第十九話『原価計算』

「それ、いくらで売れるの?」僕が聞く。

「たぶんすごい」キョウはふふふ、と微笑んだ。


僕らは『ドラゴンキラーナイフ』を作ってもらっている間に別のところに回ることにした。


まずは道具屋さんに行くというキョウ。

「こんにちわ〜」僕がドアを開ける。

「はい、いらっしゃい、お、キョウちゃん」と、おじさんがキョウを見つけ声をかける。知り合い?らしい。


「お、新しい道具買うのかい?こないだ来たばっかりじゃなかった?使っちゃった?」

「うん『投げナイフ』と『煙幕』と『推進花火』を使っちゃった。」

僕らを助けてくれた、あの道具はここで買ったものらしかった。『推進花火』というのは、ロケット花火のことだろうな、と僕は思った。彼女がロケット花火を放って、視線を逸らしたおかげで、『ブラックドラゴン』を倒すことができた。


「それも欲しいけど、これを買って欲しい」どん、と分けてあった袋を取り出すキョウ。


「こ、これは・・・ドラゴンの尻尾かい??」と驚く店主

「そう」


「しかも、こんな量!!」かなり驚いている店主。

「高く買ってくれる?」

「そりゃ、もちろん。この量なら、500万ゴールドってところかね」とサラッととんでもない金額を言う店主。


「は!?!?」

僕は驚いた。

ここの物価、なんとなく見た感じ、あまり僕らの世界と変わらない。つまり500万円くらいの価値があるってことだ。


「え、それ、なんなの??」と、袋を指差す僕。

「食べると元気になる」とぼそりと言う、キョウ。


キョウちゃんが、すこし顔を赤らめていたので全部分かった。つまり、心臓病の薬の副作用で、めちゃくちゃ売れてるあの薬とおなじということだ。


ぱぱっと検索したところ、なんと元いた世界では、1錠25mg=1,300円もするらしい。毎日飲んだら39,000円。一年飲んだら468,000円。つまり46万円。それでわずか。9.125グラムだ。そりゃすごい。出した袋は1キロ以上ある、つまり単純計算で4600万円分くらいはある。


「即金で500万ゴールドも出すわけだ」と僕が言った。

その尻尾の量から言うと一年分よりずっとありそうだった。

こそっと、キョウちゃんに近づいて、「もうちょっとふっかけても大丈夫だよ」と言う。


「わかった」と頷いて、交渉を開始するキョウ。


「わかったわかった!キョウちゃんにはかなわないなぁ。1000万ゴールドでどうだい?ただ、即金で1000万ゴールドはないから、500万ゴールド以下はローン、つまり毎月取りに来てもらっていいかい?」

「問題なし」キョウちゃんがいつものテンションで言う。


でもなんとなく心なしか嬉しそうなことはいつもよりちょっとだけ速い手の動きで分かった。


そして僕らは、店をでる。


すると同時に、僕の方を見て目を輝かせるキョウ。

「すごい!すごい!コータのおかげで倍になった!」

とめちゃくちゃ喜ぶ。

僕のおかげというよりは、人類の英知 インターネットのおかげだけどね。


「おかねゲットした」とヒビキさんに渡すキョウちゃん。

「じゃぁ、美味しいものでも食べに行きましょう!!」

ヒビキさんが、両手を胸に当てて目をキラキラさせながらみんなに言った。

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