第三百八十〇話 『鳥』
「キャリブレーションは終了です。つぎは動く動物を打ってみましょう」
アナウンスが言い。青いCGの世界が現実の世界に戻った。
===
「あ、なんか光ってる」
サラが言う。
そう、フィールドを見渡すといくつか光っているところがあった。そしてそこにはだいたい動物がいた。
「動く動物が光ってますね」
奈緒子もあたりを見回して、言った。
アナウンスがうごくものを打てと言っていることから考えて、対象となる動物が光っているのだろう。
「すごい、木の裏にいる、うさぎ?も光ってるね」
僕は言う。
そう、ゲームではよくこういうことがある。スキャンすることによって人の目では見えないものをサーチすることができるのだ。
「あー、これがVRならではなのね!便利!」
サラが喜ぶ。
そう、現実世界で同じことをやろうとすると、わずかに動く草の動きなどからそこにいることを予測しないといけない。
「よし、じゃあ早速動く動物をゲットしようかな、夜ご飯になっていただこう!」
サラはそう言いながら、空を見つめた。
そして、ターゲットを見定めたようだった。
彼女は準備をする。
「よし、ここだ!」
サラはいきなり、空飛ぶ鳥を狙いにいった。
いままでで普通の弓矢の扱い方は学んでいたので、
ちゃんと狙ったところに飛んでいったようだ!
「キー!!!」
鳥が叫ぶ。
落ちて・・・は来なかった。
サラの矢は鳥には当たらなかったようだ。パラパラと羽だけが落ちてきた。
「サラちゃん惜しいです!」
奈緒子が言う。
サラはいきなり空を移動する鳥を狙いにいった。
それは明らかに難易度が高いと思われた。
「もー!あたらなかったー!」
サラは言う。
サラはいきなりあてるつもりのようだった。
カンでタイミングを測ったのだろう、わずかに鳥によけられた。
「サラならいきなりできる可能性もあるけど、狩においてそれはいきなり難易度が高いよ!」
僕がサラに言う。
彼女は空飛ぶ鳥をいきなり狙おうとした、言った通りカンの良いサラならできなくもないことがすごいが、狩りのレベルとしては高い。
「サラちゃんならいきなりできちゃいそうなところがすごいですよね!」
奈緒子もそれに同意する。
彼女は動かない的を当てるのも競技として難しいことを理解しているのでわかるのだろう。
「え?そうなの?」
サラは僕に聞く。
彼女はできそうなことはなんでも試す主義なので、そのうちできるような気はするけど、定石としては空を移動する鳥は最後だろう。
「そうですね、どれが良いでしょうか・・・」
奈緒子はあたりを見回して、初心者向けの狩りの対象を探した。そして、僕と同時にその動物に視線を合わせた。
「簡単なところから行こう!」
僕は弓を構えた。
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