第三話『ガァブリン』
「やっぱり変な人だ」
ちいさい少女キョウがぼそりと呟いた。
それを聞いて
「だから変じゃないって・・・」
と言おうとしたところ。ちいさな少女キョウちゃんの先に、うごく緑の物体を見つけた。そう、元いた、現実世界にはいなかった、緑色の動く生物。
「あ、あれ!モンスターじゃない??」
と僕が少女達に聞く。
その言葉を聞いた瞬間、さっと、動き構える『活発少女カナデ』。彼女は帯刀していた。
多分剣士なのだろう。美少女剣士、いきなりそんな素敵な人に出会えるとは、異世界バンザイ。
「下がっていなさい・・・あ、まだ名前聞いてなかった・・・しかたない・・・下がっていなさい『変な人!』」
と活発少女カナデっちが僕を呼ぶ。本格的に変な人という名前になりつつある。まずい!そのアダ名はマズイ。一生が台無しになるタイプのやつだ!
「コウタです、コウタ!」
と僕が名前を告げる。
「コータね!了解、さがってなさい。変な人呼ばわりしたお詫びに、あのゴブリンから守ってあげるわ」
にっこり微笑んで、抜刀するカナデ。
「ゴブリン・・・やっぱりモンスターか・・・ほんとにいるんだ、この世界には・・・こんなカジュアルに」
と僕が口にする。
などといっている間にゴブリンが近づいてくる。
「グググゴゴゴゴオオオオ」
唸るゴブリン。このゴブリンはしゃべれないようだ。この世界では、どんなモンスターでも喋れるわけではないらしい。
「コータさがってて」
と僕を後ろに下げ、戦いを挑むカナデ。
ガキイイィィィン、ガキン!!
と、ゴブリンと打ち合うカナデ。互角、といったところか。このままだと、女子であるカナデは不利だな。と思って僕はスマホを取り出した。
なぜかネットが繋がる僕のスマホ、ありがたく使わせてもらう。
「ゴブリン」で検索する。
『ゴブリン - 正しい発音はガブリン。』
最初の一行はこうだった。超どうでもよかった。
「ゴブリンじゃなくて、ガァブリンってことか」と、かっこいい発音でゴブリンの事をガァブリンと呼ぶ僕。
その間にもカナデとゴブリン、改め、ガァブリンの戦いが続く。
こんなことをしている場合じゃなかった。
「ゴブリン 弱点」で検索する。
すると、ゲームの中の炎属性とかの弱点がでてきてしまう。うーん、それはオリジナル設定だからダメ!もっと一般的な性質は、と検索を続ける僕。
すると
『ゴブリン - 単純で騙されやすい。お金が好き』
という記述を見つける。
「よしよし、これだよこれ!!」
と検索し叫ぶ僕。
「また叫んでる!」
と、ちいさな少女キョウが僕に言う。
「こんどは、ほんとに役に立つぜ!」
と、ポケットにたまたま入っていた500円を取り出す。
ピーンと五百円玉を親指で上空に弾く。
そして、降りてきたのをキャッチして言う。
「この五百円玉に興味はありませんか『ガァブリン』さん!!」
僕がドヤ顔でそう言った。
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