第七話「七色の光の道」
「あ、あの~、ここどこですか~?」
赤茶色の髪のシスターらしき少女が皆に尋ねます。
「ここは洞窟の中よ」
ラチカが彼女に答えました。
「え、洞窟? わたしなんで洞窟にいるんですか~?」
「知らないわよ。あなたがいきなり上から降ってきたんだから」
「ねえシスター、ここへ来る前何してたの?」
ルーが少女に聞きました。
「あ、わたし井戸で水汲みしようとしたら落っこちちゃったんだ~。あの井戸ってここに通じてたんですね~」
「あれ、そうなの?」
ルーがおじいさんに聞きました。
「そんなわけなかろうが。落ちた時に偶然時空に穴が開いて、それがたまたまここに通じたんじゃろ。まったく運がいいのか悪いのかわからんお嬢さんじゃ。まあおかげで迎えに行く手間が省けたじゃろ」
「……そんな偶然あるんだ」
「ねえシスター、あんたの名前は? オイラはチャスタっていうんだ」
「あ、わたしはシスター見習いのレイカです~」
その少女、レイカがのんびりした口調で答えました。
「あの、レイカさん、お願いします。僕達の仲間になってください」
「はえ、仲間?」
「ちょっと、ちゃんと説明しないとわからないでしょ、もう」
ラチカが事情を説明しました。
「ええ? サンタさんが悪い魔法使いに連れてかれたんですか!? おお、神よ」
レイカが大袈裟によろけながら言います。
「おじいちゃんを助けに行く為には光の道を作らなければだめなのよ。レイカさんお願い、一緒に光の玉を使って」
「はい! じゃあ早速使いましょう! 見てなさい魔法使い、わたしのこの拳銃で蜂の巣にしてあげます!」
レイカは長いスカートの中に拳銃を隠していました。
「ちょ、なんでシスターが拳銃持ってるのよ!?」
「え、わたしだけじゃなくて教会の皆が持ってますよ~。マザーなんかマシンガン持ってますよ~」
「どんな教会よ、そこ」
ラチカは大汗をかいて呟きました。
「レイカさん、光の道を作るにはあと一人仲間がいないとダメなんだよ」
ニコが言いました。
「え、そうなんですか? その人どこにいるんですか?」
「わかんないよ、どうやって探せばいいのかも」
「ドンタさん、何かいい考えない? ……ドンタさん?」
ドンタはレイカを見てボーっとしていました。
「どうしたの? どこか具合悪いの?」
ルーが心配そうに聞きました。
「え? い、いや別に。なんだっけ?」
「最後の一人ってどこにいるんだろう?」
「う、うーん。ねえ、あの人のとこまで戻って聞きに行かない?」
「物知りのお兄さんに?」
「ダメよ。今からあそこまで戻ってたらクリスマスが終わっちゃうわよ」
「そ、そうか」
「じいちゃん、今も見えないのかよ?」
チャスタがおじいさんに尋ねました。
「うむ、さっきから見ようとしてるが一向に見えんのじゃ」
「あの~、ちょっといいですか~?」
レイカが手を上げて喋り出しました。
「なんじゃ?」
「もしかしてその人、まだこの世にいないんじゃ?」
「は? なんじゃそりゃ?」
おじいさんは首を傾げました。
「だから~、今はいないけどいつか生まれてくる人なんじゃないですか~?」
「……なるほど、そうでないとは言い切れん。じゃがもしそうだとしたらその者が生まれてくるのを待ってる時間など無い」
「う、うーん」
ドンタ、ドンタ。
「ん? あ、あんたは」
今こそもう一つの眠っている力を出す時だよ。
「オ、オラのもう一つの力って何?」
全次元に存在する全ての秘術を使う力さ。
その中で今使うのは極大秘術の時空大召喚。
それで最後の一人を呼び出すんだ。
「で、できるかなあ? それにもし呼べだとしても、その人オラ達の仲間になってくれるの?」
ああ、そりゃなってくれるさ。
その娘はもう全てを知ってるんだよ。
君の……なんだから。
「え?」
さ、心の中で念じてごらん。
君がいた世界の未来に向かって。
「うん」
ドンタは心の中で念じ始めました。
「……オラの……ここに来て」
すると突然眩しい光が辺りを照らしました。
「え、何が起こったの!?」
皆が驚きました。
そして光が収まるとそこには
「は~い、来ましたよ~」
赤い髪でツインお団子ヘアの可愛らしい女の子がいました。
「え、君誰?」
ルーが女の子に聞きました。
「あたしはナディーよ。本名は言っちゃいけないから内緒でーす」
「え、え~と、君」
ドンタがナディー近づきました。
「うん、もうわかってるよ。光の道作るんでしょ」
「う、うん」
「さ、皆外へ行きましょ」
ナディーが皆に言いました。
「え、ええ。行きましょうか」
「うん、おじいさん、それじゃあ」
「気をつけてな、無茶はするでないぞ」
「うん」
そして一行は外へと向かいました。
その後おじいさんはこう呟きました。
「さっきのが時空大召喚だとすると、それで呼べるのは術者に近しい者……そうか、あのお嬢ちゃんは」
「じゃあ皆。玉を持って心を一つにして念じてね」
外に出た一行は一人一つずつ手に玉を持ちました。
ニコだけは両腕で抱えていますが。
皆心を一つにして念じました。
すると玉からそれぞれ異なった色の光が出て来てそれが一つとなり、
七色の光の道ができました。
その道は遠くまで続いているようです。
「やったー!」
「道ができたわ!」
「きれいな道だね」
「凄いやこれ!」
「うわお、こんな素敵なもの見れるなんて感激です~」
「さ、さあ、行こうよ」
「うん、行こ……ってまだ言っちゃいけないんだっけ」
こうして一行は光の道を通って悪い魔法使いのところへ向かいました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます