第二十話『子どもの好きな食べもの』

「じゃぁ、美味しいものでも食べに行きましょう!!」

ヒビキさんが、両手を胸に当てて目をキラキラさせながらみんなに言った。


僕らが街に戻ってきてやったことは『武器をお願いすること』これは現在お願い中で仕上がり待ちだ。これはなんと、こないだ買って僕が竜を倒したナイフと交換してくれるらしい。嬉しい。


それから『ブラックドラゴンの尻尾』を道具屋さんに売ること。これはなんと、1000万ゴールドにもなった。この世界でも価値があるものは、元いた現代と特にかわらないことがわかった。


「なに食べようかしら!」

と、活発少女のカナデが言う。楽しそうに微笑む。やはり、女子はごはんだな、と思った。楽しいご飯。それが女子。


「そうねぇ、キョウちゃん何がいい?」

頬に手を当てて、ヒビキさんが考える。何を食べに行くのか、なかなか決めかねている様子。そして、キョウちゃんに聞いた。

「肉団子」

即答するキョウちゃん。

一ミリの迷いもなかった。

好きなのだろうな、と思った。


「ハンバーグってことかな」

と、思い至る。大きい肉団子=ハンバーグということだから、小さい少女キョウちゃんのイメージにピッタリだった。


「こどもが好きなものナンバーワンだもんね」

「む、馬鹿にしてる?」

と、キョウちゃんがグッと近づく。滅相もない、と首を横に振る僕。


「え、肉団子美味しいじゃん!」と、カナデも同意する。

「私、子どもじゃない」と僕の言葉を聞き逃さなかったようで、キョウちゃんの抗議が続く。しまった、と微笑む僕。


「いや、僕もハンバーグ好きだけども。唐揚げも。カレーも、子どもが好きなモノは全部好きだけど」

と、子どもが好きな食べものの敵ではありませんよ!とラインナップを並べる僕。すると、キョウちゃんの目の色が変わった。


「唐・・・揚げ・・・?なにやら楽しそうな響き」

新しいもの好きなキョウちゃんが食いついた。


「唐揚げ、お店にあるといいね、なかったら、今度僕が作った上げるよ」レシピサイトを見ながらね・・・と思った。


「唐揚げがいい!!このあたりにはない!作って!」

というキョウちゃん。

「え?今??」と、戸惑う僕。もう、みんなの胃袋は外食モードなんじゃないかな、と思ったけど

「今がいい!」と言うキョウちゃん。完全に子どもだった。

「え、コータくん困ってるじゃない。また今度でいいわよね。とりあえず、今日はお店に行きましょう!」

となだめるように言う、ヒビキさん。


「やだやだ!」完全にダダをこねる子どもになってしまったキョウちゃん。


「いいですよ。今日はキョウちゃん、がかなり頑張ってくれて、いろいろ手に入ったしね。上手く出来るかわからないけど、試してみようか!」と僕が提案した。

「やった!」とばっちり笑顔のキョウちゃんだった。


僕はスマホを取り出し

「からあげ サクサク」

で検索を開始した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る