そうだね、さあ、サンタさんを助けよう」

「サンタさんか、オイラ一度会ってみたかったんだよな」

「マー君にも会わせてあげたかったな」

「この拳銃で魔法使いを蜂の巣に」

「撃っちゃだめよマ……じゃなかったレイカさん」

「オ、オラ、皆を守る」


 一行は扉を開けました。すると

「ようこそ、よくここまで来ましたね」

 悪い魔法使いが皆を出迎えました。

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