第三百六十一話 『グングニルのスキル』

「きゃぁぁぁぁぁぁ」

ルルは叫び声とともに戦闘不能になってしまった。


「グオォォォォォ」

ルルを倒した2体がそのままタカヒロに襲いかかった。


===

「これはだいぶ厳しいね。3:3で均衡していた力が一気に崩れる」

僕がつぶやく。そう彼らは1人1体ずつ倒すという戦略をとっていた。しかし、力及ばず1人やられてしまった。ここから持ち直すのはかなり難しい。


「よくもルルを!」

ララは怒って、ルルを倒したウォーマシンに向かい高速で一直線に進み、飛びかかり蹴りかかった。


「グオォォォォォ」

ウォーマシンはララに蹴り飛ばされ倒れて転がっていった。ララはそのまま着地し、くるっと振り返り次の敵を睨みつけた。


「おおおおおお」

ララはそう言ってもう1体のウォーマシンに向かい、走り飛んで、蹴り飛ばした。


「強い!」

僕は叫ぶ。

ララは単体でもかなり強いのだった。

いままでは冷静に戦っていたが、今は理性を忘れてかなり野生的に動いている。かなり強い。


「だけど、まだ数の有利がウォーマシンにある」

僕が言う。

そう、多人数対決の場合人数のバランスが大事になってくる。4vs4のFPSやMOBAの場合仲間が死んだら、復活するまで待つというのが基本セオリーとなっているほどだ。


「グオォォォォォ」

「グオォォォォォ」

ウォーマシン2体が前後から取り囲むようにタカヒロに襲いかかる。 タカヒロは受けに回る。ひたすらその2体の攻撃をさばく。


「この時を待っていたのよ!」

ララはそう言いながら、走りだす。


「この位置関係は!」

僕が叫ぶ。

ララが走ったことにより、ララと戦っていたウォーマシン、タカヒロと戦っていたウォーマシンは一直線になった。


「『位置交換 - ポジショントレード』」

ララのスキル『位置交換 - ポジショントレード』によりタカヒロとララの位置が入れ替わった。


「え、入れ替わってもララちゃんはピンチだよ?」

サラが不思議そうに聞く。そういままではララと仲間が入れ替わることにより、有利な位置関係になるように入れ替わっていたが、今回はそうでもない。


「いや、ピンチじゃないんだ」

タカヒロが言う。ピンチじゃない。つまりちゃんと今までの『位置交換 - ポジショントレード』と同じように有利になるということだ。


この場合はララではなくタカヒロが!


「そうか何か特殊なスキルがあるんだ」

僕が言う。

そう、彼が持つSS級の武器。グングニルのスキルをまだ僕たちは見ていなかった。


「ご明察!これがグングニルのスキルだよ」

タカヒロはそう言って構える。

そう、彼はタイミングを待っている。

あのスキルが特別な効果を発するタイミングがあるのだろう。


「タカヒロ!今よ!」

ララが一番奥にいたウォーマシンにタックルをした。


『一閃』

タカヒロの体が光り、必殺技が放たれた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る