第三百六十〇話 『手強い』

「そう、消えてる間はね。だけど後隙。つまり硬直がある」

僕がサラに答える。


「グオォォォォォ」

もう一体のウォーマシンが、その後隙のタイミングを見計らってルルに襲いかかった。


===

「きゃぁ」

双子の美少女魔法使いルルは、ウォーマシンの攻撃によって吹き飛ばされてしまった。


「しまったわね」

姉のルルが悔しそうにつぶやく。

『位置交換 - ポジショントレード』によって、位置を交換して安全なところに逃がすつもりだったが、後隙を狙われてしまった。


「手強いね」

タカヒロもつぶやく。

そう、ウォーマシンは的確にミスを咎めてくる。

そして、人は疲れれば疲れるほどミスが増える。


「ルル!」

ララはルルの元に走っていった。

対峙していたウォーマシンの目をかいくぐって高速で移動した。


「それはまずい気がする」

僕はつぶやく。

彼女は仲間の元に向かうことで、もうひとりのウォーマシンのマークを外してしまうことになる。


「グオォォォォォ」

二体のウォーマシンは向きを変える。

ララルル双子ではなく、1人でウォーマシンと対峙しているタカヒロを三人で集中して攻撃するために。


「そうなるよね」

タカヒロがつぶやく。

ララがルルのもとに向かっている間、三体の相手をしなければならない。


「まずい、1:3になっちゃった」

サラがその様子を見て言う。


「さすがにこれはピンチだね」

タカヒロがつぶやく。

そう、軽口を叩きながらも、三体を1人で相手している。


「でもすごいね。三体の攻撃を捌いてる!」

サラが言う。


タカヒロは槍を使って、三体の攻撃をパシパシとさばく。ギリギリ大きなダメージをもらわずにすむようにした。


「これで、回復しなさい!」

ララがルルに回復薬を使う。

そしてルルは体力を取り戻した。


「行きなさい!、私も行くわ!」

ララはそう言ってルルを行かせたあと、スキルを発動させた。


『位置交換 - ポジショントレード』


そのスキルにより、タカヒロとララの位置が入れ替わった。


「やってやろうじゃないの!」

ララは三体に囲まれてそう言った。


ララは機動力を活かして、なるべく1:3にならないようなボジション取りをしていく。


「くらいなさい!」

ララはそう言いながら、一番端の1体にだけ集中して攻撃を集中する。


「姉さま!」

ルルはそう言って、走りながら『ファイヤーショット』を唱えた。

いろいろな移動により、ララが接近戦、ルルが遠距離の位置関係になったので、一番端のウォーマシンに攻撃を集中することができた。


「グオォォォォォ」

ウォーマシンは耐える。


「耐えてしまった」

僕はつぶやく。


「そうか、ルルちゃんに残りの2体が集中しちゃうんだ」

サラが言う。

そして2体のウォーマシンがくるりと方向を変えルルの方に向かっていった。


「グォォォォ」

2体のウォーマシンがルルを襲って、ルルを倒してしまった。


「きゃぁぁぁぁぁぁ」

ルルは叫び声とともに戦闘不能になってしまった。


「グオォォォォォ」

ルルを倒した2体がそのままタカヒロに襲いかかった。

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