第二百六十三話『モチベーション』

「す、すごい・・・なんだ今の・・・」

と僕が呟く。


ほんとに一瞬の攻撃だった。

一瞬の間に三人の攻撃が綺麗にきまったのだった。

そう、これが彼女達の戦い方・・・


「これが私達の超速攻だからね!」

と、剣士のサクラが満面の笑みで僕らに言った。


そう、それは三人のコンビネーションを見事に使った

超速攻攻撃だった。


「え?もう倒しちゃった?」

とサラが言う。

しっかり見ていたはずだが、あまりのことに僕に聞くサラ。

そう信じられないくらいあっという間の出来事だったからだ。


「倒しちゃったね・・・」

と僕が呟く。

そう、一瞬で倒しちゃったのだ、アキラ、サクラ、レイラの三人が、『アーマードリザードマン』一体を!


「よし、ナイス!アキラ、レイラ!」

と剣士のサクラは仲間の二人に言う。


「うん、今回も調子良さそうね!」

と弓矢使いのレイラが言う。


「うん、いける!」

と格闘家のアキラが言う。


「よしっ!これで3:2。大分らくになったわね!さっジャンジャン差をつけて、追いつけなくしよう!」

とサクラが笑った。


「すごいですね!瑠璃ちゃんの『魔法連射 - ラピッドファイヤ』による硬直がとけた瞬間を狙う連続攻撃を三人でやってるんですね!」

と奈緒子が言う。


無敵時間が終わった瞬間に攻撃を与えるというのは、魔法使いの瑠璃もやっていた。


彼女は『魔法連射 - ラピッドファイヤ』を使って、連続攻撃のスキルを発動しつつ、硬直がとけた瞬間にダメージを与えるようにやまなりにしたり角度を変えて時間差を生み出していた。


「ああ、なるほど、そういうことか!」

と、僕が言う。


その瑠璃がやっていたことを更に高度に仲間と連携して行ったのがサクラたちの超速攻なのだ。

これは一人だけ練習してもできるようにはならない。


「どういうこと?」

とサラが聞く。


「今の攻撃は、それぞれがあとすこしでも速く攻撃してしまうと、ダメージ時の無敵時間になってしまって、ダメージを与えられないんだ!だから、それがとけるギリギリを狙って連続攻撃をしてる」

と僕が説明する。


「うんうん」

とサラが聞いている。


「これは、仲間の攻撃のタイミングと位置も完璧にわかってないといけないから、かなり難しい・・・一人遅れたらこうはいかないし!」

と僕が言う。

このあたりの事はゲーム独特の事情なので、サラにはわかりづらいことかな、と思う。物理現象をそのまま再現しているものだけなら、天性のカンで理解できるのだけど。


「ほうほう・・・それはすごいね!」

とサラが言った。


そして、サラの瞳がキラーンと光ったように見えた。

確実にモチベーションを刺激された時のサラだ。

そして、負けず嫌いなサラがやることと言えば・・・


「奈緒子ちゃん私達もやってみよう!」

と言ってサラが走りだした。


そう、サラも超速攻をやってみるつもりだった。

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