第十八話『交渉成立』

素材を確認して、店員さんがキョウに言った。

「もちろん、作らせてくれ!本物のドラゴンキラーナイフを!」

そう、『ブラックドラゴン』の素材を使った、ナイフ『ドラゴンキラーナイフ』を作ってくれる事になったのだった。


さらに、店員さんが言う。

「お前さんが使ってくれるなら、無料でいいぞ!」

「いいんですか?」

僕は言った。ただでものを貰えるなんて、そんなことある??ただ(無料)より怖いものはないって、みんな言うし、多分、検索したら、そういう話がたくさん出てくる。


「その代わりといっちゃ何だが・・・」

と、恐る恐る店員さんが切り出した。

「あ、条件があるんですね、安心した」

と僕は笑う。条件がある方がよっぽど信用できる。つまり交換、ということだ。購入はそもそも交換が進化したものだ。お金がない僕にとっては、何かと交換し貰える方がありがたい。


「その、ナイフをくれ!」

ビシっと指さし僕の『ブラックドラゴン』を倒して、ボロボロのナイフを指差す。

「え、このナイフ??」

とナイフを高く上げる。


そして、表、裏とひっくり返しながら言う。

「いいけど、見ての通り、ボロボロですよ?」

と僕が笑う。

見ればみるほど、思っていたよりボロボロだな、と思った。

このまま旅を続けたら、ヤバイことになるところだった。ナイス判断キョウちゃん!と心のなかでキョウちゃんに感謝する。


「いいんだ、それは『ここに飾る』!」

ばばーん、と客がドアを上げてすぐのところにを指差す。


「『ドラゴンキラー』としてここに飾る」

それは楽器屋さんで言う所の、入ってすぐの見えるところに、買えないくらい高いビンテージギターが置いてある事に、似ている・・・のかな。と思った。


「なるほど、役に立つなら・・・」

「役に立つ!!売上も200%アップ間違いナシだ!!」

「そんなにあがるかなぁ」と僕が笑う。


「すごいわね!!」とカナデが言う。

「そういうことなら、是非」

そのくらいならお安いご用だった、もともと、もう使えないものだし。


「よし、決まりだな!」

とガシっと握手する僕と店員さん。


「ちなみにオレは店長な!」

と言う店員さんじゃなかった、店長さん。

だから決断が早かったのか、と思った。


「ちなみに、鍛冶師はオヤジだがな。」

「オヤジが職人なもんで、オレが店をやってるってとこだな」

それはなかなかいいかもしれない、この店長ほんとに商売の才覚があるかもな、と思い始めていた。


「よし、契約成立だな。しばらく、外で遊んでてくれ出来た頃に取りに来てくれ」

「わかりました!ありがとうございます!」


「次は道具屋に行って、これを売る」

と、キョウが言った。


「それ、いくらで売れるの?」僕が聞く。

「たぶんすごい」

キョウはふふふ、と微笑んだ。

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