第七話『知の高速道路』
そう、武器も手に入れて、これから僕らの旅が始まる。
武器を購入し、外の広場に出てきて、さっそく素振りをする僕。右足を出し、ナイフを左から右に払う。
「ちょっとー、なにそのへっぴり腰〜!!」
と、ケラケラとカナデに笑われた。
カナデの戦い方を見るに今まで何万回と刀を振ってきたのだろう。それと比べたら、笑われてしまっても仕方がない。
「カナデちゃん、わらっちゃダメでしょ、だれでも最初があるんだから!!」
と、おっとり少女ヒビキが、活発少女カナデに注意した。ヒビキさんがお姉さんポジションらしい、間違っていることをしたらきちんと叱る。なかなか偉いな、と思う。
とはいうものの、カナデの発言を聞いて、なるほど、適当に振っちゃだめだな、と思う。
そう、こういう時はインターネット。人類の叡智に聞いてしまうのが良い。
動画サイトを『ナイフ 素振り』で検索する。
wifiはないので、大きなデータをやりとりしたくなかったが、いまは仕方がない。電池もかなり使ってしまうから、本来なら避けたいことだったが、いまはこちらが最優先。
とある格闘技の流派師範代の、ナイフ術がアップされていた。ああ、これはいい。これを僕も出来るようになろう。そう決めた。
この動画を僕は何回も何回もよく見る。
右足をここに出して、剣筋はここを通って・・・と一人でブツブツいう僕。
「また、ぶつぶつ言ってる」
とキョウが言う。キョウちゃんの突っ込みは微笑みで軽くスルーする。
僕は、さっき見た動画を頭でイメージしながら、ゆっくり体を動かす。最初はゆっくりしか動かせないが、何回もやっているうちにだんだん、早く動かせるようになってくる。
回数を重ねるうちに、動画通りの動きに限りなく近くなってきた。自分の動きを動画で取りながら練習すると、もっと精度が高まるとは思うんだけど、電池との兼ね合いもあるので、今回はやめておいた。
「え!?」
と、今まで後ろを向いて、ヒビキと話していた活発少女のカナデが僕の動きをみて驚く。まるで幽霊でも見たかのような表情ですこし笑ってしまった。
「え、なにその太刀筋!!」
とカナデがびっくりする。
数分前とは、スピードも軌道も全く違う僕の太刀筋を見て、カナデが驚く。武道をやっている人間なら、そう簡単にはこうならないことを知っているのだろう。
「すごい。え!?あれ??さっき見たのは幻??」
と、取り乱すカナデ。
数分前の僕の動きとは別物だったのだろう。
普通の人はこんなに早く上達したりはしない。
「へっぴり腰が治ってる!!それどころか、美しい太刀筋!!どういうこと・・・?」
「ふふふ、企業秘密」
と僕は笑う。何を隠そう師範代の動きそのものだ、驚くのもムリはない。
『知の高速道路』インターネットにより、高速に学習することが出来ること、これを昔の偉い人がそう言った。この異世界で、僕だけがこの『知の高速道路』に乗ることが出来る。
そう、これから僕はこの力を使って無双していく。
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